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清明とスカイとミューズ

(4/4)



それからしばらくして、清明はひょっこりと王宮のスカイの元を訪れた、スカイから預かっている携帯式特別転移陣を使って。


「やあ 珍しい。このあいだ会ったばかりなのに、それほどのも置かずに君の方から会いに来るとは。

 何かあったのかい」

スカイは 清明のために 茶を入れながら言った。


「この間、ちょっと気になったことがありまして。


 無理に応えなくてもいいですけど、

 スカイは ミューズのことをどう思っているのですか?」

清明は みやげのせんべいを差し出しながら言った。


「質問の意図がわからない」

包みをあけて、せんべいを皿に盛りながら答えるスカイ

「あれ? これ 新作?」


「試作品です。

 瓦せんべい。」清明


「もしかして コンラート領では、食器だけでなく 瓦も焼くことにしたの?」


「山向こうのお隣さんが、瓦の産地なのはご存じですか?。」清明


「バリバリ領の主要産業は土管じゃなかったっけ?」スカイ


「確かにそうなんですけど、バリバリ領の知名度を上げたいとバリバリ領主婦人から相談を受けたんですよ、キャラハンが。

 それで 宣伝も兼ねた土産物として、日持ちのするせんべいを作ってはどうかとキャラハンが思いつきまして、最初は「土管せんべい」を作ったんです。


 でも 土管型のせんべいだと、いまいちだったんです。

 食べやすいように薄くすると、ただの薄焼き菓子の巻き巻きスタイルになりますし

 土管らしい生地で焼き上げると、硬すぎる。


 それで バリバリ領の特産品、瓦のイメージで 「瓦せんべい」を作ってみました。

 味も食感も悪くないと思うので 味見してください」清明


バリっとせんべいをかじるスカイ

「適度な歯ごたえと、このバリっという音がいいね。

  確かにバリバリ領のイメージだ。


 でも 瓦そのものを知らない人の方が多いんじゃないかなぁ、王国では。」


「そこですよ。

 もともと 土管を焼くついでに、作業場の屋根瓦も焼いたのが、バリバリ領の瓦のはじまりで、王国内での地名度が低い瓦です。


 でも このせんべいがうまい!と評判になれば、

 『この形なに? 瓦? それなに? あーこの箱に説明が書いてあるよ。』

 みたいな感じで、バリバリ領のことを もっと人々に知ってもらえるのではないかなと。

 それに これはまだ試作品ですけど、味と食感が決まったら、今度は瓦ぶきの建物のイラストでも焼き印でつけようかなと思ってます。


 そうやって 話のタネになれば、人気にんきも生まれるかなと」清明


「なるほど、ドラゴン・クランに依頼が来ていれば、クランからもそういう提案をしそうなアイデアだね」スカイ


「すいません。今回は たまたまキャラハンが 領主婦人としての交流の中で受けた話しなので」清明


「いいよ 別に。それは。

 君も クランメンバーとして これまでいろいろな依頼を集めてくれていたわけだし。


 で なぜ 急にミューズの話を持ってきたの?」スカイ


「以前から気にはなっていたんですけどねぇ。


 この前も 急に スカイはミューズに流し目を送ったでしょう。


 以前にも ミューズに結婚の申し込みをしたみたいなことを言ってましたし。」清明


「あれは 深い意味はないよ。」スカイ


「それって ミューズさんに失礼ではありませんか?」清明


「どうして?」スカイ


「だって ミューズさんは 男になったり女になったりはっきりしない人だけど

 でも 彼女、女性の装いをするときは女らしく

 男性の装いをするときは 男らしいじゃないですか。

 だから、周囲の者も、ミューズさんに対するときは、

 女性に対する礼儀も 男同士のわきまえも持つべきではないかと思うんです。


 つまり 女の人に対して ああいう思わせぶりの態度をとれば、それはセクハラです。」清明


「しかし 最初に服を脱いでナイスバディを見せつけに来たのはミューズだぜ。

 あれも セクハラの一種じゃないか?」スカイ


「そんな 10年も前のこと。

 あの頃のミューズさんは まだ子供だったじゃないですか。」清明


よわい1000年を超えた子供ねぇ」スカイ


「人間 何年生きたかではなくて、どういう歳の取り方をしたかで判断するなら。

 あの頃のミューズさんは 完全に迷子の子供でした。

 

 それも 親を求める幼い子ども。


 でも今のミューズさんは、年頃の若者らしい落ち着きが出てきたと思うんですよね。

 だから ああいう セクハラめいたことは止めてください。

 彼女がかわいそうです。


 もっとも スカイが本気でミューズさんと恋愛結婚したいとかいうなら、

 もっと真剣に申し込んで欲しいと思います」清明


「じゃあ 聞くけど、君は ミューズの下着姿を見て 何も思わなかったの?」スカイ


「私は見たことありません」清明


「えっ?そうなの」


「そもそもあの人が 最初の頃、服を脱いだときは、ビキニスタイルだったんですよね、たしか」清明


「そうそう あられもない姿」


「あれって 異次元では 泳ぐときのごく一般的な服装だったらしいですよ。

 男は海パンという名のパンツ一丁、女はビキニ、それも 申し訳程度にしか布地を使っていないとか」清明


「まさか」スカイ


「それで、子供が 物陰から飛び出して大人をびっくりさせるような感覚で

 ミューズさんも バサッと服を脱いでみたとか・・


 王宮では 王様が・・というか エルフだということに目をつけられないために

 あえて突飛な服装で人を寄せ付けなかったとか。


 なんでも みんなビキニスタイルだと、まともにミューズの姿を見ようともせず逃げていくからちょうどよかったんだとか。


 異次元世界だと、あの格好だと、男の人が親切に話しかけてくれたから

 最初、クランの入り口に来た時に試してみたけど、

 スカイの反応が予想外だったので、何を考えているのか知りたくて

 ボロンとかにも試してみたとか」清明


「その話 いつ聞いたの?」スカイ


「わりと最初の頃」


「どこで?」


(やかた)で たまたま一緒になったときに」


「どうやって?」


「ふつーに 世間話として」


「なんで?」


「不思議だったから」


「なにが どう?」


「スカイやボロンの反応を見て ミューズさんがどう思ったか知りたかったから」


「で? なんて言ってた?」


「そんなこと 自分で聴いてください、本人に」


「・・・・」スカイ


「そもそも なんで ミューズさんに流し目を送ったりしたんですか?」清明


「あー そのー ミューズの外見って割と僕好みというか・・・

 初対面の印象が 大人の女性って感じで インパクトがあったので・・

 

 そのわりに クランの仲間としたら 彼 淡泊でしょ、落ち着いているというか。


 だからそのう

 僕としても 女性に 全く興味がなかったわけではないのだけど

 女性とまともにお付き合いするのは 面倒だという気持ちも強くって


 でも ミューズって クランの仲間、魔法使いとしては信頼が置ける男だし」スカイ


「あのですね、男として恥ずかしいと思いませんか?

 真剣に 男女交際する気もないのに、女性にちょっかいをかけるのは」清明


「ちょっかいかけているつもりはないです」スカイ


「あれが ちょっかいでなくてなんなんですか!

 流し目とか 誘い文句とか・・」清明


「でも ミューズはスルーするよ。」スカイ


「それは、あなたは 誘いはしても本気で交際する気がないと気づいているからでしょ。

 でも ミューズはもともと家族が欲しくして仕方のない人なんです。


 そんな人に、異性として誘いをかけるっていうのは、家族になろうよって誘っているのと同じインパクトがあるってなぜわからないんですか。


 しかも 誘いながらも 本気じゃないって同時に告げるなんて

空腹な人間に おいしそうなものをちらつかせて、『でも あげない』って言っているいじめと同じです!」清明


「君 ずいぶん ミューズの肩を持つね」スカイ


「私にとってもは ミューズは大切な家族です。

 私にとって ドラゴンクランは実家のようなものだって 前に言いましたよね」清明


「うん」


「だから 私にとって、ミューズは大切な姉であり妹でもあるんです。

 自分の姉妹に 手を出す男に抗議するのは 兄弟として当然のことです!」スカイ


「じゃあ 僕は 君の兄で、ミューズは僕の妹ってことにならない?」


「私にとって ミューズが大切な姉妹であっても

 あなたが ミューズを大切な姉妹と思っているようには到底思えませんね。


 お二人が 魔法使い仲間として親しい間柄だとは 感じていますが」清明


「確かにねぇ。

 ミューズが 男装女性だと思っていたから、ついつい 女性に対する礼儀作法や配慮を忘れていたのは認める。


 でも・・・

 清明って 一人の人間が 男にもなり女にもなることに違和感はないの?」スカイ


「ミューズさんは ミューズさんですから。

 それに あの人から 女性性を感じる時と男らしさを感じるときと 両方あっても

 それはそれでいいんじゃないかと思ってます。


 家族とか 仕事仲間の性別って そんなに気にしなくてもいいと思ってます。

  もちろん 性別に応じた配慮とかマナーを守るのは 当たり前すぎるほど当たり前のことですし。」清明


「そっかー

 こっちが 自分の持つ異性イメージに相手をあてはめたり 同性イメージに当てはめて 自分の都合で態度を変えるのではなくて、

 相手から 女性性を感じたら女性としてきちんと付き合って

 男性性を感じたら それに応じた付き合いをするべきだと君は言うんだね」


「ちょっとちがいますが、そういう解釈でもいいですよ。

 彼女の人格を尊重して、女性に対する礼儀も 男性に対する礼儀も両方きちんと守ってくださるなら」清明


「わかった。

 気を付ける。


 やっぱり 自分に都合よく 相手を 同性扱いしたり異性扱いしたりしたら だめなんだ。

 今後、気を付ける。」スカイ


「そうしてください

 お願いします」清明



・・・

その後 スカイは 清明から叱られたことをミューズに話し

自分のこれまでの態度をわびた。


「本気で悪かったと思ってるなら、もう あんな中途半端な誘い方をしないでね。

 タラ・レバ話も不愉快だからしないで」ミューズ


「わかった。


 だったら 僕からも一つお願いがあるんだけど。」スカイ


「なんだい?」ミューズ


「そのう 女装するときは この王国での一般的な基準の女性の服装をしてほしいよ。

 ビキニスタイルは 誘惑的すぎる。

 僕にとっては 衝撃的すぎて 今でも鮮やかに思い出せるくらいだ」スカイ


「ごめん

 そんなにショックを与えるつもりはなかった」ミューズ


「いいよ ただ 2度とっていうか、

 男の格好でも女の格好でもどっちでもいいけど

 王国の服装コードに沿ったものにしてほしい。

 露出過多は耐えられない」


「わかった。

 でもさ ボロンには 僕 色気がないって怒られたんだけど」ミューズ


「彼は 基本的に 異種族との婚姻を望んでないみたいなことを言っていたな。

 結婚したいほど好きになった人が、たまたま異種族だったらそれでもいいけど

 異種族の人と わざわざ恋愛とか結婚前提の交際を始める気はないって」スカイ


「そうじゃなくて 色気のない子供扱いされたよ」ミューズ


「認めたくはないけど、あの頃の君の変身魔法って

 相手が潜在的に見たい姿を見せる傾向があったから

 つまり僕は 大人の女性を夢見ていたから 君がそんな風に見えたのかなぁ・・・

  ショックだ orz」スカイ


「むっつりスケベ」思わず笑顔で呟いてしまったミューズ


「うるさい! あの頃は僕も 若かったんだ」スカイ


「下着を見たと思ってときめくなんて」ミューズ


「怒るよ!

 確かに 想像力過多な 若者だったかもしれんが・・

 それをあからさまに言われたくはない!」スカイ


「そう考えると、人間の異性に性的魅力を感じないボロンや

 視覚的なイメージに乏しかった清明に 僕の変身魔法が 全然影響しなかったのも

 もっともだという気がしてきた」ミューズ


「君って ほんと 魔法の探求者としては1級品だねぇ。

 魔法使いといしては ポンコツなところもあるけど」スカイ


「怒るよ

 生まれたときから コンラッドという偉大な師匠に育てられたくせに!!

 僕が 君の立場なら もっともっと魔法に精通する大魔法使いの道に専念してました!!」ミューズ


「あれ? 座学が嫌だと言って逃げ出したって言ってなかったっけ?君が幼い頃は」スカイ


「ひどっ!」


「ごめん

  ついつい」

(甘えてしまうと言ったら、またセクハラ発言になるだろうか?)心中ひそかに悩むスカイ


「まったく ひどい友達だよ、君は」

ミューズはそういって スカイの頭をポンポンとした。


「同世代の友達って こんな感じなのかな??

 よくわからないけど」スカイ


「僕としては 意地悪でない友人を希望」ミューズ


「はいはい これから気をつけます。

 ほんとに いろいろ甘えて悪かった」スカイ


「僕も 服装コードに注意するよ。

 だから 君もセクハラは なしね」ミューズ


「了解」スカイ


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