俺と新米彼女の作戦行動 part3
「次の本は、ある組織に属する若きエースの物語」
「彼のそばにいる彼女も少しは成長したようです」
「それでは心逝くまでお楽しみください」
「ここまで来ると本当に何でもありだな」
拳銃を撃ち、前方から来るゾンビの頭を吹き飛ばし撃退しながら、俺は舌打ち混じりに愚痴を吐く。
「先輩待ってください~」
涙交じりの声で、迫りくるゴーストの攻撃をよけながら、部下であり相棒である後輩の少女が近寄って来る。
体が半透明の存在で、こちらの攻撃のほとんどがすり抜けるのに、向こうの攻撃は効くって反則だろう。
泣き言を言っているが後輩だが、それでもしっかり攻撃を避けているのは、さすが組織の一員ってことだろう。
「馬鹿か、早くポケットに入れている除霊用手榴弾を投げろ!」
迫りくるゴーストやゾンビの大軍を見ながら俺は怒鳴りつけ、その言葉で思い出したのか、後輩はポケットに入れた手榴弾を取り出すと、ゴースト達に向かって投げ付ける。
――ピンを抜かずにそのまま……。
もちろん手榴弾は爆発をせずに、そのまますり抜け足元を転がる。
「え?え?なんで爆発しないんですか?」
訳も分からずあたふたする後輩に頭痛を覚えながら、俺は後輩が投げた手榴弾に弾丸を撃ち込む。
轟音と共に爆発が起こり、俺達を襲おうとしていたゴーストたちが一斉に消し飛ぶ。
ついでに衝撃態勢を取っていなかった後輩も爆風で吹き飛ばされる。
「ほら、今のうちに隠れるぞ」
そんな吹き飛ばされ転がった後輩の首根っこを掴み、俺達はその場から離脱する。
しばらく歩き誰もいない小部屋を見つけ、身を隠しながら俺は銃に弾丸を詰め直す。
対幽霊用の弾丸はもう残り少ない。
「しかし、なんであんな化け物がいるんですかね~」
後輩も同じように銃の点検をしながら聞いてくる。
「さあな、大方幽霊屋敷を隠れ蓑にするつもりが、隠れ蓑にでも食われたんだろう」
今回の任務は、某国が極秘に開発していると言われる宇宙開発計画の一端を調査し、危険と思えば破壊工作を行えということだった。
そう、そう言う任務のはずだったのだ。
調査開始してすぐに極秘に造られたスペースシャトルの在りかを知り現場に向かった。
そこは幽霊屋敷があると有名で、地元の人間も近づかない場所だった。
俺と後輩は秘かに屋敷に潜入、調査を開始しようとした矢先いきなり出てきた化け物に襲われ今に至る。
「それにしても、あんなのが本当にいるんですね~」
「お前が知らないだけで、この世界にはあんなのがたくさんいるさ。
ただそれが人々に知られないようにするのも、俺たちの仕事のうちだから誰も知らないだけのことだ」
生者と死者の境目はしっかりしないといけない。
そのためにも組織は動いている。
最も本来ならばこんな仕事は俺たちの部署の仕事じゃないはずなのだが。
装備の準備を終え、後輩の方を窺う。
後輩の方も準備ができたのだろ、いつになく真剣な顔でこちらを見てうなずく。
「よし、それじゃこれからは慎重に行動するぞ」
無駄弾は撃てない、だから慎重に行動して活路を開く。
扉の前に立ち、ゆっくりと扉を開け外の様子を窺う。
後輩も扉に近づこう足を進めたときに、ポケットからピッピッピッと電子音が鳴る。
緊張していたため心臓が口から飛び出るかと思うほど驚いた。
「慎重にって言ったばかりだろう、一体何の音だ」
俺の静かな叱責に、少女はポケットからいまだに鳴っている機器を取り出す。
それを見て俺は顔が引きつる。
「……地雷探知機」
今回必要無いはずの携帯型の地雷探知機を、なぜ持っているかは今は置いておこう。
問題なのはそれが今なっているということだ。
ゆっくりと俺と後輩が視線をゆっくり足元におろし、その後同じようにゆっくりと顔を上げ互いにうなずき合う。
部屋から飛び出た瞬間爆音と共に部屋が爆発する。
「幽霊だけじゃなくて、こんな罠もあったんですね」
「一体こいつらはどんな侵入者を想定していたんだ」
楽しそうに笑いながら言う後輩とは真逆に、俺は怒鳴りながら二人は屋敷を疾走する。
その後、丸二日かけ屋敷の謎を解き何とか任務を達成することができた。
顔も見たこと無い上司からは、なぜか今回も褒められた。
「いかがでしたか?」
「お気に召しましたか?」
「よろしければ次の本もお読みください」




