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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
要恵と吸血鬼能力者
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未来予知、星野陽子が生きていただなんて聞いてないっ!

 「初めまして、特殊部隊保護組正隊員菊馬チーム副隊長の宝正奏です。こちらにいるのがメンバーの

  黒澤蓮」

 「…よろしく」

 「で、彼の隣にいるのが霜月チームの岸本さんと綾小路さんです」

 「「どうぞよろしく」」

 「こちらこそ、よろしくお願いします」

 宝正さんって人以外…全員背が小さいな。やっぱり小柄な人ほど能力が目覚めやすいのかな?


 「それはないと思うわよ」

 「えっ!?」

 「宝正にはテレパシーがあるんだ。だからお前が考えてることなんてすぐばれるぞ」と黒澤が宝正

  の代わりに説明する。

 「こっ、心が読めるんですか!?」

 「えっ、えぇ…まぁ」

 「そうなんですかぁ~すごいなぁ~」


 嫌がられると思っていたが、目をキラキラさせて見てくる彼に宝正は少し引いてしまう。

 「じゃあ早速だが要君。君が見たって言う吸血鬼能力者が出会った場所に僕達を案内してくれ」

 「はっ、はい。分かりました」


 岸本に言われ恵は、まりもと初めて会った場所へと皆を連れて行く。

 

 「ここです。僕が彼女に会った場所は」

 「その時、彼女は歩いていたのか?」

 「はい…歩いていました」

 「そうか。だが瀬楽達の話を聞く限り、能力者が本当に歩いて要と接触したかは分からない。ここで

  二人ペアを組んで聞きこみ調査をしよう」

 

 黒澤は宝生と、小森は恵と、そして残った岸本は綾小路とペアを組む。瀬楽達の記憶からまりもの

 似顔絵を近藤に描いてもらったものを人数分コピーしたものを頼りに聞きこみ調査を開始した。

 だが全然情報が集まらず、時間だけが過ぎていく…。


 「誰もこの子こと知らないみたいだね」

 「そう簡単には見つからないと思ってても、きついよなぁ。黒澤達も連絡来ないし」

 「似顔絵から見ても私達と近いよね?私…この子が瀬楽君達にひどいことしたなんて思えない」

 「綾小路、人は見かけによらないぞ?」

 「うん。そうだね…いったいどこにいるんだろう?」

 


  岸本達がまりもの居場所を探している頃、まりもはいつものソファーで寝そべっていた。

 「まりも、仕事が入ったぞ」

 「仕事?なんのぉ?」

 「それは俺にも分からない。だがご主人様の命令だ」

 「えぇ~分からないの?じゃあ、そのご主人様は今どこにいるの?」

 「それが…大事な用事があるとかでそれが済み次第、連絡するそうだ」

 「へぇ~そうなんだ」

 「ほらっ。いつまでもソファーで寝そべってないで、準備しろ」

 いつ連絡が来るか分からないぞ。と蛍に言われて「はーい」とまりもはソファーから起きて立ち上が

 る。


 「まりも、分かってるだろうが…「分かってるわよ。もうあんなことはしませーん」とまりもは

  両耳を塞いで素早く部屋を出てってしまう。

 「まったく…」


 単独で起こしてしまったこととはいえ、俺もご主人様になんて言われるか分からない。


 『申し訳ございません。俺の監督ミスです』

 『…』

 『ご主人様?』

 『謝る必要はありませんよ、蛍さん』

 『しかしっ!彼女がしたことは…『ご心配なく。貴方達がしたことはしっかりと償ってもらいます。

  ですが、その前にこれから大事な用事があるので…それが済み次第また連絡しますね』

 


 「…大事な用事っていったいなんなんだろう」

 「蛍~準備出来たわよ」とまりもが準備を完了させて部屋に入って来た。

 「あっ、あぁ…分かった。じゃあ連絡を待っている間、勉強でもするか」

 「えぇ~なにそれ、聞いてないわよ。腹黒ほたる」

  

 それから約一時間後。ご主人様から蛍に連絡が届き、二人はある場所へと出かけるために部屋を

 出た。


 「蛍~ご主人様はなんて?」

 「…」

 「蛍?」

 「っ!?あぁ…すまん、なんだって?」

 「もう!ちゃんと聞きなさいよぉ!」

 「すまんすまん。ちょっと考え事してて…」

 「ご主人様はなんて言ってきたの?あと私達、いったいどこへ向かってるの?」

  私は腹黒ほたるに付いてってるだけなんだけど。とまりもは蛍に言う。彼らが向かう場所…そこ

  は蛍にとっては思い出したくない特別な場所。


 「…槻ノ木学園。俺達は今からそこへ向かう」

 「えっ?だってあそこは「ご主人様とはそこで待ち合わせだ。命令とあれば行くしかない」

 

 そうだ。あの人の命令には逆らえない。

 俺達はあの人に出会わなければ…今頃…。だからあの人のためなら例えどんな場所であろうと…。

 

 『私と一緒に世界を変えませんか?そしていつか復讐するのです。自分をこんな目に遭わせた

  連中を…ねっ』


 世界を変える。そんなことが本当に出来るのか?だけど俺はご主人様の言うことを信じた。

 そして命令通りに仕事をした。こうしてまりもと一緒にいられるのも…すべてあの人のおかげ。

 


 そしてその頃、美月がいる病室に一人の少女が訪ねて来た。

 「なっ…なんで」

 「お久し振り~気分はどう?あっ、これ私からのお見舞いね」と宮木が挿した花束に指を指して言う

  彼女。

 「なんで…貴女がここにいるのよ、陽子っ」

  あれ?また夢でも見てるの?と美月は右手で頬を摘まむが「いててっ」と痛みを感じたためすぐ

  に手を離す。どうやら夢ではなく現実のようだ。


 「なんでって失礼ですね。そろそろ美月ちゃんが目覚めると思って来たんですよ。お姉ちゃんです

  しね」

 「死んだんじゃなかったの?」

 「いいえ。死にましたよ?貴女と日影さんの目の前で死にました」

 「じゃあなんでいるの?まっ、まさか幽霊?!」

 「足があるのに幽霊なわけないでしょ?よく見なさい」と自慢のようにすらりとした足を見せる

  陽子。どうやら幽霊でもなさそうだ。それに、幽霊なら明るいうちから現れるのもおかしい。


 「じゃあ…どうして貴女は生きてるの?」

 「それはまだまだ秘密です。今ここで話すと面白くないですからね」

 「なんだよそれっ」

 意味分かんない。と美月は陽子に呆れてしまう。


 「それより美月ちゃん、私と一緒に来てください」

 「はぁ?どこへ?何しに?」

 「槻ノ木学園ですよ。美月ちゃん達特殊部隊はその事件を調べているんでしょ?」

 「っ!?なんでそれを?っていうか…まさかこの事件、貴女が仕組んだことなの?」

 「いいえ。違いますよ?」

 「だったらどうしてそのことを…「美月ちゃん、そろそろ待ち合わせに遅れてしまうので行きまし

  ょう。この服に着替えてください」と陽子はどこから出したのか持っていた紙袋を美月に手渡す。

 「ちょっと待って。私はまだ行くなんて一言も言ってないわよ?」

 「あらそうなんですか?それは困りましたねぇ。だったら美月ちゃんが一緒に行くと言うまで…

  生徒さん達には何人か犠牲になってもらいましょうか」

 「っ!?なんだと、このクソ姉!またそんな汚い手を使いやがって!」

  美月は陽子の胸ぐらを掴む。またしてもこの女は自分の思い通りにしないと、関係のない人間を

  殺すと言い出したことに腹が立ったからだ。

 「美月ちゃんが一緒に行ってくれれば何もしません。…付いてきてくれるわよね?美月ちゃん」

 「…くそっ。分かったよ、行けばいいんでしょ?い・け・ば!」と美月は陽子から掴んでいた手を

  離し、紙袋に入っていた服を取り出す。

 「そうこなくっちゃっ。私の可愛い美月ちゃん」

 「絶対褒めてないだろ、それ」


 それから数分後のことだった。宮木から美月が目覚めたと聞いて、瀬楽と霜月が彼女の病室を訪ねて

 来た。

 「菊馬目覚めて良かったな、隊長」

 「あぁ…そうだな。結局僕は何もできなかったけど」

 「そんなことないぞ。隊長は立派だった」

 「お前見てなかっただろ?あっ、ここじゃないか?」

 「ふむふむ」


 コンコン!と瀬楽が扉をノックするが、返事がない。

 

 「あれ?返事がないな?お邪魔しまーす」と瀬楽と霜月が病室の中へ入ると、そこに美月の姿は

 なく、ベッドの上には彼女が着ていた病衣と手紙が残されていた。


 『瀬楽と霜月へ。槻ノ木学園に行ってきます。心配しないでください』

 「やれやれ困った奴だなぁ~。ん?でも、なんで俺達が来ること分かったんだ?不思議だなぁ?」

 「…もしかして」

 「ん?どうしたんだ?」

 「四之宮さんに連絡しないと」


 霜月は何かを察し、急いで美月の病室へと出る。だがまだ慣れない車いすなので気持ちが急いでいて

 も人から見ればゆっくりにしか見えない。瀬楽は訳が分からないまま、松葉杖を付いて霜月の後を

 追いかけて行ったのであった。

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