まさかの支持料理!?
「美味しい海鮮のレストランがあるんですよ?」
「昼も海鮮でしたよ」
「じゃあ、肉料理の──」
「そうですね……。泉には肉料理で作ってもらいましょうか?」
「いや、レストランが」
「泉は何でも美味しいのですよ」
「だから、良い肉を使ったレストランが」
「泉は安い肉でも美味しいですよ?」
「口の中で肉が溶けるんですよ?」
「泉の料理はほっぺたを確実に落とします」
「えへへ、りゅー君誉めすぎだよー。あっ、肉じゃがで良いー?」
「なら、最高級の定食屋さんが──」
「おう。よろしくな!」
「はーい」
泉がキッチンに向かい、肉と野菜を取り出し、リズム良く切り出した。
「良いお店があるのに……。何故ですか?」
「分かりませんか?」
「……はい」
真剣な目で豊美さんを見て言ったら、豊美さんも真剣な表情になり、ゆっくりと頷く。
「仕方ありません、教えましょう。貧乏性な俺たちには高い食材を使われてもいまいち分からん!」
俺が力強く言うと、キッチンに居る泉や、テレビを見ていた桜や智也が頷いた。
「え……。あ、秋さんは!」
豊美さんが仲間を探すように、秋の方を見る。
「あはは……」
秋は苦笑いをにしている。
残念!秋は仲間にならなかった様だ!
「くっ……。飯田さんは?」
「…………」
飯田さんはキョロキョロ周りを見たあとに、味が分からない派の方に移動した。
これまた残念!飯田さんは逃げてしまった!
「しかし、お昼は美味しかったのでは?」
「はい。美味しかったです……。感想は以上!」
確かに美味しかったよ?
とっても美味しかった。
だけどね?それ以外の感想は出てこないの。
「他には無いのですか?例えば、伊勢海老にかかっていたソースが、伊勢海老の甘味を引き出し、さらには噛まずとも飲み込める滑らかさ、良い温度で焼かれたのが分かる焦げ目に風味。食べる前から食欲を溢れ出させ、前菜で量を抑え、次の料理が楽しみになるような品だった。……みたいな」
あっ、その感想は前菜の感想だったんだ……。
「すいません。まったく分かりませんでした。あと、目隠しをして、泉の料理とあのお店の料理を食べ比べたら、食べ慣れている泉の料理に札をあげると思います」
キッチンから嬉しそうな声が聞こえた。
それと同時野菜を切る音もリズミカルになった気がする……。
喜んでるな……。
「そんな……。しかし、最後の夜の日はBBQですから、それだけはお願いしますね」
「了解です」
豊美さんは小さなため息を吐き立ち上がった。
「桜、ご飯が出来るまで勉強しますよ」
「そんなー」
まっ、豊美さんも俺たちの為を思って言ってくれてるから、そこまで強く言えないけどな。




