まさかの忘れ!?
「ねえ、お兄ちゃん」
ある日、いつも道りに秋の日常写真を色んな角度から撮影していたら秋に呼ばれた。
うん、その可愛い顔をゲットだぜ!
「おう?どうした」
「そのカメラの事はいつもの事だから無視するけど、一つ聞いていい?」
パシャ!と写真を撮りながら
「良いぞ」
「はぁ、皆さんで行く海ってどうなったの?」
あっ、すっかり忘れてた!
えっと、今は土曜日だから……。
「…………明日の朝六時に駅集合……です」
「明日!?もっと早くに教えてよ!」
「すいません。秋に言われるまで俺も忘れてました」
「あぁ、もう!持ち物は何!?」
ソファーに座りながら携帯を触っていた秋が勢いよく立ち上がり、少し俺を睨みながら言う。
パシャ!
「携帯、財布、服などの必ず必要な物と勉強道具あと3000円。それと水着!よしっ、ちゃんと水着はサイズにあってるか確かめよう!」
パシャパシャ!
「写真を撮りながら言うな!」
「早く!早く秋の水着撮影会をするぞ!」
「両親がすぐそこに居るのに何言ってんの!?」
「それなら大丈夫だから」
俺は二人を見ながら言う。
「お父さん、お父さん。あの子達が泊まりに行くそうよ。これで二人っきりね」
「そうだね、お母さん。明日から毎日僕たちのランデブーが始まるね」
「明日が楽しみね、ダーリン」
「そうだね、ハニー」
「……ダーリン」
「………ハニー」
うえっ、砂糖吐きそう。
てか、何でまた父さん居るの?仕事は?
「な?だから早く水着撮影会をするぞ!」
「とりあえずお兄ちゃん。フォークが良い?ナイフが良い?それとも針?」
「はは……。何に使うの?」
「お兄ちゃんの目潰しに使うの」
「よしっ!早く明日の準備するぞっ」
「そうだねー」
目潰しは智也だけにしとけ。
それから俺と秋は自分の部屋に戻り、明日の準備をした。
服、水着よーし、勉強道具よーし。あと、一眼レフカメラよーし、メモリーカード空を3つよーし、電池満タン2つよーし、充電器よーし、本体パソコンにすぐに秋写真を送るためのノートパソコンとその充電器よーし、予備携帯よーし、小型カメラよーし、カメラバッグよーし。
うしっ、あとは貴重品を入れたら完璧だな。
あと、参加費の3000円だな。秋も合わせて6000円か、結構するな。
部屋を出て秋の部屋の前に立つ。
「秋ー!」
ガチャ
くそぅ、しっかりと鍵が閉められてるじゃねーか。秋も強くなったな。
「どうしたの?」
扉の奥から秋の声が聞こえてくる。
あぁ!声だけでも分かる秋の可愛さ!
「いや、俺は準備出来たから母さん達に参加費を貰いに行こうと思って」
「ああ、あと少しだから待ってて」
「じゃあ、入れて?」
「廊下で待ってて」
……はい。
しばらく廊下で正座をして待っていると秋が出てきた。
そのまま下に降り、イチャイチャしている夫婦の前に立つ。
「明日からのお泊まりでの参加費の6000円下さい」
「高いな。半分は自分で出してくれ」
3000円出してくれるだけでもあるがたいが、あいにく俺の財布はカラカラなのである。
「一週間、二人の邪魔をしないと言ったら?」
「はい」
父さんが財布から五千円札と千円札を出した。
ふっ、簡単なものである。
一週間の半分以上は家に居ないし、残りも父さんはどうせ仕事だから俺たちに被害が出ることはなく、邪魔する理由も無いと言うのに。
という訳で……
「ありざいまーす!」
参加費の6000円を受け取り、秋とハイタッチを交わすのであった。
おお!秋と触れあったぜ!
うん、さすがにこの台詞はキモいな……。




