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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
宮木の食欲旺盛と恋愛模様?
21/362

大食いが食欲不振ですごく心配してしまった件

 翌朝の特殊部隊、男子寮で事件は起こった。


 「四之宮さん!」

 「ん?」

 

 いつもなら本部で顔を合わせるのだが、この日に限って妹尾が四之宮の部屋

 を訪れた。ちょうど出ようとしていた所だったので鍵はかけておらず、妹尾は

 すぐに部屋の中へと入ることが出来た。

 

 「どうした、妹尾?」

 「大変です。はぁ…はぁ…」と全速力で走ったこともあり息切れしており、

 四之宮はコップに水を入れて妹尾に渡す。

 

 お礼を言ってすぐにごくごくと一気に飲み欲して呼吸を整え始める。

 「それで、そんなに慌ててどうしたんだ?」

 「大変なんです!宮木が全く飯を食わないんです!」

 

 それを聞いた四之宮は目の色が変わった。

 通常の人間がご飯を食べないというのなら体調が悪いと済まされてしまうだ

 ろうが、宮木の場合は怪力の能力があるためにご飯を食べないというのは

 異常事態レベルに該当することなのだ。

 

 「なに、宮木が飯を食わないだと?それで今どこにいる?」

 「部屋にいます」

 「妹尾、お前は部屋に戻ってろ。俺は医師を呼んでくる」

 「分かりました」

 

 そして数分後、四之宮が医師を連れて彼らの部屋を訪れた。

 

 「宮木、身体は大丈夫なのか?」

 「だから大丈夫だって言ってるじゃないですか…心配しすぎですよ」

 「バカっ、何言ってんだよ。いつもならおなかすいたーって言ってがつがつ

 食べる奴が全く飯を食べないだなんておかしいだろ!」

 

 「妹尾君、落ち着いて。宮木君、ちゃんとしっかり食べないと能力を使った

 際に影響が出て貴方自身の身体がどうなるか分からないわ。だから、少しでも

 いいの。ちゃんと食事を取って」

 「そう言われても…僕、食欲なくて」

 

 食欲がない、と彼の口から今まで聞いたこともない言葉が出てきた。

 長い付き合いの妹尾は背筋がぞっとし、四之宮は完全に重症だなと

 お互いに彼の事を心配していた。


 医師が帰った後、

 「いったいどうしたっていうんだ?何かまずい物でも食べたのか?」

 「いえ」

 「じゃあ、いったい何が原因なんだ?先生も特に異常はないって言ってたの

 に」と妹尾が言うと宮木は昨日のことを思い出して思わずため息が出てしま

 う。


 「何があったか話してみろ」と四之宮は宮木の態度で分かったのか

 分かりきったかのように聞いてくる。

 そして宮木は少し間を空けてからゆっくりと口を開いた。

 

 「実は昨日、柊の家で菊馬と喧嘩して」

 「喧嘩?!」

 「それで、喧嘩の原因はなんなんだ?」と四之宮が聞くと

 「…僕が彼女の昼ご飯を勝手に食べちゃって、そしたらすごく怒鳴られて

 謝ろうとしたけど、全く許してもらえなくて」

 宮木は思い出して、泣きだしてしまった。

 

 喧嘩の原因は予想通り、食べ物関連だった。

 二人はだいたい想像がついていたが、まさか本当にそうだとは思ってもみなか

 ったのである。


 「なるほど。それで食欲不振になったってわけか」

 「まったく…お前は。普段の行いが良くないから罰が当たったんだろう。

 さっさと彼女に謝って許してもらってこい」

 

 「先輩、話聞いてましたか!?謝ろうとしても許してもらえなかったんです

 よ?どうやったら許してもらえるのって聞いても知りませんって…それに大嫌い

 って言われちゃって…もう僕どうしたらいいのか…」


 「分かった、分かったから落ち着け」

 

 「とりあえず、ちゃんと飯は食え。仕事が終わったら一緒に柊家まで行って

 話聞いてもらえるよう俺が説得するから」

 「先輩…」

 「ほら、さっさと着替えろ。遅刻したら減給になるぞ?」

 「はっ…はい」


 四之宮は宮木にそう告げると先に本部へ向かうため、部屋を出て行った。

 

 「妹尾…昨日はその…ごめんね」

 「いいよ。っていうか、もう長い付き合いだしな。もう慣れたわ」

 「ありがとう」


 「とりあえず、早く飯食って行くぞ」

 「うん」

  

 それから軽めの朝食を取って二人は本部へと出勤したのでありました。


 

 その頃、柊家では…

 「あぁ、頭痛い」

 「大丈夫か?やっぱり無理しすぎたんじゃないのか?」

 「誰のせいだと思ってるんですか?まったく…」


 美月は昨日のことがあり、全く睡眠をとっていなかった。

 そのためにまだイライラしているのだ。


 「とりあえず、昨日掃除したんだから今日は休め。なっ?」

 「…あの人が来ても絶対部屋にいれないでくださいね」

 「あの人って」

 「宮木に決まってるでしょ!言わせないでください!」

 「あぁ…はいはい」

  

 美月は柊先生に怒鳴るとすぐさま自分の部屋へと戻って行った。


 「さて…どうするかね」

 柊先生は独り言を呟くと座っていた身体を起こして昨日の制御装置の

 改良をし始めたのだった。

 

 

 

 


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