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恋愛アンチ×女嫌い=俺  作者: 日々 傷人
2/3

俺の【職業】が変わった日~ジョブチェンジDAY~

真っ暗な部屋の中。

一人の青年と電脳少女はそこに居た。

ランキングイベントを終えた駿が意識朦朧のままベッドに倒れ込んでから九時間。

その間コトネは二年前の事を思い出していた。

『あれからもう二年かぁ・・・』

ふとそんな事を呟いた。

(結構短いもんなんだなぁ・・・)

いくら電脳の世界とはいえ、時間が早く過ぎるとかそんな事は無い。

(まぁ、あいつが居るから早く感じるのかもね(笑))

駿の方に目をやり、苦笑混じりに心の中で呟いた。

『さぁて!そろそろ駿を起こすとしますか!』

コトネは自分世界側にある複数のボタンの中の一つを押した。

その瞬間、部屋の中に目覚ましの音が鳴り響く。普通の人はだいたいこれで起きるのだが・・・

「うっ・・・んぅ・・・」

そう。駿はなかなか起きられないタイプなのだ。

しばらく目覚ましが鳴り、コトネはそろそろ消そうかと思った時―

部屋の扉が破壊力抜群な感じで開かれた。そしてそこに立っていた少女は駿の妹、佐藤 優衣。よほど五月蝿いのか、耳を塞ぎながら叫ぶ。

「兄ちゃんうっさい!!何でさっさと起きないの?!まったく・・・私いつもこれで目が覚めちゃうんだからっ!」

よほど驚いたのか、駿は勢いよくベッドから転げ落ちた。

「・・・っ〜!痛ぇ!痛ぇよ妹よ!もうちょっとお兄ちゃんに優しくしてよおぅ!」

怒ってるのか懇願してるのかMなのか分からない発言をした兄に対し、

「あーはいはいうるさいよー(棒)」

適当にそれを流し、妹にフラれて床に這いつくばっている兄を無視し、優衣は画面の中の少女に話しかける。

「琴音ちゃんごめんね〜!大声出しちゃって!」

てへぺろっと笑う優衣に、

『こっちこそごめんね!起こしちゃって・・・』

「いいのいいの!このクッソだらしない怠け者が悪いんだからっ」

『あはははは・・・』

「それより兄ちゃん夜中まで何騒いでんの?あっ♥︎とかそこはだめぇ♥︎とか!」

「いやそれはだな、敵があまりにも痛いとこをついてくるから・・・」

「男なんだからもっと逞しい声を出しなさいよ!」

瞬間、駿は電撃を受けるような衝撃を感じた。

「なん、だと?・・・妹よ。お前は逞しい方が好みなのか?」

「男はそっちの方がいいって言ってるのよ?」

「お兄ちゃん妹をそんなえっちな子に育てた覚えないわ!」

「は、はぁ?何言ってるの?私は声の話を―?えっ?な、何言ってんのよこのバカ!もう知らないっ!」

憤慨した優衣は勢いよく扉を閉め出ていってしまった。

『あーあ、駿何やってんのよ・・・』

「いやだって妹があんなこと言ったら俺だって勘違いするだろ?」

『あんたは夜中エロ動画見て変なことしてるからそんな脳みそになっちゃうんじゃない・・・』

駿は思いっきり顔を赤くして、

「な、何で知ってんだよ!履歴だって消してるし!」

『あんたさぁ、私はAIよ?あんたの悪事を暴くなんて簡単なのよ?』

「フッ、悪事とは聞き捨てならんな。男は定期的に性処理をしないとてぃんてぃんが凄いことになるんだぞ?」

今度はコトネが赤くなる番だった、

『そ、そんな事知らないわよ!てゆーかそんな話女の子にしないでよ!?』

「す、すまん」

数秒沈黙が流れ、

『そーいえば駿、今日ってこの間アヌメイトで予約したエロゲが届く日じゃなかったっけ?』

「あぁそういえばそうだったな」

ピーンポーン

「はーい!」

「あ」

『あ』

一階にいた優衣が出てしまった。

「ここにサインをお願いします。」

「はい」

サインが書き終わり、

「ありがとうございました。」

駿は嫌な予感がして寒気がしてきた。

案の定、

「きゃぁぁ!!!!!」

ものすごい勢いで駆け上がってくる足音が聞こえ、これまた扉も勢いよく開き、

「兄ちゃんなんてもの注文してるの!?何この【金髪ツインテールの妹が触手レ〇プされたった\(^o^)/】って、しかも何このえっちなパッケージは!まったく妹になんてもの見せるのよ!」

「いや、人の宅配物勝手に見たお前が悪いだろ」

『優衣ちゃん、これは駿が正論だわ』

「コトネちゃんまで言うなら私が悪かったわよ!ごめんなさいでした!すみませんでした!」

わーんと泣きながら部屋を出て行く優衣はまだまだ子供だなと駿とコトネは思ったのであった。



真っ暗な部屋の中、いや今は真っ暗では無いな、むしろ明るいくらいだ。何故ならヒキニートの駿が外に出ているから。何故駿が外に出る羽目になったのは後ほど分かります。

数時間前、

『ねぇ駿、公園行きたい』

「はぁ?何だよ急に、俺を殺す気か」

『いや、あんたが外に出ないから今外の世界がどうなってるのか気になっちゃってさ』

「だから俺に死ねと?」

『いや死ねとは言ってないでしょうに・・・』

駿は少し考えこみ、

「・・・まぁ外の世界が気にならないことは無いな・・・」

『でしょ?だったr』

「だがしかし!俺の辞書に外出の二文字は無い!よってお前の提案は魅力的だが却下だ!」

『えー、ケチ!』

「だが、悪くない提案だなぁ・・・」

(うわぁ、こいつブレブレじゃん・・・)

少し考えこんだ駿が、

「じゃあゲームをしよう!それでお前が勝ったら公園に行く。俺が勝ったら、そうだな・・・あ、この間対戦した相手でさ【Bahun】って奴いただろ?あいつ自分が負けたからって何度もしつこく挑戦状送ってくっからハッキングしてあいつのありとあらゆるデータを消去してきてくれ。そこそこ腕の立つ奴だったからそれなりにゲームもやってるだろうから、全部消してきてくれ。あ、でも可哀想だからなんか適当に一つデータ残しといてやってくれ」

『全く・・・注文が多いわね・・・まぁいいわ、じゃあ始めよっか!』

「対戦するゲームは何にする?」

『じゃあ無難にオセロで!』

「はいよ、オセロっと」

パソコンの中からリバーシゲームソフトを立ち上げ、オセロの準備をする。

オセロは二人零和有限確定完全情報ゲーム。まぁつまり運要素は無いと言うことだ。だから駿は負けるはずが無いと思ったのだ。

しかし、

「クッソ〜!久しぶりに負けた!」

『ふっふーん、私強いでしょ?』

自慢気に言うコトネに対し、駿は笑っていた。一発勝負だったものの、駿はたったの十手以内にコトネの手の内を暴き出すことができた。しかしコトネがどうイカサマしているのかが分からなかった。

「これが電脳との差、か」

駿は聞こえない程度の声で呟いた。

『なんか言った?』

「いや何も?」

『じゃあ約束は守って貰うわよ!』

「はぁ、分かったよ公園に行きゃいいんだろ?」

『それじゃあ、レッツゴー!』


と、まぁこんな感じでひきこもりが外出するという大イベントが発生したというわけです。




駿が外出してから数日が経った今、唐突に駿がこんなことを言った。

「なぁコトネ、俺仕事増やしてもいいか?」

『あんたあんまり仕事増やすとヒキニートじゃなくてネオニートになるよ?』

「構わん、ただ今回のはちょっとお前の力を貸してもらうぞ?」

『別に私は構わないけど・・・何やるの?』

「小説家」

『はい?あんた小説書けるの?』

「いや書いた事は無いが、これだけ本読んでれば、嫌でもアイディアが湧き出てくるんだよな・・・それを解消するために小説家をやるということだ!」

実際駿は、ほぼ全てのライトノベルを読んだ。文学小説だってそれなりの量を読んでいるし、タブレットの電子書籍にも十万を超える程の本が入っている。電子書籍の方は基本、心理学や、まぁ大まかに言えば学ぶための本がメインだ。もし駿が東大に受けたら余裕で合格するだろう。海外の名門大学にもきっと余裕で合格するだろう。

何故なら駿は、ありとあらゆる知識、更には世界に存在する全ての言語を覚えたからだ。圧倒的な頭脳でそのすべてを脳内図書館に新たな本として棚に置く。駿にとってはただそれだけのことなのだ。

『まぁあんたなら出来ると思うけど、そんな簡単になれるものなの?』

「んー、簡単には行かないけど、まぁとりあえず書いてみてからだな。それと、客観的な意見としてお前が必要なんだよ。読んでくれるやつがいないと何が悪いのかが分からないまま、分からないままで終わるのは俺は嫌いなんだよ。」

『ほぇー、なんか駿がかっこいいこと言ってるし・・・』

「う、うっせぇ馬鹿!まぁとりあえず書いてみっから、一時間くらい待っててくれ。文章量は大体ラノベの半分くらいの方が読みやすいだろ?」

『うんまぁ・・・それより楽しみですな、駿の小説!』

「まぁ待ってろすぐ書いてやる!」

そう言ってキーボードをうち始めた。駿は一秒間に七文字打つことが出来る。ラノベの半分の文章量なら一時間もいらないはずだ。しかし駿はあえて一時間とった。それには理由があるのだが今はまだ言えない。

そしてぴったり一時間後、

「コトネ〜終わったぞ〜!」

『はいはーい!では読ませて頂きますね!』

そして約三十分弱過ぎた頃、

『・・・ねぇ、あんたって天才なの馬鹿なの?』

「さぁ?」

『内容はすっごい面白かった、けどさ・・・何でこんなに妹いるの?』

「妹が好きだから!」

『あんたには優衣ちゃんという可愛い妹がいるでしょうが!』

「いや、優衣はもちろん好きだ。どの妹の中でも一番だ。だがな、優衣は俺に対してなんか冷たいんだよ、だから自分の思い通りの妹を作ったわけだ!」

『あぁうんそれはわかった。それよりさ、この物語の主人公さ完全にあんただよね?』

「あぁそうだが?」

それがどうかしたのかという顔でこっちを見てくる駿にコトネはため息をつくだけだった。

『まぁとりあえずこれ出してみたら?今なら雷電文庫のラノベ新人賞のやつやってるでしょ?』

「そうだな早速出してみるか」

駿が小説を応募してから二週間後、

「兄ちゃんー、なんかお手紙来てるよー!雷電文庫って書いてあるー!」

二階から返事は無い。仕方ないことだ。今はまだ朝の七時。ひきこもりの駿はまだ寝ている。

階段を上がって兄の部屋の前に立った優衣はノックをしようとしたが、手紙はドアの下の隙間から入れておいてあげた。

優衣が学校に行ってから四時間。駿はようやく目を覚まし、いつも通り部屋の掃除をし、顔も洗い、寝癖も直す。ひきこもりだがここら辺の身嗜みはしっかりとしている。遅めの朝食を食べ、部屋に戻った時、床に一通の手紙が落ちていることに気がついた。雷電文庫からの手紙だ。駿はすぐさま手紙の内容を確認した。結果は、無事一次審査通過。

「はぁぁぁぁ!良かったぁ・・・!」

『まぁとりあえず、だね。一次審査なんてあの作品なら余裕よ!』



その後二次審査も無事通過。そして新人賞発表の日が来た。

「兄ちゃんー!なんかお手紙来てるよー!」

二階から返事は無い。仕方ないことだ。

今はまだ朝の七時。ひきこもりの駿はまだ―寝てなどいなかった。

駿は眠気に耐え、掠れ声で、

「なんだ妹よ・・・」

その声は妹に届かず。

「入れといて上げるか・・・」

そう言って優衣は手紙を扉の隙間から入れ下に降りていった。

駿は床に這いつくばりながら頑張って頑張って頑張って!ようやく手紙に辿りついた。

「どれどれ結果は・・・っはぁぁぁぁぁ!?」

『なに!?どうなったのよ!』

駿が持っていた手紙には・・・書籍化決定の文字があった。しかもただの受賞じゃない。新人賞だ。

「なってしまった・・・作家に・・・ついに俺もニート卒業!消費ブタから生産型にジョブチェンジだぁぁぁぁ!!」

奇声を上げながら喜んでる駿を見て、コトネは嬉しく思った。同時に・・・・切なさを感じた。そして言った・・・

『良かったね駿。』

と。





「恋愛アンチ×女嫌い=俺」2章をご覧いただきありがとうございました!


投稿遅れてしまい大変申し訳ないです。いつかこの小説を見てくれる人がいると信じて頑張って書き続けたいと思っております。


では次は3章でお会いしましょう!


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