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5~7

          5


 その一週間前のこと。

 緑はまたみどりのいえにいた。アイスコーヒーを飲みながら、鈴村京平と話をしていたのだった。美喜は来ていなかった。

「ところで京平さんは何の仕事をしてるんです?」

 緑はさりげなく聞いた。ものすごく気になっていたのだがなかなか聞けないでいたのだった。京平は、緑がここにくるとき必ず先にカウンターに座っているのだ。

「げ」京平は緑の言葉を聞いて言う。

「げ?」

「そんなことどうでもいいやない」

 京平はばつが悪そうに笑う。何か不都合なことでもあるのだろうか。深く詮索するつもりはなかったが、でも京平のその態度がどうも緑に興味を持たせた。

 尾道見ると、ほんの少し口角が上がっている。そして緑を見て言った。

「当ててみたら?」

 それを聞いて京平はまた慌てる。

「いや、そんな仕事いうほどのもんじゃないしなぁ」

「まぁそのうち分かるかもしれないね」

 尾道は言う。それを聞いた京平は驚いた顔をする。

「えっ、その話尾道さんに言いましたっけ? 何で知ってんの」

 すると尾道さんは真剣な顔をして言う。

「美喜ちゃんに聞いたのさ」その姿は可笑しかった。

 聞くと京平は恥ずかしそうに「まいったなぁ」と言う。緑は一人、話が何を意味しているのか分からないでいた。

「気になりますね」

 緑がそう言うと、尾道は京平に視線を送る。すると京平はやっぱり恥ずかしそうにしている。今日はスーツではない。というかスーツは初めて会ったときしか見たことはなかった。

 仕事をしてないわけではないらしい。言うのが恥ずかしい仕事をしているのか。考えても、よく分からなかった。京平が何かの仕事をしている姿が想像できなかった。

「いや別に隠すつもりはないんよ、でも」

 そのとき、がらんという音がして店のドアが開き、一人の男が入ってきた。

 緑は少々驚いた。緑がこの店に来るようになってから京平と美喜以外の客を見たことがなかったわけではなかったが、その男が入ってきたときに尾道が見せた表情から初めての客であることが分かったからだ。常連以外がこの店にやってくることがどれほど珍しいかを知っていたので、驚いたのだった。

「こんにちは」

 男は落ち着いてゆっくりと言った。年は四十はまわっているだろう。体つきはしっかりしていて、健康的な感じがした。そして帽子をかぶっていた。

「いらっしゃいませ。こちらにくるのは初めてですね?」尾道がそう言うと男は、「ええ」と答える。

「はじめまして、尾道と申します」

 その言葉に男は多少戸惑っていたが、すぐに頭を下げた。確かに、喫茶店に行き店主に名乗られたら驚くだろう。それがごく当たり前の反応だった。

 男はそれに答えて自分も名乗る。

「私は宮城と言います」

 その声は先ほどに比べると覇気がなかった。

「どうぞこちらへ」尾道がカウンターを指して言う。「コーヒーでよろしいですか?」

 宮城は指された席に腰を落とし、「ええ」と言った。その目はあまり笑わなそうな目だった。今は、悲しみを含んでいるように見える。

「この辺の人とちゃいますよね」

 遠慮もなく京平が話しかける。それに対して宮城は特に驚くでもなく答える。

「ええ、家は赤羽です」

「赤羽?」京平が聞き返す。

「そんなところからわざわざ?」

 赤羽というのは、ここから電車で一時間ほどかかるところであった。確かに遠い。

 宮城はそれには答えず、黙って机の端の方を見ていた。しかし次の瞬間、信じられないことを口にした。

「私、人を殺して来たんです」

 それはあまりにも突然で、緑は驚いて宮城を見た。見ると京平も尾道も同じように驚いた顔をしていた。関係のある話をしていたわけではない。いやそもそも人を殺すことに関係のある話などそうそうはしない。それなのに宮城はなんのためらいもなく自然にそう言ったのだった。

「殺したって?」数秒の沈黙の後、京平が言う。

「ええ、殺しました」宮城は自分の両掌をじっと見つめる。

「あんた、ふざけてんの?」

 はじめて京平が真剣な顔をして言った。思わず緑は京平に視線を向けた。

「ふざけてるんやったら、他の場所でやってほしいわ」

「ふざけてないですよ。本当のことです」

 宮城がそう言うと京平は明らかに困ったような顔をして尾道を見る。その視線を受けて尾道は宮城に言った。

「それで、どうしてここへ来たのですか?」

 さらにどうしてそんな話を緑たちにしているのか。全く分からなかった。宮城が言いたいことは一体何なのだろう。

「ここに来たのは、私を匿っていただきたくて」

 戸惑ってはいたが、はっきりと言う。

 場は静かだった。流石に年長者の尾道は落ち着いて対処しようとしていたが、京平は少し落ち着かなくなっていた。緑はと言うとどうしたらいいかよく分からず、というかどうする気もなく、ただ他人事のように見ていた。落ち着いているというのでは緑が一番落ち着いていたかもしれなかった。

「匿ってって自分……」京平が沈黙を破った。「ほんならなんでこんなところ来たんや? もっと遠いところ逃げたらええやんか。逃げる気があるんなら何もここにやってこやんでも」

 すると宮城は立ち上がって深く頭を下げた。反論をするのかと思われたが、口から出てきたのは少し違う言葉だった。

「無理な話だというのは承知しています。少しの間だけでいいんです。あなたの言う通りもっと遠くに逃げようと思っています。でも、時間がかかるのです。もう少しこの辺にいなくてはいけない」

言っていることはめちゃくちゃだった。それにいきなり知らない土地の知らない喫茶店にやってきて匿ってくださいなんて、そんな話があるだろうか。

そして、一番大切なことだが、宮城は本当に殺人を犯したのか。もし宮城の言っていることが本当なら、この場にいる緑たちはもっと危険を感じるべきなのだ。人を殺した人間が、それを告白する。この状況はそうそうありえるものじゃない。しかし宮城はとても落ち着いていた。緑はそれに違和感すら覚えていた。

そこで緑は初めて発言した。

「宮城さん、あなたは何故人を殺したのですか? それを話してください」

 緑の声が久しぶりに響き、尾道と京平は何だか少し落ち着いたようだった。しかし尾道はカップを拭く手を休めたままであったし、京平も宮城をじっと見つめたままである。それは、当たり前のことなのだろうが、これが当り前かどうか判断することは緑には出来なかったので変な感じだった。

 宮城は初めて緑を見て言った。

「私が殺したのは、木村和也という男です」

 その言葉から始まり、宮城は今の自分の状況に至るまでを語りだした。そこに偽りがあるかどうか、それを考えることが前提でその話は緑の頭に入っていった。


 宮城功輔には伊藤千草という友人がいた。二人は大学のときの同級性であり、四十を回る今でも二人には付き合いがあった。たまに飲んだりしていろいろな愚痴をこぼしあっていたりしたらしい。二人は良き親友だったという。

 その伊藤千草が一か月前に死んだ。通り魔殺人で、千草は仕事の帰り道、もうすぐ家というところで知らない男に刺されて死んだ。はじめは金目的だったが、抵抗する千草を鎮めようとして刺したのではないかと言われている。

 その犯人が木村和也らしかった。らしかったというのは、警察の発表があったわけではなかったからである。宮城の話ではその日千草の兄が走り去る木村を見たらしい。そして調べる内に木村が犯人であると確信したのだそうだ。

「千草のお兄さんはその顔を知っていたそうなんです。よく行くコンビニの店員だったそうで、だから覚えていて、犯人を突き止めたんです。それで私に相談してきたのです。そこで私は警察に通報すればよかったのですが、千草を殺したという事実があまりにも許せなくて……、昨日の夜、仕事帰りのあの男の後を追ってナイフで刺しました」

 宮城は手をわなわな震えさせて言う。緑はそれをじっと見つめた。罪の意識というやつか。それはどんな気持ちなのだろうか。想像はできるが、実際にはよく分からない。この男にはそれがどういう形でのしかかっているのか。

「でも後悔はしていません。あんな人間は生きていてはいけないのです。犯罪の正当化なんておかしいと思うでしょうね。でも実際自分が罪を犯したら、こう思うしかないんですよ」

 そう言う宮城は辛そうな顔をした。その表情は偽りではないように感じられた。

「そしてすぐに家に帰って、逃げなくてはいけないと思ったのでここにやってきたのです」

「どうしてここへ?」

 緑が聞くと、宮城は悲しそうに答えた。

「正直なところ、本当はばれないんじゃないかっていう気持ちがあって。だからあまり離れたところに行くのは気が進まなくて」

 宮城は下を向いて言った。

 緑は尾道と京平を見る。そこで考えたのだが、二人はどうするつもりなのだろう。緑は完全に部外者の気分であった。

「宮城さん」尾道が言う。

「はい」

「あなたを匿うといのは、こちらが積極的にできることではないのは分かりますよね?」

「ええ」

 不安な顔の宮城に向けられる尾道の表情は、いつもとこれっぽっちも変わりのないものだった。そして尾道は言った。それはなんとなく緑が想像していたことと同じだった。

「ただ、僕の家は宿業もしていますからただ泊まっていくだけというのなら一向に構わないわけです」

 その瞬間京平は驚いた顔で尾道を見る。

「僕たちがあなたのことを黙っていられるかも保証はできません。というか保証はしません。しかし、聞かれなかったら言うこともないでしょう」

 京平は信じられないという顔をしている。緑はしかし、尾道の気持ちが少し分かっているような気がしていた。

「それでいいですか?」

「はい! ありがとうございます」

 尾道のその問に宮城は、頭をこれ以上は無理と言うほどに下げて礼を言った。その宮城の姿は緑に不思議な違和感をもたらした。

 時間はどんどん過ぎていく。みどりのいえに新しい人物が現れたのは、緑の人生の登場人物が一人増えたことと同じことだった。気持ちが何か変化しているように思うが、こんなことは日常的によくあることなのだ。緑はまた、自分で世界をせまくしようとしていたことに気がついた。


          6


「おかしい」

 帰りの駅までの道、京平が横で言った。京平はたまにこうして緑を駅まで送って行ってくれる。

「何がです?」緑は何事もなかったかのように言う。

「何がって、え? 緑ちゃん、何も思わへんのかいな」

 信じられないように言う。そんな姿を見て緑はしかし、落ち着いて言った。京平の言いたいことは分かっていた。

「私はまだ尾道さんとも京平さんとも知り合って間もないし、今尾道さんが出た行動に対しておかしいとかそういうのは思わない」

 それらしいことを言ってみる。

「せやけど……」

 京平はまだ納得のいかない顔をしている。彼に言わせれば知っているからこそおかしいと思うのだろうか。緑には分からなかったが、京平の正義感がそうさせているのだと思った。

 そこで緑は提案してみることにした。たった今の思い付きだった。

「じゃあ、調べてみます?」

「何をー」

「本当にあの人の言ってることが正しいかどうか」

「んん?」

 京平は緑の言葉にまた驚いた様子で、唸りだす。

「プロじゃないんだからそんな簡単に何かが分かるとは思わないけど、何もしないよりは今の状況をよくすると思いますけどね。尾道さん、きっとこのままでしょう?」

 すると京平はまた「うーん」と唸ってから、

「そうやなぁ。なんかそんな気がする」

「そうですよ」

 尾道が陰で警察に通報するかもしれないと京平が言い出すかと思ったが、言わなかったところを見るとやはり先ほどの尾道は彼らしい行動をしたのだろう。

「じゃあ、とりあえず各種媒体で調べてみるか……。ていうかその事件聞いた事ないけどなぁ」

 前に聞いたのだが京平はテレビを滅多に見ないらしい。新聞もとっておらず、その台詞が出るのは当たり前だと思った。

「私は何となく覚えてますよ。通り魔事件のこと」

「そうかぁ。じゃあ全くの作り話というわけでもないんか。そりゃそうやな、そんなことしても何の得もない」

「あの話、作り話だと思いますか?」

「思わないね。あんなに詳しく知ってんのや、しかも自白してるやないか」

 京平はここまであの男を疑っておきながら、通報するとか言う話はしなかった。それが緑にはすごく変に感じたが、つまり京平は結局のところ尾道を信用しているのだ。だから宮城が犯罪者だと言い切れる自信がよほど強くないと口に出せないのだろう。そんな感じだ。緑はこうなってみてまた新しいことが知れたことが少し気持ちよかった。

 みどりのいえに殺人者らしき人物がいることに不安がないと言えばうそになるのだが、それは所謂不安とは少しちがうような気がした。


 宮城がみどりのいえを訪れた次の日、時間がないと騒ぎつつも視界に入っていた朝のニュースに聞いたことのある言葉があり、緑は立ち止まった。

「一昨日の夜、赤羽地区で一人の男性が帰宅中に何者かにナイフで刺され死亡しました。死亡した男性は木村和也二十八歳、現場近くのコンビニエンスストアで働いており、その仕事終わりに襲われました。近隣の住人がその犯人の後ろ姿を見ており、犯人が男だということは断定されています。現金が盗まれており、通り魔による犯行だと思われますが、警察は引き続き視野を広げて捜査しています」

 気づくと緑はテレビを食い入るように見ていた。

「……」

 宮城の話は本当なのかもしれない。まだ完全に信じたわけではなかった緑であるが、ニュースを見て少し信じるようになった。それは昨日の宮城の話と今のニュースの内容があまりにも一致しているからだった。加えて犯人しか知りえないような情報も宮城は口にしていたのだ。


         7


 それから一週間、宮城は尾道の喫茶店兼宿泊所に滞在していた。緑はその間二度ほど訪れたが、宮城はやはり落ち着いていた。京平はまだずっと疑っていて、緑に会うたびにその話をしてきた。というのは、尾道は忘れたようにその話題について触れなかったのだ。美喜はというと、仕事が忙しいのか緑は見ていないが京平は会ったらしく、その話をさんざしたらしい。美喜の反応は、緑の反応とそう変わらなかったと京平は言った。

「何でなんだろうね」

 佐々木に会った三日後、学校が終わってすぐにみどりのいえに向かった緑を駅で迎えた京平が言った。

「美喜さん仕事忙しいんですかね、私まだ一回しか会った事ないんですよね」歩きながら緑は言う。

「ん?」京平はそう言った緑にわざとらしく視線を移し、また前を見て言った。

「あ、ああ、忙しいみたいやね。売れっ子やもん」

 そう言う京平はどこか自慢気だった。

「京平さんは、美喜さんとは長い付き合いなんですか?」

「いや君、今はあの男の話をやな……」

「結婚、してらっしゃる?」

 思いつきで言ったが、強ちうそじゃないような気もする。緑が見ると京平は困ったような照れた顔をしている。

「籍は入れてへんけど……一緒に住んでる」

「やっぱり。そうじゃないかと思ってました。何で籍は入れてないんですか?」

 言ったすぐあとに緑の顔の前に京平の手が突き出され、

「そこまでは言えへん」京平はそう言った。

 やはり相手が芸能人となるとそういうことは大変なのだろうか。緑は芸能人のそう言った話題に強くなかったが、知っている、直に会ったことのある人物だけに少し興味があった。そしてふと佐々木のことを思い出した。そう言えば、この間美喜の恋人役をやっていたなぁと思い、そのつながりで思い出したのだった。

 話しているうちに二人はみどりのいえにたどり着いていた。宮城はいるのだろうか、緑はそのことを頭の片隅に置きながらドアを開ける。するとどうしたことか、真っ先に出迎えたのは宮城その人だったのだ。

「こんにちは」

 宮城は真面目な顔で緑たちに声をかける。

「こんにちは」緑と京平はそれに答える。

「手伝ってくれることになってね」

 カウンターの中から尾道が言った。

「ええ、何もしないというのは体に悪くて……」そう言った宮城はすっかりこの店になじんでいる。本当に犯罪者なのかと疑うような姿だった。

 そしてその姿は、彼がはじめからこの店で働いていたかのようにも思わせた。

 そしてカウンターには美喜がいた。

「美喜さん、こんにちは。二度目ですね」緑は自分でも驚くような明るい声で言った。

「ええ、こんにちは緑ちゃん。会うのは二回目だけど京平から話を聞いてるから、何度も会っているような気がするわ」

美喜は笑っていた。その笑顔が緑に向けられていることに緑はとても喜びを感じていた。引き込まれそうになっている自分に気がつく。なんてかわいらしい人なのだろう。

 緑は美喜の隣に腰をおろした。

「佐々木さんがね」何の前置きもなしに美喜が緑に話しかけてくる。

「佐々木って、佐々木明良さんのことですか?」

 ちょうど数秒前に佐々木のことを考えていた緑はどきっとして聞き返した。

「そう」ゆっくりと美喜は答える。「仕事でまた会ったんだけど……」

「はい」

 そして少しだけ沈黙が流れる。美喜独特の空気だ。

「そのときに緑ちゃんのことを話したの」

「私のこと?」

 ここで京平も興味を持ったのか、こちらに顔を寄せてくる。美喜はそれを見て微笑んで続けた。

「石村さんの姪がおもしろい子だって」

「何、仲よしなん?」京平が緑に聞いた。

「え? ああいや別に仲よしって訳じゃないですけど……。ついこの間、叔父さんの家に来てて、少し話したんですよ」

「うん、そう言ってた。話がおもしろいってやたら言ってたのよ。私がね、私も知ってるって言ったらどういう関係か聞き返してきたりして」

「それで? なんて答えたん?」

 京平が聞くと美喜ははじめて会った時の京平のようににやにや笑って言う。

「お友達」

 美喜は緑を見てまた笑いながら言った。緑は何だか照れくさくなっていた。他人の言葉で、自分が照れるだなんて言うのは何年ぶりのことだろう。妙に恥ずかしかった。

 緑も笑った。なんだろう、初めてここを訪れた日から緑は普通の、他人が見せる自然な感情を自分の中に発見することができているような気がする。そうしようとしているわけではないのに自然にそう思っている。これが楽しいって言う感情なのだと感じることが多々あったのだった。そして、これがきっかけに普段の生活もどこか以前とは異なっているような気さえしている。要は気の持ちようなのかもしれないと緑は思った。他人を信じなさすぎる自分が、積極的に人と接することで、もっと自分の中の何かが変わっていけばいいなと思う。

「はい、どうぞ」

 それまで話に参加していなかった尾道が緑と京平の前にコーヒーを置く。宮城はカウンターの中でカップを磨いていた。


 ここは素晴らしい場所だと緑は何度も思った。宮城はただその新しい一員にすぎないのだとも思い始めていた。実際、帰り道で京平がまたその話をしだしたときも何だかどうでもよく思えたような気がしたのだ。

 新聞の切り抜きを出して事件の内容を京平と確かめたが、所詮二人は素人で他にどうしたらよいか何も思いつかなかった。このまま、何も変わらずに時がたっていくのではないかと緑は思った。しかし、京平はそうは思っていなかったらしい。だから京平の目が、緑にその現実を忘れさせないでいた。しかし、緑はこのとき自分から何かを言うつもりはあまりなかった。


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