第七話 俺の聖剣人生が動き始めたんだけど
*前回のあらすじ*
変な夢を見ていました。
*二話連続です読み飛ばし注意*
ん?ちょっと寝てた?
あれから皇帝さんの説教が長引いて、さらにウンディーネも説教に参加して話し合いとかいう雰囲気じゃなくなっていた。
最後に見た記憶ではイリーナちゃん涙目だった気がする。
それにしてもなんか変な夢を見た気がする。
俺あの夢の場所に居ないよな?
うん、ノームがぐーすか寝てるだけでいつもの洞窟だ。
というかノーム以外誰も居ねぇ。
もうお開きになったのか?
結局あの会議どうなったんだよ?
まぁ良いけど、なんだったのかねぇ今の夢は・・・?
というか聖剣に転生してから初めて寝たよ俺?
今更だけど俺、聖剣に転生してから無機物故なのか寝たことは一度もない!はず!
うん、やっぱ寝た憶えはないな?
転生後初の眠りが説教地獄で退屈になったからとか微妙だな・・・。
夢も変なもんだったし。
場所が違うだけで同じような状況だったし・・・。
しかし『憎い』ねぇ・・・。
結構脳天気な性格だったからそこまで感じてなかったが、どこかで恨みを持ってたのかな?
交通事故や今の状況に・・・。
ん~・・・。
何の感情もないと言えない事は無いが別にあそこまで恨む気はないんだよなぁ・・・。
そりゃ事故の事には怒り覚えるよ?
けど人生生きてりゃ死ぬこともあるんだし、運命だったんだと受け入れてはいる。
仮にあの事故で運転手が生きてれば法に従って罰受けてるだろうし、死んでてもそれなりに罰を受けてるだろう。
今の状況だって不満はある。
けどレネ爺や皇帝さんやイリーナちゃん、それに会話にならねぇけど大精霊達も居る。
残念な女神であるお母様も居るしなぁ・・・。
動けないけどそこそこ満足してるんだぜ?
俺がこんな状況で腐らないで居るのはレネ爺が居たからってのが一番大きいかもなぁ・・・。
なんだかんだレネ爺が一番俺を気遣ってくれてるし。
出来る範囲で色々やってくれてるしな。
本当に俺を気遣ってくれて良い爺ちゃんだぜ・・・。
俺には勿体無い気がするな・・・。
「なんじゃ大地。起きたのか。」
ん?爺ちゃん居たの?
気付かなかったがメンテナンスの最中だったか。
「あぁ、おはよう爺ちゃん。」
「本質はインテリジェンスアイテムと一緒と思ってたのだがのぉ?やはり転生者だから寝たのか?」
「ん~どうなんだろうな?転生してから初の睡眠だったぜ?」
「ふむ・・・、なんらかの異常という可能性もあるな。今日は無理じゃが数日中にしっかりとした点検をしよう。」
「一応頼むわ。変な夢も見ちまったし。」
「変な夢じゃと?聞いても大丈夫か?」
まぁ簡単に今見た夢の話をレネ爺にしたらなんか青ざめてた。
俺そこまでこの状況を恨んでるとでも思っているのかねぇ?
親しい友人も出来たし、まぁ大好きな爺ちゃんも居るしそこまで不満は無いよ?
動けないだけで結構充実した聖剣人生だし。
なんか慌てたように次の本格メンテの事だけ言って帰っちゃったよ?
そんな恨んでるように思われてるのかねぇ?
ちなみにノームはいつの間にか居なかった。
「女神様・・・。」
「そうですか・・・大地がそんな夢を・・・。」
「これはもしかするとアレの干渉・・・いえ、覚醒ですか?」
「彼の神に可能性として聞いただけですが・・・。やはり存在したのですね・・・。」
「ついに来てしまいましたか・・・。」
「悲しい事ですが、これも創造神の定めた運命なのでしょう・・・。」
「ん~・・・。」
レネ爺が居なくなってから違和感を感じる。
どこがおかしいとはっきり言える事じゃないんだが・・・。
なんかこうむずむずする感じ?
どこがどうむずむずすると言えるわけじゃない。
やっぱあのよくわからない夢が原因?それとも寝た事?
まぁ考えててもよくわかんねぇし魔法の練習でもするか。
「なんだ?」
魔法の練習をしようと体(?)に魔力を巡らせた瞬間、転生してから感じる事の出来なかった感覚に襲われた。
ずっと感じていた違和感がより増したという感じだ。
だが不思議と嫌じゃない。
この違和感の原因が分かるかも知れないし、そのまま魔力を巡らせてみよう。
「痛て・・・。ん?痛い?」
懐かしい感覚だ。
剣になってから一度も感じたことの無い感覚。
俺の管理者と言っても、結構乱暴に叩いてくるレネ爺から一度も受けたことの無い感覚。
そう、痛みだ。
むしろ剣がそんな感覚を受ける事事態がおかしい。
聖剣であろうと所詮は武器は武器、刃も欠けるだろうしヘタしたら折れる。
まぁ聖剣って物がそうそうそんな事になるはずはないのだがそれでもあるはずがない。
なのになぜ痛みを今感じた?理由は?
困惑しながら手で体を触るが異変は・・・・・・・・・。
「って!?体がある!?」
今まで剣として地面に刺さっていたはず!
当然手なんてもんは存在しなかったはず!
なのに今触れてわかったけど、人間としての体がある!?
鏡がないから顔はわからないが、肉体としては前世に近い。
まぁあの頃はそうやってじっくり自分の体を触ることなんてなかったから確信はないが・・・。
だが色が異様に白い。
黄色人種だったはずだが白人に近い色合いだ。
髪の毛を一本抜いてみると金色。
俺、どこにでもいる普通の日本人高校生だったはずなんだがなぁ・・・。
馬鹿みたいな不良やチャラ男みたいに髪染める事も無かったし、染める気もなかったんだが・・・。
理由が理解できない、というよりコレ元に戻れるの?
レネ爺がここに来る予定の日までに今の現状をしっかりと確認しないといかんな。
軽く調べたけど簡単にいえばこうだ。
今の体は剣を核にして出来ている魔力の体。
魔力で出来ていると言っても基本は人間と変わりないだろうが、硬度が違う。
さっき痛いと感じたのは久しぶりに地面に触れたから感じたもの。
酸素を取り込む必要も無いし、熱さや寒さを感じる事も無い。
服も魔力とイメージで作ることが出来る上に使う魔力量に応じた性能。
これチートじゃね?
多分だけど首はねられても核である聖剣が無事なら死ぬことはないだろうし、そもそも聖剣と同じくらいの硬さがある俺を傷つける武器があるとも考えにくい。
難点と言えば体が魔力だから枯渇すれば剣に戻ってしまう。
だけどそこは聖剣のおかげなのか、この状態で今までと同じ年月過ごしても枯渇はしないだろう。
無駄にバンバン大魔法撃たなければ聖剣に戻ることは無いだろう。
後、聖剣に戻るとどうも元々刺さっていた場所に戻るようだ。
多分だけど今聖剣が刺さっているのはこの体、担い手が居ないとここに戻るという可能性がある。
今まで使われた事無いから予想だけど。
この状態で担い手を選んだ時、また元の場所に戻るか担い手の手の中にあるかも検証したいが難易度が高い・・・。
そもそも担い手を必要とする事態が今起こっていないのが痛い。
まぁそこはその時の検証という事にしよう。
今はこの状況をレネ爺に説明するかどうかだ。
きっとお母様(女神様)は気づいているだろう。
それなのに確認してる最中に誰も来なかったから問題視していない。
だがレネ爺だ。
レネ爺はここに聖剣があることが重要だと考えている節がある。
これ説明してもきっと反対されるだろうな・・・。
このまま隠すか?
・・・そうしよ♪
あの夢についても知りたいし、異変があったら困るから次の本格メンテナンスが終わった後こっそり街に行ってみよう♪
まぁ一番の異変は今のこの状態なんだけどね。
冒険者ギルドとかあるみたいだし、資金もそっちで稼げばいいか。
イリーナちゃんの話だと素材の買い取りだけで生計立てる奴も居るらしいからなんとかなるだろ。
まぁ食も必要ない体みたいだし、寝る必要も多分ない。
金のかかる事なんてそうそう起こることは無いだろう。
食事は趣味でしますけどね!待ってろ異世界料理!!!!
後は何するか考えながら旅立つ日まで考えておこう。
バレた時のレネ爺の苦言が結構怖いけど。
やっと洞窟から脱出します。
一章丸々動けず、洞窟内で進めるのは結構難題過ぎるのでここらで一章は打ち止め。
次回からは人間体となり冒険を始めます。
お約束があったりなどしますがまぁ問題なく進めるでしょう。
だって彼はチートだから!!
次回はまぁプロフィールや設定を出した後第二章へと入ります。