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ペッタンとぽったん

口ずさみながら歌の本を読み進んでいたゴンは、ぺたんとしっぽを打ち下ろした。


「月夜の兎?!」(水田光作詞)

♬ぽったんぽったん やれつけそれつけ♬


「えっ えっ えっ?、 この曲『うさぎの餅つき』ではなかったの? 

 歌詞もちがう~~~」


大慌てでミューズの所に飛んでいったゴン。

歌の本を広げて尋ねると


「へぇー こういう題名だったんだ。

 2番の歌詞も面白いねぇ」

のんきな答えが返ってきた。


「ちょっと ちょっと 題名もちがうし 歌詞も違うじゃないかぁ」抗議するゴン


「ごめんごめん なにしろ 昔のことだし。

 ほら 2番の歌詞がさ

  ♬ぴょんぴょんぴょんぴょん やれとべ それとべ

  こがねのうすやら ぎんのきね

  つーきのひかりに う⤵か⤴されて

  月の世界に飛んで行け♬

 って面白いじゃないか。


 それでさ 2番の歌詞はすっかり忘れてたんだけど、この歌は ウサギが餅つきする歌だってことだけはしっかり覚えていたんだ。


 それと 別の餅つき歌にでてくる「ぺったん」と入り混じっちゃったわけ。


 ごめんね」ミューズが頭をかきかき 説明したあと 頭を下げた。


「もう~~~~ 信じてたのにぃ」ゴン


「ごめん。

 長生きしてると 記憶が薄れたり、

 忘れたことを思い出そうとして 思い出せないときに、

 〈とりあえず〉みたいな感じでほかの話とまぜてしまって、

 そのうちまざったままになることってあるんだよ。

 ちょっと違うかもって思いながら まぁいいやで流しちゃうこともあるし。


 それに もちつきって なんとなく 「ペッタン」のほうがしっくりくるからまぁいいやぁみたいなのもあって」ミューズ


「ミューズがいい加減だ!」と不満に思う心と

「そういえば ♬もーちつきぺったんこ ソーレつけぺったんこ♬という歌もあったなぁ」と 困った気持ちになってしまったゴン


「ねえねえ コンラッドどう思うぅ?」

こういう時は とりあえずコンラッドに尋ねてみる、ゴン。


「あー そもそも もちつきってどういうものか知っているか?」コンラッド


「おもちの元を (うす)に入れて (きね)で叩いて 団子にするんでしょ」

ゴンは 絵本で見たとおりに言った。


「本来の作り方はな、もち米という種類のコメを 蒸して 臼に入れるのだ。


 それを 最初は杵で軽く ふっくらしたもち米をつぶすようにしてまとめてから 杵で突くのだ。

挿絵(By みてみん)


 その つぶしたあとに 杵でつき始めたときのもち米というのはじゃな

 粘りがあるから

 杵にぺったっとくっついて、杵を持ち上げたときに 臼から浮き上がり、

 それから まとまったもち米全体の重さでぽたっと臼の中に落ちる。


 それを 相方が手水をつけてさっとまとめたところに 杵を打ち下ろし


 もち米は 杵にくっついて持ち上がり ポタっと落ちて・・


 を繰り返しているうちに だんだん 餅らしくなっていくのだ、


そうなると 杵でついて 餅になりかけの物体は ペタッと臼の上に鎮座しておって

 今度は 相方が その餅になりかけをひっくり返すようにして


そこをまた杵でついて・・


を、繰り返して、もち米の粒が残らず まんべんなく餅状態になったら できあがり、じゃ」


「それで 「ぽったん ぽったん」と聞くと ちょうど 餅つきを始めたばかりの姿が浮かぶなぁ


 それに餅のつき始めは 甘いもち米の香りが ホカホカと湯気と一緒に立ち上ってくるから

 実にうまそうなんじゃ。


 しかし 蒸したばかりの米は まだばらけやすいからな、

 ある程度まとまるまでの 杵の使い方、餅になるようにつくのはむつかしいので、

 最初はベテランがつく。


 そして 最後の方になって 餅らしくまとまってきたら

 子供にも杵を持たせて餅つきの雰囲気をあじわわせるのだよ。


 それで 児童施設など 子供がたくさんいるところで、

 子供達に順番に餅つき体験をさせるときには、

 ”ぺったん ペッタン” 杵で突かれて餅がちょっとひしゃげた様子を歌にして

 順番待ちの子たちが歌ったりするのにちょうどいい


 ということで♬餅つきぺったんこ♬という歌詞になったのではないかのう」


ミューズとゴンは 二人そろって目を見開きながら コンラッドの説明に聞き入った。


「餅つきいいなぁ」ミューズ


「やってみたいなぁ」ゴン


二人してつぶやく。


「ふむぅ、餅に適した もち米を育てなくてはならんな」コンラッド

餅のつき始めの、画像出典

 https://osusume.mynavi.jp/articles/9996/

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