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とある計画の裏 その四


 それは当日。

 人伝に聞くよりも先に、私自身の目で知ることとなった。


 いつもは穏やかな昼下がり。

 しかし今日は、逃げ惑う人々や兵士らの怒号、そして大量のドラゴン達の咆哮によって騒々しいまでに彩られていた。


 何のことは無い。

 魔族がエルグランドパーク内に直接召喚したドラゴンの群れが、親の仇と言わんばかりに暴虐の限りを尽くしていたのである。


 正直な感想を言うと、意味がある行為なのかは謎だ。

 これではただの破壊活動であって、武力による侵略と変わりようがないのではないかと。


 私の屋敷は、最上階の窓から覗き込めばエルグランドパークの様子を一通り把握することが出来るため、緑や土色で埋め尽くされる光景をありのまま静観していた。

 幾つもの建物が倒壊していく様も、嫌という程拝むことが出来た。

 ただ一つ想定外だったのは、その場にあのサーネイル王子とエミリア導師、それから剣聖と双剣の舞姫が同時に現れたことだろう。


 現状、この国における最高戦力を上回る豪華な面々。

 例え地上での戦闘に長けたドラゴンが横並びで襲いかかったとて、有無を言わさず魔素に還元されるのがオチだ。

 実際、殆ど被害者を出さずに三桁にも及ぶ魔物を全滅させたようであった。



 私はこの件に対して、酷く憤慨した。

 あれだけの戦力、時期や根回しを完璧にしていれば、国の一つや二つなど簡単に落とせるクチだからだ。


 しかし、これは魔族らの本来の思惑とは違ったらしい。

 何でも、一部の魔族による暴走であったとか。


 だが、このリーダー格の魔族、名をガルバトロンと言ったか。

 この者がそれを逆手に取り、注意の薄くなった国内の各地点へ仕掛けを施したらしい。

 どうやら、この魔族だけはまともな思考と計画性を併せ持っているらしいと睨んだ。


 相も変わらず、例の件から避難の声が相次いで沸き起こるが、その避難の目は私ではなく騎士団の方へと向いている。

 様子から察するに、簡単に国に魔物の大群の侵入を許してしまったことが問題らしいのだが、突然召喚された魔物を相手にどうやって見張りをしろと言うのか、滑稽で仕方がなかった。

 最早、このような低俗の住民達などを必死になって守る必要性があるのかと疑ってしまう程だ。



 看過できない問題もあったが、予定通りに計画は進んでいるらしい。

 全容を知らされることは遂ぞなかったが、いよいよ最終段階だという。

 前回の襲撃事件からさほど日は経っていないが、逆にあの件があったからこそ思い切った決断が出来るようになったのだとか。


 今回の私は、奇しくも先に活躍した数名に纏わる人間関係を洗い直す作業にあたっていた。

 そして、以下のことが判明した。


 まず、サーネイル王子。

 この曲者は、我が娘であるロザリアと婚約を結んでおきながら、平民の出であるノルン・アモールと内密な関係にある。

 飛んだ浮気者であるが、それが何よりの弱点だということを露呈してくれているということで一先ずは見逃すこととしよう。


 次に、エミリア導師。

 かの魔女は、先のサーネイル王子の専属使用人であり、同時に叔母の立場である。

 よって、ノルン→王子→導師といった連鎖的な罠を仕掛ける構図を立てやすいのだ。

 特筆すべき点こそ無いが、あの鉄壁の魔法ですら、王子が絡むと防御寄りになるらしいという情報もある。


 続いて、剣聖・ジルヴェスター。

 剣聖の名は伊達でなく、本来個人特化であるはずの剣術で、あのドラゴン数十体を一纏めにして相手取る実力の持ち主。

 普通に鎌を掛けても、刃ごと砕かれそうな危険人物である。

 が、彼の主要拠点はこの国ではなく、南のトルフィヤ王国にある。

 従って、そちらを圧倒的な物量で攻めることが出来るなら、戦力の分散が容易いという大きな要因が隠されているのだ。



 そして最後に、一番厄介である存在が発覚した。

 それは伝説の兄弟刀、兄刀の青龍である。


 この龍はおとぎ話にも登場する人魔大戦を終わらせた張本人でもあり、尚且つサーネイル王子の所有物だ。

 龍の頂点たる王が人間の王子に忠誠を誓うなどといったことは有り得ず、そして最悪の結果を招く厄介極まりない存在なのだ。


 この龍の存在が確認されたのは、ドラゴン襲撃の際に一瞬姿を表してブレスによってドラゴンごと更地に変えてしまったその地点での話だ。

 国は表立って否定しているが、まさかそれが再び封印されてしまうなどといったことになれば、龍だけでなく王子の戦力も格段に落ちる。


 以上のことから、付け入る隙は大いに残されていると言えよう。

 言ってみればこれは、サーネイル王子を詰ませるための作戦だ。


 それは王子が詰めば、国の中核が潰れるのと同意義だからである。



このパートは(作者自身が)飽きたので、次で終わらせようと思います。

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