魔女に捕まった大魔王 2
我は大魔王である。
世界を征服し、勇者を屠り、玉座についた大魔王である。
その我が………その我が!!
「魔女に囚われるなどありえない!!!」
ガチャ
「こんな朝から叫ぶなんて、どうしたの?」
来た!忌々しくも、この我に呪いを掛け、捕らえた張本人の魔女が来たぞ………ふふふふ、今度こそ倒してみせるぞ!
「ふっ……我の前にノコノコやって来るとは、バカだな貴様」
「私の家なのだから、何処に居ても問題はないと思うのだけど?」
魔女は理解していないらしいな………この塔はもう、我の手に堕ちているのだと言うことに………
「貴様、我が何者か忘れておらんか?」
「元!天下の大魔王でしょ?」
くっ!魔女は分かっていながら、平然とした態度なのが許せん!この我自ら叩き直してやろう!!
「我ん!!」
「お腹が空いていたのなら言ってちょうだい。はぁはぁはぁ」
なんどコレは……我の口ギリギリの大きさ。
だが、噛じるとあっさりと切れて、口の中に甘さが広がる。
上手い………はっ!何をやってるんだ我!!しっかりしろ!!目の前の魔女を倒すんじゃないのか!!!
キッ!
「我は貴様を倒す!!勝負だ!!!」
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ………とっても良いわぁ~~~その表情」
「ひぃ!!」
なんだこの化け物は!!
我の全身の毛が逆立つ程の脅威だと!!
そんな化け物が存在してるなど信じられない!!!
「お姉さんとっ!良いことしましょう~~?」
「だ、誰が化け物に従うか!!我は大魔王である!その我が従う筈が無い!!!」
そうだ、我は大魔王なんだ!
その我以上に強い存在などいない!!!
我の力を持ってして、魔女もろとも化け物を倒してみせるぞ!!
「ふふふふ、その睨んだ上目遣いも良い!!」
「ぐっ!!」
動かない、だと………動け!!動くんだ!!目の前の敵にすらビビるなぞ、それでも大魔王か!!
「つ~かまえた」
「うわっ!」
なんだコレ!なんだコレ!化け物に捕まった瞬から、恐怖が!寒気が!生命の危機を感じるぞ!!
我は……我は………誰にも屈しない…大魔王だ、ぞ………
「うぅ!」
決して涙を流さないぞ!!絶対にだぁ~~~!!!
「良い!!涙を流した表情も良いわ~~~ふふ」
「やめ………」
誰か!誰でも良い!!誰でも良いから我を助けてくれーーー!!!
そんな言葉は声に出ることもなく、周りに助けてくれる者は存在しなかった。
「ふふふふ……ふふふふ!!!」