who?
得意先からの帰り道、男は突然の強い便意に襲われた。
「確かこの先の公園に公衆トイレがあったはずだ」
腹の痛みを堪えながら男は小走りで公園に向かう。
公園敷地内にあるモルタル造りの薄汚れたトイレは男女共用で小便器が二つと大便ブースが三つ。ブースの扉は全て閉まっていた。
「ああ、なんてことだ」
男は唇を噛みしめ嘆いた。なぜなら男の肛門は既に緊張と弛緩を繰り返し限界に近づきつつあったからだ。
震える手で一つ目の扉をノックした。
「はいっています」
続いて隣の扉をノックした。
「はいっています」
額からは脂汗が滴り落ちた。涙目になりながら最後の扉をノックした。
「おはいりください」
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