箸休め~季節色々
少女が通う小学校の通学路に、大きな公園がある。
遊歩道があったり、遊具があったりと、幅広い年代に対応できる、大きくて、かと言って大きすぎずな公園だ。
桜が咲いたんだよと、少女が言うので見に来て見れば確かにポツポツと咲いて見える。
花見するにはあまり向かないだろうなあと、それでも春を感慨深く味わう。
「この公園ね、桜だけじゃなくて色んな木が植わってるのよ」
「せやなあ、木ぃの前にそんなプレートちらほらあるし」
金属製のプレートが桜の前で「サクラ(バラ科)」と知らしめていた。
「あっちにはね、クスノキがあって、クヌギがあって、クチナシがあって、モクレンがあってー」
「お嬢、相変わらず微妙に詳しいなあ。
クヌギ言うたら、どんぐりが成るんやでな」
「そう!イチョウのメスもあるから銀杏も出来るんだよ」
春、夏、秋、冬と。
ここを通る人々にも、通学途中に眺める子供にも、それは目に楽しい光景だろう。
「春の桜もエエけど、秋も楽しみやな」
「クスサンがいっぱいいるけどね」
「うん、判った。
俺、絶対秋には近寄らんわ」
「慣れれば平気だよ?
頭の上飛んでるだけだもん」
「いややいやや」
仕方ないよ、クスサンはクスノキとかサクラが好きなんだから、と少女が言っても男は決して主張を曲げなかった。
一応説明。
クスサンて蛾がいるんですよ。
たぶんぐぐったらそれなりのダメージ。
虫苦手な方には追加ダメージ。そんな生き物です。