5月某日~私ががんを知った日~
私がりっちゃんの病気を知った日です
2015年5月某日
物語はここからスタートする。
看護師として病棟勤務をする私に再従弟から聞かされたのはこんな話だった。
「はるちゃん、りっちゃんね。子宮頸がんって」
「えっ?はっ?りっちゃんが?」
待って。頭が追いつかない。りっちゃんががん?そんなはずない。
それがはじめの感想だった。
だって3月には一緒に東京へ行った。体調は良さそうだったし、何よりそんな話はきいていない。
だが、一緒に住んでいる再従弟の話だ。まず間違いないのだろう。
このときりっちゃんは35歳。まだまだ仕事もしていた。
なりたてとはいえ、看護師である。子宮頸がんのことは多少なりとも知識はある。早期発見であれば完治することも知っている。りっちゃん本人にLINEを送る。
『誰に聞いたの?』
りっちゃんからのはじめの返事はこれだった。
『しょう(再従弟)に聞いたよ』
『あの子もう話したの?うん。そうみたい』
こんな会話をしたように思う。
このときはまだ早期発見だと思っていた。
『治療について話を一緒に聞いてほしい。はるは水曜日休み?』
『ごめん。水曜日は仕事だ』
話を聞きたい。けど、まあ治る病気だし、大丈夫だろう。そう思っていた。でも、それは思い過ごしで。
りっちゃんの病気はかなり進行していたことを私はまだ知らなかった。
かかりつけはがんの拠点病院。きっと大丈夫。
そう思っていたあの頃の自分を叩いてやりたい。
こうして、りっちゃんの長い闘病生活がスタートすることになった。
本当に治ると思ってた私を叩いてやりたいと思う