まさかの桜の実力!?
一秒が一分に感じる。
俺はどうするかを迷っているとまた一人の足音が近付いてくる。
「おーい、どうかしました?」
「いや、侵入者がいて、どうしようかなと思ってな。」
「ありゃ?可愛い子がもう一人居るじゃん」
泉をじっと見る。
俺は泉を秋と固め、俺の後ろに行かす。
「りゅー君………」
「いいか、じっとしとけ。けして慌てるなよ」
「う、うん……。」
「そこの男邪魔~。俺たちってBLじゃないんだよーん。」
うっさい、秋の友達をなめんなよ!
「お前はこいつらを見といてくれ。他の奴も連れてくる」
「あーい、任せてちょっ。ねえねえ、あの男を先に倒して、あのキャワいいおんにゃの子をつまみ食いしても良いですか?」
「「ひっ……」」
秋と泉が小さな声で悲鳴をあげる。
今は我慢してくれ……。
タイミングを見て、大きい声を出して外にいる豊美さんのお父さんを呼んでやる。
携帯を取り出したら余計に危なくなるだろうな。
「駄目だ。はぁ、良いからおとなしく見張ってろ」
「はーい。」
一人の男が出ていく。
くそっ!タイミングが分からん。
やはり、泉を連れてきたのは失敗だった……。
そうして、考えている間にぞろぞろと沢山の足音が聞こえてくる。
「おかえり~。見張り完了ー」
「お疲れ様。えっと、状況確認、状況確認。女の子が一人増えて、男の子も一人増えてるね。」
雰囲気的にこいつらリーダーか?
全員で七人………。
くそっ!逃げ場が完全に無くなってしまった。
「あぁん?ボス、この男の目、まだ諦めてませんよ。何か策があるんじゃ?」
「大丈夫だよ。筋肉も微量、この状況じゃ僕でも逃げるのは難しいもん。考えてるだけで何も出来ない……」
何も出来ない……か。
確かにそいだな。
「で、どうするんスッか?」
「うーん、ねえそこの男の子。そこの女の子たちを置いて、君だけ帰させてあげるよ。どうする?」
二人を置いて自分だけ逃げる?
いや、俺にはそんな事は出来ない。
「幼馴染みと妹を捨てて行く事は絶対しません。」
「ありゃ?妹だったの、その子?キャハハ、格好いいお兄さんだねぇ~、今から格好悪くなってもらうけど」
ぐっ、こいつが一番ウザい……。
「まあまあ、落ち着いて。そっか、やっぱり駄目か。じゃっ、みんな、あの人たちを縛っておいて、女の子は丁寧にね。男は、まぁ任せるよ」
五人の男たちが俺たちに向かって走ってくる。
どうしたら良いんだ………!
「はーい!背中お借りしまーす!」
一人の男が倒れた。
そして、一人……いやもう一人は背中に、もう一人はお姫様抱っこでいる。計三人?
「竜ちゃんお待たせ!」
「竜、大丈夫ですか?」
「一上くん……だ、大丈夫……かな?」
「みんな……?」
何で豊美さん、桜、飯田さんが個々に居るんだ?
「な、何で来た?」
「心配しなくても大丈夫ですよ、竜。桜を見てと下さい。」
「カッコいい台詞を言って人に任せないでよ……。まぁ、任せてもらうけどね!」
桜が勢い良く立ち前に出る。
「キャハッ?女の子が沢山来た!今日は楽しそうだね。」
「何やあいつ……。まぁ、桜の方も楽しませて貰うか。逃げたらアカンからな!」
ひ、久しぶりに桜の関西弁聞いたー!!
「桜はテンションが上がると関西弁になるんです。まぁ、そんな事より、飯田さんが考えたもっとも良い、逃げ道で逃げますよ。竜は秋さんを持ってください。」
俺が秋を抱っこしようとすると豊美さんが立ち上がり、大声で一言。
「桜、行きなさい!」
「了解!」
さっき倒した男を踏みつけ、他の男に殴りかかる。
まったく負ける気配が無いほど桜の身体の動きが綺麗だ……。
あいつ最強過ぎるだろ。
てか、もう倒れた奴を踏む必要ある?




