青年と終わり
初投稿です。
ふと思いついたネタで始めてしまいました。
亀更新の可能性が高いです。
暖かく見守って下さい。
白い鎧の塊から突き出た銀の剣が
青年を貫くのを
ユーレイアは目を見開いて見つめるしかなかった。
夕飯を乗せた皿が手から落ちても
彼女は気付かない。
無音の世界で、ただ立ち尽くしていた。
青年の好物だからと何度も練習した料理が
床に叩きつけられ、飛び散っていく。
失敗作を2人で苦笑いしながら食べ
いつしかユーレイアの得意料理になったものが。
決して豪華ではない食卓。
メニューはメインディッシュと芋と牛乳だけ。
皿はかけてるし色鮮やかな食材もない。
それでも手製のクロスの上に
青年が育てた花を飾れば
まるで飲食店のようだと
青年はいつも褒めた。
お世辞はいいから、と照れる彼女に
君の作る料理を
2人で食べる時間が何より幸せなのだと
青年は何回でも言った。
今日の料理は塩が多過ぎたとか
もうじきパラフィーの花が咲く時期だとか
日常のありふれた会話が
かけがえの無いものだと
知っていたから。
そんな食卓に突然現れた
白い鎧を身に纏った騎士たちは
ユーレイアも散らばった料理も無視して踏みつけて
一直線に青年を目指していく。
そして何がなんだか分からないまま
ユーレイアの目の前で
青年の座る椅子が引き倒され
銀の剣が青年に突き立てられた。
その瞬間
一人の青年の人生が終わり
ユーレイアの幸せも終わった。