ワンオケ その1
「真田早苗と!」
「真島隆一の」
「「電波をジャックでワンオケロック!」」
「みなさんこんにちはこんばんは初めましてー!この番組のメインパーソナリティのさなさなこと、真田早苗でぇす!」
「はい、みなさんちわっす。サブパーソナリティを務めさせていただきます、ライターの真島隆一ッス」
「はい、とうとう始まってしまいました。電波をジャックでワンオケロック!この番組は、現在放送中のアニメ、『電波ジャック・ワンオクロック』の宣伝番組でございます!」
「「どうぞよろしく!」ッス!」
「ではでは聞いてくださいよぉ真島さん」
「はいはい?」
「この前、アルベンスの古城って漫画のアニメ化企画にお呼ばれしましてねぇ」
「放送開始1分と経ってないのに別の作品の話しだしたよこの人」
「他の出演者の人が誰なのか聞かされないでアテレコ現場に入ったんですよぉ」
「無視かよ。んでそれで?」
「そこに何故かライターであるはずの真島さんの姿があったんですよぉ」
「まぁキャストだったッスからね」
「物書きじゃないんですか?」
「物書きッスよ?」
「物書きのアテレコ現場とか聞いたことないですねハイ」
「まぁそんなこんなで今回の現場も一緒になったわけッスけど」
「一緒というか今回は流石に真島さんは原作者でらっしゃるわけでしょう?」
「そうッスね」
「若干23歳という若さで既にアニメ化作品3本目なわけですが?」
「ご贔屓にしてくださるファンの方々や、身近な友人や家族の応援があればこそッス」
「そういういい人アピールはいいでぇす」
「アピールしてないから!心の底からの感謝だから!」
「では私に感謝してますかっ?」
「当たり前じゃないッスか。今回ヒロインであるアリシャの声を担当していただくわけッスから」
「嘘ですね。まぁ嘘ですねぇ」
「むっ、心外な」
「心の中では『ゲッヘッヘ。アリシャにひどいことをして間接的に真田を辱めてやるぜ』とでも思ってるんでしょう?」
「君、オーディションの時にもそんなこと言ってたらしいッスけど、そんな要素全くないからね?せいぜい水着回ぐらいなもんだからねこの作品のお色気要素」
「はぁ……栄えある真田グループの令嬢たるワタクシめにそのような苦行を強いるとは…これだから庶民は」
「いまさらお嬢様キャラ出してきた!?」
「そうなんですよ。このアリシャというキャラクターは私と同じ良家の子女なんでぇす」
「いきなり話が飛んだな…まぁそうッスね」
「つまり同じお嬢様である私を踏襲したキャラクターを使って様々な言えないようなことをアニメ内でやらされるわけでぇす」
「蒸し返すなよ!?やらせないよ!?」
「しーっ!こうやって思わせぶりなことを言っておけばアニメを期待して見てくれるかもしれないじゃないですかっ!」
「やり方がエグいし汚いよ!?もうちょっとクリーンな方法を心がけない!?あと出演者が出演作品の風評乱さないで!?」
「まぁ真島さんの作品に散々泥を塗ったところで、お便りが届いてますよぉ?」
「ちゃんと後で払拭してよ…?」
「はいはい。PN『アリシャ様の脇ぺろり』さんから頂きましたぁ」
「変態的な性癖暴露お疲れ様ッス」
「『さなさな、ゲストの真島さん。ワキペロです』はいわきぺろ」
「俺ゲストじゃねーし!どんだけ脇好きなんだよ!?そんな挨拶流行らせないからな!」
「『ついにアニメ化企画スタートしましたね!僕はこの日を待ち遠しくしていました』」
「嬉しいッス。ありがとうございます」
「『アニメでアリシャ様があんなことやこんなことをされるのが楽しみです!』」
「お前もか!?そんな要素ないって!」
「『そんなことを言って…真島さんも好き者ですなぁ…ゲッヘッヘ』」
「照れ隠しとかじゃないからな!?」
「『さて作者いじりも終わったところで、アリシャと言えばお嬢様、お嬢様といえば早苗様ですが、キャストは真島さんが指名したんでしょうか?』」
「あぁ〜、やっぱそう思うッスよね」
「その辺どうなんですかぁ?やっぱり純正お嬢様である私を指名したくなったんですよね〜?いやぁ、モテる女は違うなぁ」
「いや、僕の一存でキャスト決まったわけじゃないんッスよ」
「あれ?そうなんですかぁ?」
「はい、音響さんとかプロデューサーにキャストは決めてもらっていて、僕はその間缶詰でバリバリ7巻の内容書いてたッス」
「え、じゃあこうしてラジオに一緒の出演はたまたまなんですかぁ?」
「その通りです。先週の夕方ぐらいに電話が来て…『あ、モシモシ!? 真島クン!? アニメ化決まってキャストも決まって今度ラジオやるからラジオ! さなさなと共演ね!?』って言われてビックリしました」
「え、うそ。私は指名してくれたと思って嬉しかったのにぃ」
「僕は共演する度にこうやってイジられるのは御免被りたいッスわ」
「そう言ってホントは嬉しいクセにぃ〜!」
「まぁ本音は嬉しいッスね。こうやって二度に渡って共演なんて普通はないでしょうし」
「ほらね。それでどうでしたぁ? アニメの方の製作現場の方は」
「真田さんの演じるアリシャは……まぁオーディションの時の声を聞かせてもらった限り役としては完成してましたね」
「なんですか「役としては」って。あれ絶対私を模して生まれたキャラですよねぇ」
「いえ? この作品って近未来が舞台なんで、近未来の令嬢ってどうなるんだろうって考えた時のキャラなんッスよ」
「ほほう、それで出来たキャラが何故、寝込みをテロリストに襲われた時にベッドの下からガトリングを取り出すようなキャラになるんですかねっ?」
「良かれと思って」
「何を良いと思ったのですかぁ!? 真島さんの近未来のイメージ完全に世紀末じゃないですかぁ!」
「行き過ぎた文明を舞台にするんだったらこのぐらいに壊れた世界が合うかなって…」
「完全に悪影響!お陰で現場で奇声あげまくりですよ私ぃ」
「いいじゃないッスか。お嬢様はクレイジーなほど魅力的って言うでしょう?」
「言わない! 真島さんのお嬢様のイメージどうなってるんですかぁ…」
「……毎夜、武闘会というパーティを開き、同じ令嬢同士でバトルしたり、御曹司を跪かせたりするアグレッシブな民族かと」
「何に影響されたぁ!?」
「まぁそんな感じでしっかりと原作の雰囲気を大幅に汲んでくれてすごい感激でした」
「汲んだ末がこの言い草なんですけどぉ」
「…ってそんなこんなやってる間に、コーナーの時間ッスよ」
「私もですけど…この人も大概ボケるなぁ」
「はい、ではまずこちらのコーナーッス…」