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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
宮木と美月の関係悪化と謎の訓練生達
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この世の中物騒なので夜遅くの外出、また夜の訪問者にご注意を

 その日の夜、夕食を食べ終えた後のことだった。

「美月ちゃん、今日も一緒にお風呂に「入らない」

 「えぇ!?どうしてですか?昨日は一緒に入ってくれたじゃないの」

 「とにかく私は入りません!入るんだったら一人で入って!!」

  

 陽子が言ったとおり、美月は彼女と一緒に風呂に入った。だが、陽子が美月の身体を洗っている最中

 にいたずらで彼女の横腹をこしょばしたことが原因で美月は、陽子と一緒に入るのを拒んでいるので

 ある。


 「美月ちゃん…美月ちゃんは私のこと嫌いなの?」と涙目攻撃をする陽子だったが…。

 「嫌い」

  

  グサッ!

 「これ以上にないってほど…大っ嫌いっ」

  グサグサグサッ!!!!!!!!!!

  美月の言葉が見えない矢となり、陽子の心臓にグサグサッと容赦なく刺さる。もちろん本当に刺さ

  っているわけではないが、それでも陽子にとってダメージは大きい。


 「美月ちゃん、そんなこと言わずに一緒に入ってあげてくれないかな?」

 「恵君は陽子の味方するの?」

 「いやっ、そういうわけじゃないよ。陽子ちゃんは美月ちゃんのことを心配してるんだよ」

 「そうですよ?もしお風呂に入ってる時に襲われたらどうするの?」

 「…と言っても、あそこから侵入できる場所なんてないと思うけど「とにかく、今日も一緒に入る

  の!恵君は宮木さんと妹尾さんの側から離れないこと。何が何でも絶対によ。いいわね?!」

 「あっ…うん。分かった」

 「行くわよ、美月ちゃん」

 「あぁもうっ。分かったわよ…」

  

 美月は陽子にお風呂まで連れていかれ、恵は宮木と妹尾の二人と一緒にリビングでテレビを見ながら

 時間つぶしをすることに。一方その頃、富崎チーム隊長の富崎刃は志倉と斎藤と別れてとあるビルの

 屋上で一人のんびりと過ごしていた。もちろんさぼっているわけではない。

 

 

 「志倉、そっちはどうだ?」と無線を使って副隊長の志倉に呼びかける。

 『今のところ不審な人物は見当たりません。引き続き監視を続けます』

 「了解。祈、そっちは?」

  今度は斎藤に呼びかける富崎。

 『異常な~し。退屈で仕方ないくらいだよ~どうにかならない?』

 「そりゃあ俺でも無理だよ」

 『え~…あっ』

 「どうした、祈?」

 『今防犯カメラに怪しい人影が映った。普通の人間みたいだけど…「祈、すぐにその防犯カメラの

  位置をっ。志倉を向かわせる」

 『えっとね~シークラの監視ポイントの範囲内にある監視カメラB』

 

  斎藤の能力は、機械操作。監視範囲に設置されてあるカメラの映像を全て一つのパソコンへと表示

  し、志倉とは違う意味で監視している。だが能力だけでなく柊先生のように市販品を購入した後、

  分解して構造を見たり、時には自分で発明したりしており、「将来は正隊員をしながら発明家の道

  を行くのも良いかも」と本気で思っている。


 「了解。志倉、至急監視カメラB地点付近へ向かってくれ」

 『了解です』

 「祈は引き続き防犯カメラの見張り。相手次第では、仕掛け罠作動を許可する」

 『やったぁ~…じゃなくて、了解しました!』

 「…仕事初日から不審者登場かぁ~。まぁ、そうでなきゃ、俺達の出番がないけど」

  

 富崎は志倉のいる場所から近いある一軒家へと向かうため、ビルの屋上から隣のビルへと超人的な

 ジャンプ力で移動して行くのであった。

 


 富崎と無線で連絡を取った後、志倉は監視カメラB地点に向かっていた。すると突然、背後から男の

 手が志倉に襲いかかる…が、気配で気づかれすぐに倒されてしまう。10代後半の少年二人組で、外

 で遊んだ帰りに志倉が一人で出歩いているのを見つけて尾行していたらしい。だが斎藤が言っていた

 『怪しい人影』ではなさそうだと志倉は少年二人に厳重注意をする。だがそんな時、少年の一人が自

 分達に近づく、いかにも怪しい人影に気がついた。


 「おっ、おい」

 「えっ?なんだよ?」と友人から肩を叩かれて彼も、その人影に気がついた。もちろん志倉もその

  存在に気づき「二人共、私の後ろへ」と声を掛ける。只事ではないと分かったのか彼女の言うこと

  に従い、少年二人組は志倉の後ろへと隠れた。

 

 「なんだ。ガキばっかだな?」

 「こんなんにあいつらはやられちまったのか?情けない」

 「とりあえず俺達の仕事を邪魔する者の始末は任せると言われた。さっさと終わらせるぞ」とガラの

 悪い男三人組が喋っているのを聞いて「「ぎゃあー!????殺されるっ!????」」と少年二人

 は叫ぶと志倉は「…ちっ」と小さく舌打ちをして、男三人組を鋭く睨みつけるのであった。

 



 その頃、美月達は全員風呂を済ませてしばらくの間リビングでテレビを見た後、美月・恵・陽子が

 二階へ。宮木と妹尾は一階のリビングでそれぞれ寝ることに。電気を消して要家から明かりが消えて

 から数分後に、奴らが動き始めた。そして要家の敷地内に入り、ベランダがある場所へと向かって行

 く。窓の近くにはソファーで寝ている妹尾がいたが、寝ているので気がついていない。男は窓を丸く

 割って開けて中に入ろうとすると、突然上からバケツが男の頭を直撃。


 「ぐはっ?!」

 男は何が起こったか分からず、気を失って倒れてしまう。


 「…はぁ。まぬけだなぁ」

 そう言って男を見る宮木。台所になぜか置いてあったバケツを使用したのは…本人のきまぐれである。

 妹尾を起こして侵入してきた男を逃げられないように、新聞紙を捨てる時に使用するナイロン製の紐

 を使って縛っていると2階から「ぎゃああー!!!??」と男性の悲鳴が宮木達の耳に届く。

 「なっ、なんだ…「妹尾。こいつ見張っといて!僕が見てくるっ」

 「わっ、分かった」

 

 宮木は2階にいる美月達のことが心配になり、不安が募る。階段を使って2階に上がると、ちょうど

 陽子が部屋から出てきた。

 

 「あっ、宮木さん。ちょうどよかっ…「っ!?後ろっ!」

 「…あら。まだいたんですね?」

 宮木が叫ぶと陽子は素早く後ろにいた男の攻撃を避ける。相手はナイフを所持していたが、宮木は

 男の腹部を思い切り…ではなく、半分加減して殴ると男は「ぐはっ!?」と声を上げて倒れる。

 気を失っていることを確認した後、宮木は陽子に「それで陽子。美月と要はどこ?」と尋ねる。

 「あぁ、二人なら…「美月ちゃーん!???」と陽子が話そうとした途端、恵の叫び声が響く。

 「あら、恵君の声が」

 「隣の部屋かっ!」

 

 宮木は陽子を放置して隣の部屋へと移動し扉を勢いよく開けて「美月!?」と大声で叫ぶとそこには

 うつ伏せで倒れている美月の姿が目に映る。

 

 「みっ、美月…」

 「あっ、四之宮チームの宮木先輩…ですよね?俺、富崎チーム隊長の富崎刃です」

 宮木には美月しか捉えてなかったので、声を掛けられてすぐに富崎の方へと視線を向ける。

 

 どうしてこうなったかと言うと、美月と恵はそれぞれの部屋にダミー人形を置いて布団を被せた後、

 恵の部屋にある押し入れへと身を潜んで敵が来るのを待っていた。だがこれは陽子が恵に教えた作戦

 で美月はただ「襲われたときの練習」としか知らされておらず、恵の指示に従っていた。

 すると恵の部屋の窓に穴を開けて入ってくる不審者を押し入れから目撃し、恵は美月に報告。そして、

 部屋の中に入りダミー人形が寝ている布団をぱっと開けた瞬間に美月が押し入れから出てきて不審者

 に攻撃を仕掛けるも、気づいてしまい不審者は美月にナイフを振りかざして責め始める。刃物を持

 っている相手に回復能力の恵が敵うわけもないが、それでも美月の力になりたいと思い、何か良い

 方法はないかと考えていたら、窓ガラスが突然ガッシャ―ン!!!!と割れ、近くにいた不審者は

 ガラスが刺さる他、富崎に思い切り背中を蹴られ、美月は危機回避で察知したものの足を滑って回避

 するのが遅れてしまい、不審者の下敷きとなり、顔面を思い切りカーペットが敷かれた床にぶつけて

 しまう。それを見た恵が驚いて『美月ちゃーん!???』と大声で叫んだのであった。


 その話を聞いて宮木は富崎に「助けてくれたのは良いけど、もう少し加減しなよ。ここ一般の家なん

 だからさ」と先輩らしく注意すると「すみません。急いで来たもので…」と少し不満そうだったが

 素直に謝罪した後、美月に近づく富崎。


 「初めまして。特殊部隊正隊員富崎チーム隊長の富崎刃、17歳だ。よろしく」

 「…特殊部隊保護組正隊員、菊馬美月です」

 「知ってるよ。怪我してない?大丈夫?」

 「はい。大丈夫です」

 顔がまだひりひりするけど…。

 

 「君も平気?」と今度は隣にいた恵に尋ねる富崎に「あっ、はい。僕は全然なんともないです!」と

  返事を返した。

 「そっか。それなら良かった。二人共、ここは俺に任せて宮木先輩と一緒に下に下りてくれ」

 「えっ、でもこの人どうす「はいはい、二人共。富崎の邪魔になるから1階の妹尾のとこに行くよ」

 

 宮木にそう言われて美月は恵に「行こう、恵君」と声を掛けて立ち上がる。

 「でも美月ちゃん「私達は仕事の邪魔だって言うんだから、言う通りにするしかないわ」と言われれ

 ば、恵も何も言わなくなってしまい宮木と部屋を出た後、陽子を連れて妹尾のいる1階へと下りて

 行った。その間、富崎が何をしていたのかは美月と恵にとって分からないままの方がいいかもしれな

 い。


 そして志倉の方はどうなったかと言うと、斎藤の援護もありガラの悪い男三人組を片付けた後、少年

 二人を家まで送り届けたのであった。


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