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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
菊馬美月と特殊部隊訓練生
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事情聴取を受けるなんて聞いてない

「大丈夫か?」

瀬楽は少女をゆっくりと下ろして、声を掛ける。


「はい。ありがとうございました」

少女は助かった~と胸元を右手で押さえほっと一息をついた。


この人が助けてくれなかったら、今頃私は…と押さえていた胸をぐっと掴んだ。


「どうした?胸でも痛いのか?」

「あんな高い所から落ちたんだ。胸が痛む気持ちも分かるよ」と隊長がすかさず

少女をフォローする。


瀬楽は隊長のお言葉を聞き「そうなのか?俺はそんなことないけど」と全く持っ

て反省というか、気を遣う気もなさそうなセリフを口に出した。


「それより隊長。聞かないの?なんでスケボーに乗ってたのか」

「あぁ、そうだったな」


少女は、「まずい」と思った。

このままでは私は補導されてしまうと考えたからだ。

なんとかしてこの場を乗り切らないと…と、その時だった。


「おーい!大丈夫か!?」

「あっ、先生」


声を掛けてきたのは、少女と一緒に暮らす男性だった。

少女の助けを聞いて急いで家を飛び出し駆けつけてきたのだ。


「大丈夫か!?けがは!?」

「大丈夫です。この人達が助けてくれて」と男性に事情を説明する。


「そうか。いやぁ~家の助手を助けていただいてありがとうございます」

「助手?この子はあんたの娘じゃないのか?」

「おい瀬楽!すみませんっ」

「いやいや、気にしてないから大丈夫。こいつは俺の家で一緒に暮らしている

居候…まぁ、助手だよ」

曖昧な説明を聞いて瀬楽と隊長の目は鋭い目へと変わった。

それはそのはずだ。見るからに怪しい人間だと誰から見ても分かるから。


「失礼ですが、あなたのお名前とご職業を教えていただけませんか?」

「おっ、職務質問ってやつか?俺は柊瑞生ひいらぎみずき。職業は科学者

 だ」

隊長は手帳を取り出して、メモを取る。

まるで警察の仕事を目の前で見ているみたいだと少女は思った。

隊長が柊先生と話していると、それまで見ていた瀬楽が少女に質問する。


「あんたの名前は?一応、俺も仕事しないといけないから」と付け加えて

彼もまたメモ帳を取り出す…かと思いきや、ポケットからごそごそと取り出した

のは一つのキャンディーだった。


「これやるから、教えてくれ」とまるで子供扱いだった。

とりあえずキャンディーをもらって少女は彼の質問に答えることにした。


「私の名前は…菊馬美月きくまみづき

「へぇ~同じ名前なんだ?見た感じだと、中学生っぽいけどお前いくつだ?」

「16歳」

「なんだ、俺と同い年か。年下だと思ってたよ」

やはり子供扱いしていたみたいだ。


「学校行ってないのか?」

「前まで通ってたけど、やめた」

「そうなのか?それで、あの人の助手を?」

「いろいろあるけど、まぁそんなところよ」

「そうか。大変だな~」

「貴方こそ、学校行ってないの?」

「行ってるよ。っていうか、今授業中?というか」


美月は瀬楽の言っている意味が分からなかった。

すると隊長と柊先生が二人の元へとやってきて「この二人は、特殊部隊訓練生

なんだよ。警察学校よりも難関で厳しい訓練に耐え、乗り越えた者しか入れない

超エリートさんだ。そこの訓練生って言うだけでもすごいんだぞ?」と柊先生

がまるで自分のことのように自慢げに話す。


「えっへん!」と瀬楽が胸を張ってドヤ顔をする。

しかし、美月には違う世界の話なので特にすごいという感情は湧いてこなかっ

た。


それから三人は、二人と別れて本部の方へと戻って行った。

「っていうかさ~あの科学者って言う人、やっぱり怪しいよな」

「あぁ。でも、悪い人には見えなかったけど」

「隊長は甘い。良い人そうに見えるほど、悪い人間だったりするんだぞ?もっと

そこらへん気を付けないと、いつか偉い目にあうぞ」

「あぁ…そうだな」

「でも、そこが隊長らしいよね?瀬楽君」

「そういう綾も他人事じゃないんだぞ?」

「気を付けます」


なんだかんだで仲良しな三人であった。



 

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