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死の病室

作者: 岩下穂乃香

私は、看護師として、病院で働いている。

この病院では、こんな噂があった。

「404号室に入院した患者は、必ず死ぬ。」

そういう噂のためか、基本は空き病室となっている。

しかし、今年はそういう訳にもいかなかった。

以前にもまして、救急搬送されてくる方たちが多かったからだ。


最初に、404号室に入院した患者は、70代の男性だった。食中毒で入院したが、しばらくして、合併症を引き起こし、亡くなった。


次に入院したのは、40代の女性だった。職場で突然倒れ、搬送されてきた。診断は、癌だった。予想よりも、癌の進行は速く、薬の効果もなく、半年後に亡くなった。


噂は、本当だったようだ。私は、先輩の看護師に404号室を使わないようお願いした。しかし、

「入院してくる人が多いから、そういう訳にも今はいかない。そこを空きにするのは、もう少し待って欲しい。」

と、言われるだけだった。


そうこうしているうちに、次の患者が404号室に入院した。今度の患者は、事故に遭った20代の男性だった。手術が必要なほどの骨折をしていた。手術が行われたが、失敗し亡くなった。


「もうこのまま、患者さんが亡くなるのを、見てられない。」

私は、まず404号室に、なぜそのような噂がたったのか調べることにした。調べると、噂に関係ありそうな情報が、あることに気がついた。20年前、30代の女性患者が404号室で自殺をしたらしい。病気で余命いくばくもない状態だったようだ。それから、404号室に入院した患者は、亡くなるようになったようだ。


病院側に言っても、今の状況では聞き入れてもらえない。

「そうだ! こうすればいいのか!」

私は、案を思いついた。


夜勤の日、深夜2時頃に、私は404号室に入った。病室には、昨日入院してきたばかりの女性患者が眠っている。私は、部屋でしばらく様子を見ることにした。午前3時を過ぎた頃だろうか。突然の物音に、私は辺りを見回した。すると、やつれた女性が立っている。そして、周りには最近この部屋で亡くなった患者さんたちもいる。完全に幽霊である。どうやら、寝ている女性を狙っているようだ。

(幽霊を説得しなければ!)

しかし、動こうとして棚に足をぶつけ、大きな音を出してしまった。幽霊は、進路を私の方に変えてきた。ニタニタと笑いながら、こっちへやってくる。逃げようにも、壁とベットに囲まれ動けない。そこで、私の意識は途切れた。


翌朝、404号室で、私は、先輩看護師に気絶している所を見つけられた。なぜか、手首には赤い手跡がついていた。


私は、その日で病院を辞めた。その後、あの病室がどうなったかは、知る由もない。

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