ハナの世界
私はハナ。私には溺愛する彼氏がいる。その彼の名はリキ。
彼は少し喧嘩っ早いところなんかがあって困ることもあるけど、とても頼りになるし優しい人。
私はそんなリキとつい最近、同棲を始めた。念願かなってようやくだった。
私たちはとても仲が良く、周りから茶化されることも多かった。
それでも私たちの生活は変わらず、可能な限りは共に過ごしていた。
ある日、旧友と久しぶりに会えることになり、私はリキに伝えて出かけた。
昼頃に集合したが、会うのがとても久しぶりだったため積もる話もあり、気づけば外は真っ暗だった。そこで、また会おうと約束をして旧友とは別れてリキの待つ家に帰ろうと帰路についた。
少し歩いていると猫の姿が見えた。
実はハナは大の猫好きなのだ。そしてそれが伝わるのか、知らない猫にも好かれやすい。
そのためハナは、少しだけ猫を撫でてから再び帰路につこうと考えた。そうして猫に近づくと、なにやら急にあたりが光りだした。ハナは眩しくて目を瞑った。
次に目を開けると、目の前には知らない空間が広がっていた。
そしてそこにいるのは、ハナとさっきまで撫でていた猫に加え、知らない男の子だった。
ハナは状況がのみこめていなかったが、とりあえず目の前でパニックになっている少年を落ち着かせることにした。
なんせ、その少年からしか話を聞くことが出来ない状況なのだから。
しばらくして、ハナの対応もあり少年は落ち着きを取り戻して、ことの顛末を話してくれた。
どうやらここは魔法の存在する世界のようだ。そして少年は魔法学園の一部屋で召喚魔法の練習をしていた。だがまだ未熟で、猫を召喚しようとしていたところにちょうど私が撫でに来たことで魔法が暴走し、私ともども召喚される形となったのだそうだ。
私はそんな話を聞いても信じることが難しかったが、少年の話を嘘だと思えないことや現状から考えて信じるしかなかった。
その後、ハナは元の世界に戻りたいと願ったが少年には対処できず、ひとまず猫も連れて魔法学園の先生のもとへと向かうことになった。
しばらくして職員室につき、魔法学園の先生と対面した。
だが、魔法の暴走のせいだということもあり、そこにいる誰も元の世界に戻す方法はわからないとのことだった。
そこで少年の担任だと名乗る先生とともに学園長のもとへと向かった。
学園長と対面して事の経緯を話すと、昔にも似たような事例があったという。
そのため学園長は元の世界に戻す方法を知っているが、準備にしばらく時間がかかるとのことだった。
なので、しばらく少年の家に滞在させてもらうという結論になった。
学園から少年の家までは近く、徒歩で15分ほどだった。
少年が両親に事情を説明したところ、とても謝罪されその後暖かく迎え入れてくれた。
そうしてしばらくの間、魔法の存在に驚いたりしつつも楽しく過ごしていた。だが、元の世界に戻れるのかどうかなどとどこか不安も抱えていた。
そんなある日、学園長に呼び出された。どうやら元の世界に帰る準備が出来たようだ。
そこでハナは少年の家族に礼を言い、ともに召喚された猫を連れて学園へと向かった。
学園につくととある部屋に通され、そこにはなにやら魔法陣が描かれていた。
ハナが猫を抱いてその中央に立ち、学園長がなにやら呪文を唱えるとあたりが光りだした。ハナは眩しくて目を瞑った。
しばらくしてハナは、元の世界に戻っていることを願いながらゆっくりと目を開けた。