まさかの逃走!?
「うわぁ、竜ちゃんエグいね」
「お前には言われたくない。」
ウザ男は鼻血を出しながら気絶している。
ザマァーwww
おっといかん、キャラが悪役側になるとこだった。
「では行きましょうか」
一部始終を見ていた豊美さんが言い、俺たちは頷きその場を後にする。
意外と広く暗い道で来た道も分からない迷路のような家だったが、来る前に調べておいたのか、あの部屋から一番玄関に近い道を走っていった。
地図を見ると距離感がいまいち分からないが、そこは飯田先生の指示に従って行動する。
「あ、あと、ちょっと……です」
後少しか……。早く秋を休ませてあげたい。
とりあえず後は豊美さんのお父さんの車に乗ったら大丈夫だろう。
「みんなストップ!」
いきなり桜が大声を出し皆の動きが止まる。
「どうしたの?」
「誰かそこにいる。」
豊美さんが桜に聞くと桜が曲がり角を指をさしがなら言った。
「あー。ばれちゃったか。まぁ、いいや。今君たちを逃がしたら僕が危ないから逃がさないよ。ごめんね。だから、おとなしく捕まってくれないかな?」
「何言って……」
「待って竜ちゃん。この人……危険かも。違う道で逃げた方がいい。桜でも勝てるか分からない……。」
はぁ?あんな数の男たちを余裕そうに倒してたお前がか……?
「桜が言うなら本当に逃げた方が良いでしょう。飯田さん、他にいいルートってありますか?」
「は、はい。ありますよ」
「案内をお願いします。」
桜がポケットに手を入れ、何かを取り出した。
あれは……石?
男が少し距離を縮めてくる。
「今!走って!」
桜が男に向かって石を投げ、そう叫ぶ。
俺たちはその合図で全速力で走る。
「おっと、危ないなぁ。」
男は普通に石を避けたようだが、そんな事を気にしてはいけないだろう。
俺はあの男の強さがよく分からない。しかし、色々なスポーツをマスターしている桜が言うなら本当に危険なのだろう。確かに、桜が思いっきり投げた石を少し顔を動かして避けていた。あんな動きは普通の人では出来ないだろう。
全員が全速力で走る。少し遅れぎみの飯田さんも桜に手を引かれながら頑張って着いて行っている。
あの男は今も走って着いて来ているのか、それとも諦めて………いや、それはきっと無いだろう。じゃあ、やはり着いて来ているのだろうか。
しかし、後ろを向く暇さえ無いだろう。
俺は考えるのを止め、少し転けそうになった秋の手を握る。
「大丈夫か?」
「うん。ありがと」
「おう」
俺は秋の手を握り締め、また前を向く。
「そ、そこを左です。」
飯田さんの指示で先頭の桜が曲がり、俺たちも続いて曲がる。
「僕は言ったよ。逃がさないって」
目の前には先ほどの男がいた……。




