正義の味方?
「次の本は正義の味方です」
「正義の味方とはいえ彼らは一風変わっています」
「それでは心逝くまでお楽しみください」
「これで終わりだー!!」
悪の組織のボスがそう言いって黒く輝く剣を振り上げる。
地面に倒れ伏していた俺達は、その剣を見上げながら何とか抵抗しようと痛む体に鞭を打ちながら立ち上がる。
「こんなところで」
「俺たちが」
「負けるわけにはいかないの」
最初はバラバラの関係の俺達だった。
目的も、性格も違う俺達。
熱血漢で、世界平和を心から望んでいるレッド。
クールで、ただ静寂で落ち着いた世界を目指したブルー。
天真爛漫で、人々が慈愛にあふれた世界を願ったピンク。
出会いからして最悪だったが、それでも多くの危険を共にくぐりぬけることでいつしか仲間意識が芽生えてきた。
レッドが、やりすぎた正当防衛で訴えられた時も、弁護士と戦った。
ブルーの無自覚に作ってしまった、三角関係の修羅場もビンタ一発で終わらせた。
ピンクのお買い物中毒を直すのはかなり苦労したが、それでも成功した。
他にも、『砂漠の四つこぶラクダ事件』や『ネッシー保護団体撤退作戦』、アメリカ合衆国を巻き込んだ『エリア51 エイリアン侵略防衛戦線』などたくさんあった。
世界を守るために俺たちの強い心が一つになる。
敵の剣と同様に、俺たちの体も輝きだす。
「くらえ」
「これが俺たちの」
「三位一体の必殺技」
「「「トリプルバースト!!!」」」
仲間と心が一つになった時だけ出せる、伝説の必殺技が敵の剣に向かい打つ。
激しい光が俺たちと敵の間でせめぎ合う。
だが僅かに俺たちの力の方が上だったのだろう、敵の光が徐々に押されていく。
そしてしかりの奔流が敵を飲みこみ吹き飛ばす。
あとには何も残っていなかった。
俺達は勝ったのだ。
「やったな」
「あぁ。俺たちの勝ちだ」
「大変だったけどやり遂げたね」
全力を使い果たし、その場に座り込んだままともに笑い合う。
これが俺たちと悪の秘密組織との間に繰り広げられた『全人類赤信号みんなで渡れば怖くない計画』の結末である。
俺達はまた世界を守り、これからも世界を守っていく。
「いかがでしたか?」
「お気に召しましたか?」
「よろしければ次の本もお読みください」