雀が喋った
僕:
「今日はいい天気だなぁ」
雀:
「そうっすねー」
僕:
「なんでこんなにいい天気なんだろうねぇ」
雀:
「わかんないっすねー」
僕:
「春だからかなぁ」
雀:
「それはそうかもしれないっすね」
僕;
「ねぇ、そんな気が…………うわぁ、雀が喋った!」
雀:
「何を今更」
僕:
「どうして喋ってるんですか?」
雀:
「時代……ですかね」
僕:
「時代かぁ」
雀:
「そうっすねー」
時代というものは、常に進みゆくものだ。
さっきまで流行っていたものが、次の瞬間には廃れていたり、またその逆も然り。
技術はどんどん進歩して、ひと昔前では想像さえ出来なかったものが、ポンと現れる。
大阪と東京の間を2時間で行き来できたり、小さな端末で世界中の人と交流できたり。
駅前留学したり、仮想通貨が出来たり、チョコボールが60円→84円になったり。
素手で殴り合っていたのが、剣や槍を使うようになって。
果ては、ボタン一つで何十万人を殺しちゃう爆弾を作ってしまったりするのだ。
移り行くことに、葛藤したり、時には喜んだり。悲しんだり。
そうやって、止まることなく流れていくのが、時代って奴なんだろう。
だから、何が起こったって何もおかしくない。そんな気がする。
僕:
「そんな気がする」
雀:
「……?」
僕:
「今日は、結構暇なんだけど、お話でもします?折角ですし」
雀:
「いや、そんなに暇じゃないっすね。寿命短いんで」
僕:
「そっか」
雀は飛び去って行った。
僕は、雀より梟の方が好きだなぁと思った。