まさかの守る!?
どこ行ったんだよ泉。
俺は近くに居た人に声をかけてみる。
「すいません。ストレートの髪で身長が俺よりちょっと小さい女性を見ませんでしたか?」
その人は少し考えたが、分からなかったみたいで、首を横に振った
「そうですか……。ありがとうございます」
「いえいえ。」
その後も何人にも聞き、ようやく見かけた人を見つけた。
その人から聞くと泉はある男の人と外の方向に向かったらしい。
俺はその話を聞いた瞬間その人にお辞儀だけをして走った。
あのバカは本当に何してんだよ!
外に出るとすぐに泉を見つけた。
そして男三人に囲まれているのが分かった。何だったら腕も捕まえられている。
どうする?
気持の悪い汗が大量に流れるのを感じる。
とその瞬間、泉の顔が見えた。
今にも泣きそうなぐらい脅え震えていた。
流石に我慢の限界だ。
「おい何してるんだお前!」
泉の顔がびっくりするのが分かった。
「何々?誰君?」
一人の男が喋りかけて来たが無視。
それより今は泉が心配だ。
「大丈夫か泉。すまんな来るのが遅くなった」
俺は泉の身体をくまなく確認する。
「良かった怪我は無いな。」
「うん大丈夫」
泉は静かに頷いてくれた。
「何?無視ですか~?」
うん無視ですよ。
「早く、店の中に戻ろうぜ」
俺は泉の腕を取り返し引っ張った。
「無視するんじゃ、ねーよ!!」
急に男に顔を殴られた。
しかし俺は何にもしないただ睨むだけ。
何を笑ってんだお前ら、今の俺が反撃もしてこなくて弱いと思ってんのか?
泉が泣きそうな前で喧嘩なんて出来るか!ここで俺が感情的になったら余計に怖がらせてしまうだろうが。
「りゅ、りゅー君……」
「大丈夫。ほら早く戻ろうぜ」
「おい。人の話を聞けよ。なぁ」
泉の腕を握ってる男がその腕を引っ張る。
泉が痛そうに声を出す。
おい何してやがる。泉に何してやがる殺すぞ。
「調子乗るんじゃねーよ!」
背中を思いっ切り蹴られた。
痛い。倒れそうだ。だけどそれよりも怒りで身が焦げそうだ。だけど我慢。
「早く、行く……ぞ。」
また、男は俺を殴ろうとする。
「もう、止めて下さい。私がついて行けば良いのですよね?」
おい。何を言ってるんだよ!
「おい、泉……何言って……」
「あ、ようやく分かってくれた?じゃあほら君はもう関係無いから帰って良いよ」
俺はまた蹴飛ばされた。
泉の腕を俺から剝がしてそのまま、歩いていく。
「ふざけるな!」
俺は男たちの所に突進して泉から引き離す。
「痛いなボケが」
殴られた。初めて反撃された事にむかついたのか、今度は3人に囲まれて殴り蹴られる。
くっそ、結局泉を更に怖がらせてしまった。
何分殴られていたのだろう。もしかしたら数秒程度だったのかもしれない。
気が付くとパトカーの音が聞こえてきた。きっと、誰かが通報してくれたのだろう
「ちっ、目立ちすぎたか。もういいわ、いくぞ」
男たちが何処かに逃げていく。ざまぁみろ。
「大丈夫か泉」
「わ、私は全然。それよりもりゅー君が!」
「こんなんかすり傷だろ。大丈夫だいじょうぶ」
とか言いながら泣きそうなくらい身体中が痛い。あぁダサいな俺。
ひとまず、俺らはデパートの中に戻りベンチに座る。
「……ねぇ、りゅー君」
しばらくお互い黙っていると、泉から話しかけてきた。
「何だ?」
「中1の冬休みの事覚えてる?」
あぁ忘れる訳がない。忘れられる訳がない。
 




