読書感想文 ~邪心編~
「はーい、それじゃあ次は……、薙野くん。読んで」
「はい!」
「走れメロス」を読んで
5年16組 薙野 仁時
ぼくはこの本を読んで、メロスはすごく愚かな人だなぁと思いました。
何も考えずに王城に乗り込み、友人を人質にして自分はのうのうと家に帰り、都合の合わない妹の婿に無理を言ってまで結婚式を開かせ、どんちゃんどんちゃん騒いだあげくにおのれの慢心から居眠りまでして、城に戻るまでのみちのりであろうことか一度諦めようとしていました。
それでもかれは立ち上がり、夕刻に間に合って最終的にはみんな丸く収まった。なんていうのは結果論にすぎません。
もしもディオニスの妨害がもうひとつ多ければ、間に合うことはなかったでしょう。
そもそもこんなことになったのもメロスな軽はずみな行動が原因です。なのになぜ彼はあんなにも英雄気取りなのでしょう。彼の粗い殺人計画のせいで、少なくともメロスかセリヌンティウスどちらかの命が失われているはずでした。セリヌンティウスのことはともかく、自己犠牲もいただけませんね。命は平等です。彼が他の人の命を大切に思うのならば、同様に自分の命も思いやるべきなのです。残された者達を思いやるべきなのです。
彼の行動はあまりにも独善的で、なんだかんだいって自分の安い正義感を守りたいだけだと思いました。
あとぼくは、メロスは受けだと思います。
「終わりです」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「…………先生はセリヌンの誘い受けだと思います」
薙野くんは今は高校生になり、立派な野球選手になりました
たぶん