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童話考察

「次の本はある二人の会話です」

「童話とは先人の知恵が詰まったもの」

「それでは心逝くまでお楽しみください」

「ヘンゼルがグレてる?」


「またベタな聞き違いをするなお前は、そうじゃなくて童話のヘンゼルとグレーテルって言ったんだよ」


「わかっているって、ちょっとした冗談だよ。それでその童話がどうかしたの?」


「ヘンゼルとグレーテルの話ってさ、最初母親に捨てられる時に石を道標において迷わず家に帰って来る。次にパンを道標に置いたが鳥に食われて家に帰れなくなってしまう。迷った二人はお菓子の家に迷い込み、ついついお菓子の家を食べ過ぎでその家で寝てしまう。ところが実はその家は魔女の家で、二人は囚われてしまう。兄さんは檻に捕らえられ太らせてから食べようとするが、妹の作戦と兄の計略で魔女を騙しかまどで焼き殺し、その後無事に家に帰りつき、戻った家ではすでに母親は死んでおり、兄弟はその後幸せに暮らしましたって話だ」


「あれ、ヘンゼルとグレーテルってそんな話だったか?もっとメルヘンチックだった気がするけど」


「原作のグリム童話だとこんな話だよ」


「そうなんだ。また綺麗に話をまとめたな、でその話が一体どうしたんだよ?」


「この童話って、ツッコミ所が多くないか?」


「…………は?」


「だからさ、まずパンを置くぐらいなら家を追い出されなかったんじゃないか」


「いや、そこからツッコムのか?童話なんだからそこはスルーしてやれよ」


「魔女がお菓子の家に住んでいるのはどう考えてもおかしいだろう」


「……確かにそれはおかしいな。あーでも、子供をさらうためにわざとお菓子の家にしたんじゃないのか」


「なるほど、それなら確かに納得できるな。けどまだ納得できないことがあるんだ。魔女を子供が焼き殺したってどう考えても無理だし、その後家に普通に戻れたのなら道標もいらなかっただろうし、特に最後なんだよ家に帰ったら母親が死んでいて幸せに暮らしましたって」


「それ言い始めたら、話が終わらないだろう。いいか、こういう昔の話は危ないから駄目だよって教訓を示しているからこんな話になるんだよ」


「そうなのか?」


「お菓子の家は、あやしい所に近づいてはいけないって意味だろう」


「なるほどだからか、簡単に魔女を殺す子供たちの姿には、拳銃みたいな凶器よりも、子供の純粋な狂気が危ないって忠告の意味があるんだな」


「それは、違うんじゃないのか」


「親に捨てられる場面も、深く読むと追い出される前に武道か何かで体を鍛えて、困難に立ち向かえって意味かもしれないな」


「それは明らかに違う」


「こう考えると、童話ってすごいな」


「……俺はお前の考え方をすごいと思うよ」


「いかがでしたか?」

「お気に召しましたか?」

「よろしければ次の本もお読みください」

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