まさかの状況!?
「そろそろ着くぞ。寝てるやつは起きろよ」
寝ていると豊美さんのお父さんの声が聞こえた。
「ふぁい」
眠い目を擦り、伸びようとしたら違和感に気付いた。
体が動かない……。
金縛りか!?
目を開けてみた。ふっ、どうやら目を開けれない事は無かった様だな。
…………!?
よしっ、状況を確認しよう。
席の順番は飯田さん、泉、俺、桜。
その後ろは智也、豊美さん、秋。
うん。この席順は何て事ない。
いつも俺を挟んで喧嘩している泉と桜も俺がすぐに寝たため被害を受けなかった。
泉の横には仲の良い飯田さん、そして俺たちの後ろは見守るように秋と豊美さんと智也。
これもおかしい事はない。唯一あるとするなら、俺の隣は秋じゃないことだ。
仕方ないからそれは歯を食いしばって我慢するとしよう。
しかし、何で隣の二人は俺に抱くようにもたれかけ、飯田さんは泉の体を越え俺の膝を枕として使い、後ろにいる豊美さんが俺の肩を枕にして眠っている!!
みんなの心音がダイレクトに伝わり、一番顔の近い豊美さんの吐息が顔に吹きかかる。
これが、金縛りの正体か!ふむ、現状を理解…………しねーよ!
「お前ら起きろ」
豊美さんのお父さんが再度みんなに呼び掛ける。
「えへへ、ぐぅー」
ニヤニヤしながら起きる気配が全くない泉。
うわっ、こいつの寝顔キメェー
「すぅー、すぅー、すぅー」
俺の腕に顔を埋めて息を大きく吸う桜。
そらそうだろ……。何でそんな息のしにくい寝方をするの?
「……まだ、少し」
まだ寝ようとする飯田さん。
てか、動かないで!アレにその、あの……。とりあえずらめぇなのぉ~~!!
「……すぅ、すぅ」
規則正しい寝息をする豊美さん。
あっ、これ横向いたらダメなやつや……。
「ふぁー、おはよ、竜……。あら」
目を覚ましてすぐに状況を把握した智也。
あら、じゃねーよ!どこかの奥様方か!助けろよ!
「おはよーございます。……何してんの?」
智也に続くようにして起きる秋。
うん。本当に何してんだろうね。
「おーい。着いたぞ。起きろー」
目的地に着いたらしく豊美さんのお父さんが車を止める。
もう明るくなってるな。外は海が見えるのだろうか。
しかし、見ることが出来ない。なぜなら豊美さんが肩に居るからだ!
「泉さん達、起きてください」
「ほらほら皆、起きて」
固まっている俺をよそに皆を起こしだす秋と智也。
「うぅん。ふふっ」
「はーい。あっ、むっ」
「は、はい。……あっ、すいません!」
「はい。きゃっ!」
泉は不気味に笑いながら起き、それを睨みながら桜が起き、飯田さんは慌てて俺から退き、何故か豊美さんは俺の顔を叩いた……。
酷いよ……。
皆がやっと起きてくれたので俺たちは車の外に出た。




