まさかの超鈍速!?
しばらく並んでいると、すぐに泉と智也が行き、桜と豊美さんも走り出した。
何か二人の視線が怖いのだが……。
え、なに?
何でずっとこっちを見るの?
そして俺たちの順番が来た。
運転しない人の席は奥だから、先に飯田さんを乗せて、俺が乗る
「じゃあ、動かすぞ」
「は、はい……」
俺はアクセルを踏み、車を動かす。
マリ○カートみたいな感じで良いだろう。
俺はアクセルを限界まで踏み込む。
意味は無いと思うが、そっちの方がやりやすい。
………。
ノロッ!
いやいや、確かに泉たちが乗っているのも俺たちと同じぐらいのスピードだが、遅い…。
「……ゆっくりだな。」
「は、はい……。」
会話終了!
会話終了のお知らせが届きました!
車の動きは遅くて、話は進まない。
はっはは!
なんだこれ……。
多分このスピードだと完走するのに五分、いや七分はかかるだろうな。
うむ、気まずいな…。
「あ、あの…」
おお!飯田さんから話し掛けてきた!
「うん?」
「この前、のは……ありがとう、ございまし、た。」
この前の……。うん?
「えーと、この前のって?」
失礼な事を聞いているのは分かるが、分からないと何とも言えない。
「せ、生徒会の時、です。」
ああ、あれか。
確か、今日の遊園地もそれで暗くなった雰囲気を無くす為だったしな。
「いや、飯田さんは悪くねぇーだろ。あと、あの時は単純にあの生徒会長にイラついただけだしな。」
俺は出来るだけ壁にぶつからないように気を付けながら言った。
「あ、ありがとうございます」
「いや、良いよ。飯田さんは悪くない、それだけだ。あと、礼を言うならみんなに言え」
「は、はい…」
前を向いているから、横目でしか分からないが、飯田さんの顔が少し赤くなっていた気がした。
「お化け屋敷の時のキャラって今でも出来るか?」
あの時の飯田さんは飯田さんでは無いが、飯田さんが多重人格って訳でもない。
人見知りと言う名の極度の心配や不安の為で言葉がすらすら出てこないのだろう。
「えーと、一上君今日は本当に楽しかったよ。これからも宜しくね。こ、こんなんで、い、良いですか?」
うん、普通に話すことが出来てる。
「うん、大丈夫だ。でも、今日はまだまだ遊ぶからな」
「は、はい!」
俺が飯田さんに向けた笑顔の倍以上の笑顔を向けてくれた。
「うん、やっぱり笑顔の方が可愛いと思うぞ」
俺のモテる為の特訓、恋愛アニメを見まくって女の子の心を落とすセリフを覚える!
まあ、言うタイミングが無かったから無意味だった…。
でも今回は確かに思った。笑っている飯田さんはいつもより可愛らしいと。
「えっ、か、かか可愛い?」
「うん。えーとな、人間の一番美しい顔は笑顔だ、暗く、辛そうな顔は相手も暗く、辛くしてしまう。だから、笑顔を見せ合い、共に笑っている方が両方に幸せだ。何てな、適当に考えた言葉だから気にするな」
何となく浮かんだ言葉だからな。
「いえ、ありがとうございます。」
そう言って、笑顔を見せる
「…っ」
あまりにも可愛く、綺麗な笑顔だったから顔が赤くなったのが分かる。
「……。」
飯田さんも無言で顔を赤くしている。
「あと少しだぞ。」
「はい…。」
そしてようやく車を止め、降りる。
飯田さんはすぐに泉の所に行って話している。
俺も軽く走り、みんなの輪に混ざっていく。




