聴覚障害者の日常 実は逆なんです編
娘とコンビニで買い物をしたときの出来事です
前回の『家族の会話編』でも書いたが、外で家族と会話するときアタシがしゃべっていて家族は口パクで話している。アタシと話す時は声をださない方が楽らしい。まぁ、確かに、アタシもろう者とお手話べりするときは、声をだしていない。声を必要としないということもあるけれど、何となく体力を使うような気がする。頭の中では手話と日本語とのやりとりで大変だから省略できるのは声なのだし、と言い訳をしてしまう。
なんだかんだと書いてしまったが、つまり、家族がアタシに対して声をださないことについては楽ならばいいんじゃないのと、許容しているわけだ。
ところが、そのせいで誤解される出来事があった。
娘と二人でコンビニで買い物をした時である。レジの前にたち会計の支払いの準備をした時に、店員さんの話を娘が声なしで簡単な手話を使ってアタシに伝えた。アタシが声を出して店員さんに応答したのだが、何を思ったのか店員さんがいきなり娘に身ぶり手振りで話し出したのだ。娘はあっけにとれて、反応が出来なかった。ようやく頭が回ってどうにかうなずいて、会計を終えた。娘は終始無言だった。
要するに、店員さんにとっては娘が聞こえないお客さんで、店員さんなりに頑張ったのだと思う。娘は聞こえない人間と間違えられたことを困惑しながらもあえて訂正せずそのままにしたのだけれど、内心、気まずかったのではないか。こんな間違え方をされたのは初めてで、コンビニを出たとたん笑いがこみあげてしまった。確かに、耳が聞こえないかどうかなんて見ただけじゃ判断つかないし、手話を使って声を出していなければ聞こえない人と誤解されても仕方がないよね。でも、一生懸命伝えようとする店員さんの熱意に心があたたまる思いであった。
娘は指文字と簡単な手話を使いますが日常生活では、口話になります。手話では話をしません。そんなレベルでも間違えられちゃったんですね。思いこみも誤解を助長しているんだな、とは思います。