男の子・女の子
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今年は キャラハンもいっしょに、ドラゴン・クラン恒例の七夕祭り(別名 ドラゴン・クランの日)のお祝いに 龍の庭に来た。
キャラハンの口の堅さを清明が保障して、スカイとコンラッドの面接を経て
「秘密を洩らさず・裏切らず・不利益をもたらさず」の誓をたてて、の参加である。
なぜ キャラハンが ドラゴン・クラン非公開メンバーとして、実質クラン入りして
龍の庭に来ることになったかと言えば、ゴンが キャラハンに会いたがったからである。
・・・・
「あのね、人族って 男の人と女の人に性別が分かれているのでしょ」
ある日ゴンがコンラッドに問うた。
「うむ」
「どうして、クランに女の人がいないの?」
「たまたまだな」コンラッド
「ぼく 人族の女の人に会ってみたい。
清明のお嫁さんの話も聞きたいなぁ」ゴン
「なぜじゃ?」
「だって ミューズがいつも言ってるじゃない。
男性と女性で 同じものを見ても、行動を共にしても感じ方がちがうって」
「人族には 皆それぞれ個性があるから、男女関係なく 皆、感性は異なると思うぞ」コンラッド
「でも ミューズがその日の気分で女装したり男装したりするのは、やっぱり男女でいろいろ違うことがあるからなんじゃないかなぁ。
だから 僕ね、一度会って お話してみたいの。
女性として生まれて ずーと今まで女性として生きてきた人と。
ノームやミューズみたいに、男になったり女になったりその時々で決めることのできる人ではなくて、
女として生まれて女であり続けなければいけない人とお話してみたい」
無邪気な口調で ゴンにお願いされたコンラッドはうなった。
もともとコンラッドはゴンに甘い。
というか子煩悩で教育熱心なコンラッドである
幼子(コンラッドにとっては ゴンはまだまだ幼子である)にお願いされたら
まして それが 性自認にかかわる話となれば・・
”雌雄異体の場合、自分が雌雄どちらであるかの認識を持つことが
社会的パーソナリティの基盤となると言ってもいいからな。
そこをあいまいなまま成長して 同性と結婚したいとか言い出すと社会が崩壊する。
同性と脳幹網様体を刺激・賦活する行為に走ろうとも、
少なくとも「産む性・はらませる性」の認識をしっかりと持って社会を維持する”
という概念を明確にしたうえで、
『両性(=個性)の尊重とはなんぞや?』としっかりと考えるようにしつけなければ
ならん。
さもないと、同性と桃色行為に走るときに、「攻め=男。受け=女」などという誤った概念をもって、雌を雄の支配下におくことを当たり前のように考える輩がさらにいっそうのさばることになってしまう。
( なにしろ あやつらときたら、同性愛者が女を支配して 好き勝手に己の精子を使って一方的に女に子供を産ませてその子をとりあげたあげく、自分達は男同士でお楽しみに走り、あげく
「母性保護の為の配慮をことごとく、同性愛者にもよこせ、それが人権だ」などとたわごとをほざくようになり、社会的資源の独占を図るからな。
それこそ男同士でけったくして、女の体をただ子産みの道具に貶める、女の人生は男の為に子供を育てることと言い建てるのが、昨今の「ゲイの権利」主張だ。)
己が生まれた社会の通念(ジェンダー・性役割)に異議申し立てをすることと
己が生まれ持った肉体・性を否認することとは 根本的に異なるんだ!
『顔の造作・肉体的特徴(体質・伸長etc)など』遺伝子レベルで決定されたことを
一々否定して肉体改造しようと考えるのはあらゆる意味で不健康なことだ!
そのような輩は、自己のあるがままの存在を自ら受け入れることができぬゆえに
他者が 生まれついての性(その中には両性具有や一方の性によらぬ者がいるが)で生き抜こうとする努力そのものを否定し、
その達が努力の末にうちたてものを奪うことこそが、「ゲイの人権を守る正義」だ主張して
「己の欲を満たす為に 他者の努力の成果を奪いとること」を社会正義だと言い建てる下種の極みを正当化する”
と多元宇宙を生きてきた神獣としての経験を述べて、
ゴンの要望を汲んで、ドラゴンの幼子ゴンのジェンダー教育の一歩を進めたいと、
ドラゴン・クランの定例会で提案したのだった。
「つまり、コンラッドは『女性にとって好ましい妊娠の基本は、女性が信頼して身を任せた男性の子を授かり出産することである』と言いたいわけだね。」ミューズ
「うむ。
それだけでなく、出産後 無理なく子育てを開始することは、出産後の女性の心身の回復に良き効果をもたらすのは 種族を超えた哺乳類全体に言えることである。
ただし、母子の健康上の理由や、出産時の状況によっては 理想通りにもいかぬのも世の常であり、だからそこはケースバイケースで 周囲の者が心を砕いてフォローせねばならぬのじゃが。」コンラッド
「それで、
清明が結婚してから、ここに来ては のろけまくる話を聞いたゴンが、
キャラハンさんの受胎・妊娠・出産・育児に関する話を、
清明を通してだけでなく
キャラハンさん自身と会うことによってより深めたい、実感したいと希望するのをかなえたいというんだ」ミューズ
「うむ
将来、と言っても ここにおるメンバーの大半は見ることがないかもしれぬが
お主たちにとっては遠い未来に、ゴンが性衝動にかられて、次元の壁を突き抜けて
つがい相手を探しに飛び回り、最初に出会った雌に突進しに行っては困るからな」
コンラッド
「そういえば ゴンちゃんは 男の子だったんですねぇ」清明
「そうじゃ 龍の思春期というのは そりゃもうにぎやかなものじゃ。
雌雄がバランスよく営巣しているところならば、
雄も雌も対等に バシバシ がぶがぶだな」コンラッド
「なんです それ?」清明
「きっと 雄がうるさく付きまとうと、雌がしっぽで雄をはじきとばしたり 噛みついたり、
そうやって スパルタ方式で、盛りのついたドラゴン少年達は
ドラゴン少女や ドラゴンおばさん達にしっかりしつけられるんだろうよ」スカイ
「おー よくわかっているではないか。
不埒な雄や、限度しらずの愚かな雄に付きまとわれた雌が
自力で雄を跳ね飛ばせぬ時は、
年長の雌たちがわらわらと寄って来て、馬鹿雄にかみつくからなぁ。
しかも 雌の少ない営巣地で育った雄は、そういう男女の掟も知らぬまま育って、
必然的によその営巣地の雌を狙いに行くから・・かみ殺されるわ。
だからと言って孤立した雌を狙えば、雌の放つ炎でまる焼けにされる。
そのあたり ドラゴンの雌は容赦がないからのう。
それゆえ、己を信頼して身を任せてもらえるよう努力せねば、番うことはできぬとしっかりとゴンにも学ばせたい。」コンラッド
「でも 人間社会は・・」ミューズ
「だからこそよ、このまま ゴンを王国の男どもの中に出す前に
ちゃんとした女性の経験談、
酸いも辛いも乗り越えて 愛する人と巡り合い出産に至った女性の体験談・苦労話を聞くことも、
あるいは ただ単純に 幸せいっぱいの、
あるいは奮闘中の
出産と育児を真っ最中の女性に会うことも
ゴンには良いことかなと思うのだが」コンラッド
「うーん キャラハンに無理はさせたくないのですが」清明
「なに お前さん達がゴンの前で夫婦げんかしようと イチャイチャしようと
どっちでも構わんよ。
男同士のときと 夫婦でいるときの顔の違いに ゴンが気付けばそれでよい」
コンラッド
「え~ 私を教材するのは 勘弁してください」清明
「話が迷走してるよ。
単純に 清明がしょっちゅうキャラハンの話をここでしているから、
ゴンがキャラハンに会いたくなった ということでいいんじゃないの?」ミューズ
「まあ 確かに そうとも言える。
ただ ゴンに引き合わすのは、わしが信頼できると見なした人間に限るというのがあるからな。
あの女性なら ゴンに良い影響をもたらすのではないかと思ったと言いたかっただけだ」コンラッド
「その一言だけなら うれしかったんですけどねぇ。
私としても 育児でてんてこ舞いの彼女を置いて 一人でここに来て宴会に参加するよりも 夫婦で参加する方が楽しめますし。
でも 彼女、子供を置いて 夫婦で外出することに同意してくれるかなぁ・・
こればっかりは 聞いてみないとわからない」清明
・・・
などと言ったやり取りがあって、今日は キャラハン同伴で清明が「ドラゴン・クランの日」の集まりに参加したのであった。
ちなみに 二人は、子供と一緒に夕食をとり、しっかりと寝かしつけてから 龍の庭に転移してきた。
幼い子は 日が暮れるころには、寝てしまう。
離乳してからは、子供を一人で寝かせているが、
隣の部屋ではいつも キャラハンか清明か、乳母・専任侍従のいずれかが待機しており、
子供の泣き声一つ、大きな寝返り一つ、起きた気配がすればすぐ、そっと様子を見に行っていた。
心眼使いの清明もキャラハンも、二人が選んだ三人の子育て応援隊(乳母&専任侍従・専任侍女)も、5人とも気配には極めて敏感。
そして 子育て経験のある乳母以外の4人は 子育て初心者なので、
最初は 子供の寝返りや寝言の一つ一つに敏感に反応して、疲れ果てていたが、
そこは 亀の甲より年の功と乳母のご指導・助言のおかげで、
今では、初心者4人組も「気になってもそっと様子をうかがうだけ(実はほっといていい)、そっとのぞくだけでいい、そっと声掛け、傍まで行ってふれたほうがいい」などなどの段階に応じた対応ができるようになっていた。
そして キャラハンも清明も 自分達がいつも隣室に待機しなくても、乳母や専任侍従に夜を任せて自分達も熟睡する日を持つ必要がある、そうしてもいいんだと思えるようになっていた。
さらに 昼間は専任侍女にまかせて キャラハンもゆっくりと食事をとるようにと乳母が差配した。
だからまあ、キャラハンも かねてから気になっていた夫の外出先「ドラゴン・クラン」の集まりに、子供の体調に問題がなければ、(子供が寝ている間の2・3時間、乳母と専任侍従たちに子守りを任せて 参加してもいい)と思えるようになっていたのである。




