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柄にも無く言い訳をするとすれば、自分が思っていた以上に俺は疲れていたのだろうということ。
連日の肉体的な疲れと、今日の精神的な疲れ。それにより、いつの間にか正気を失って臨界状態だったらしい。そして八木沼氏が俺の家の玄関で土下座をしているのを見た時に、タガが外れたのだろう。
それからは自分でも何故ここまで怒りが湧いてくるのか解らぬままに、強い感情を発露し続けていた。気付いた時にはもう遅い。いや結局のところ、ここまで気付けなかった俺の弱さである。
啜り泣く妹を抱きしめながら、最近よく抱く『後悔』という感情に目を遣る。何度嘗めても慣れないこの味に顔を顰めながら、これからどうするべきか、改めて思い巡らせた。
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「なんてモノローグやらせておきながら、結局こういうことになるのはなんか納得がいかねえよなあ」
「「……」」
結局あの後怒りは霧散し、ともかく疲れていた俺は普通に床に就いた。その前に、片付けをせずに部屋に八木沼さんを部屋に入れた愚妹と少しお話しをしたり、その話を横で聞いていた彼女が発情したのにイラついたりと少々あった。とはいえ今日ばかりは妹も、リビングで八木沼さんと床に就いた。
はずだったのだが。
寝室の戸がゆっくりと開く気配で目が覚めた俺は、まだ少し肌寒い卯月の最後の週に、下着姿で侵入を試みる阿呆二匹と目があった、という状況である。
「何か申し開きがあれば、三文字以内なら聞こう」
「ごめん」
「なさい」
まだ冷たいフローリングで言ってもないのに勝手に土下座する二人は、示し合わせたように息ぴったりの謝罪を繰り出す。なんだぁ? それは。
「君らなんか仲良くなってない? そういう感じだったっけ?」
「それは……」
「そのぉ……」
今度は歯切れの悪い返事が返ってくる。何なんだよ本当に。
「別に怒らないから言ってみろ」
尚も互いに目配せしながら、声を揃えて言い放った。
「「好きな人が同じなので」」
「……」
呆れて物が言えないとはこのことだろう。
言われてみればそうだが、なんともまあ情けのない話である。様子のおかしい妹や犯罪者同級生にあれこれ苦慮していたら、その二人が意気投合して結託しているのだ。呆れを通り越して最早腹も立たない。
もう考えるだけ馬鹿らしいので、朝ごはんを作ることにする。
「はぁ。朝ごはん作るから服着とけよ」
「は〜い」「……」
なんとも言えない一日が始まった。
***
結局それから木曜日まで何もなく、休み前最後のコマが終わったところで事件は起こる。
近況ノートに今後について少し書いておりますので、よろしけば御一読ください。
https://kakuyomu.jp/users/WASA-B/news/822139842055690834




