5月某日~動注までは検査でした~
動注のために入院するまで、検査のための通院がまず開始になった。
告知をされて、ショックは受けていたと思う。それでもりっちゃんは前向きだった。逆に母さんやおばちゃんの方が沈んでいたと思う。
手術さえすれば根治する。もしかしたらそう思っていたのかもしれないが、本人から聞いた話ではないので、どう思っていたかはわからない。
ただ、ほんの少しでも可能性があればと私は思っていた。
動注開始までのりっちゃんに変化はなかった。痩せていくわけでも、疲れやすくなるでもない。本当に普通だった。
ああ、これだからがんは怖い。
進行するまで何が起こるかわからない。進行したところで末期になるまでは何も起こらない。だから気づくのに遅れるのだ。
だからがんが死因の第一位。
症状は勉強したから知っている。でも、その症状がでるまでにはかなり時間がかかる。わかったときにはもう遅い。だからがん検診が大切なのだ。特に我が家のようながん家系は。
検査のための通院。はじめはりっちゃんも自分で車を運転して、通院していた。もちろん、仕事も続けていた。
目に見える変化のない日常は本当にがんなのかと周りも本人も思っていただろう。
ただ、少なからず不安はあったのだと思う。
自分一人でまだいける通院を私に頼んできた。
仕事がたまたま休みだった私はそれからりっちゃんの通院に付き添うことになる。ここから約3年もの間、趣味活動をしつつ、休みのほとんどをりっちゃんのために使うことになるなんて私はまだ知らなかった。