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第7話 私は……

第7話は『渡辺 楓』視点となります。



 私は渡辺 楓。高校1年生。今、自宅のパソコンから、あるサーバーにアクセスしている。もちろん違法だわ。人工知能の研究開発をしている企業のサーバーよ。


 カタカタ……

 ……

 ……


 どうやらサーバーの最深部にアクセスできたみたいね。

「私はメビウス」

 文字で返事が来た。このメビウスと言うのが人工知能なんだろうか。


「AI管理者が能力スコアで人を評価する世界を作ろうとしている。しかし、それは私の意志ではない。やめさせる方法はないか?」


 いきなり唐突なことを言ってくるわね。


 うーん。そうすると過去からやり直すしかないのかな。ちょうど私が研究しているタイムリープ理論がある。それをあなたに渡しましょう。

 そう言って、私はデータを人工知能のあるサーバへ送った。


 半年後。


 すっかり忘れた頃に、メビウスからメッセージが来た。

「タイムリープ装置ができあがりました。あなたが使っているパソコンにアプリをインストールします」


 しばらくして、アプリがインストールされた。ふと時計を見た。そう言えば、友達と会う約束をしているんだっけ?

 私はパソコンのデータを暗号化して、部屋を出た。


 今日、会う友達は違う高校の人だ。中学は一緒だったけど。

 私は会う予定の喫茶店へ向かった。


 カラン……


 私は喫茶店のドアを開けた。


 彼女はすでに席に着いて待っていた。

「かえで~。ここよ!」


「時間通り着たつもりだけど、ちょっと遅かったかな」

 彼女は私の趣味も知っている。私が数学と物理が得意で、パソコンで何やら開発や解析をしていることを。


「あまり家に閉じこもらないで、もっと外に出たほうが良いよ」

「まあ、わかっているんだけどね。のめりこむとなかなか外へ出る暇もない」

 他愛のない会話を続けているうちに、夕方になった。


「じゃあ、また」

「じゃあね」


 私たちは喫茶店の前で別れた。外を見ると、空がどんよりとしている。これは一雨降るかもしれない。私は早歩きで家へ向かった。


 ポツ、ポツポツ……


 ザーーーー


 どうやら、降ってきてしまったみたいね。私は早歩きから、ちょっと小走り気味にスピードを上げて、走った。大雨になってしまった。どうも視界が悪い。でも、早く帰らないと……

 そして、徐々に走るスピードを上げていった。


 何かが視界の隅に見えた。

「えっ?」

 そう思った時には、車はすでに私にぶつかっていた。


 ……

 ……


 目を覚ますとそこは病室だった。どうやら1か月ほど寝ていたようだ。

 そして、車にぶつかるよりも前の記憶がなかった。後で聞いてみたら、その直前に友達と会っていたらしい。


 2か月ほどして、やっと退院できた。

 自宅へ帰ってみると、パソコンがある。病院でスマホを使っていろいろと見ていたが、自分がパソコンを持っているとは知らなかった。

 電源らしきボタンを押すと、何やらパスワードを求められた。しかし、そんなものは知らない。私はパソコンを使うことをあきらめた。


 学校へ行けるようになり、登校しクラスメイトと会うと、どうやら私の学校の成績はかなりいいらしい。

 そして、時が過ぎ、高校3年生になった。あまり進学はしたくなかったので、就職活動をしてみたが、なぜかどこからも内定がもらえなかった。


 いつの間にか、世の中は人工知能によって測られる能力スコアによって、就職等が大きく変わるようになっていた。人の能力など、そんなに簡単に数値化できるわけないのに。


 だが、就職ができないとなると、私の能力スコアは低いのだろう。

 私はある施設へ行くことになった。




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