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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
危機回避能力
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第六感


 美月は四之宮達と部屋を出てエレベーターへと乗り込んだ。

 そしてすぐさま宮木が美月に声をかける。


 「あんた、本当に能力者じゃないの?」

 「おい。宮木」

 「妹尾はあの人の話聞いて疑問に思わなかったの?悔しいけど、あの人の見方

 は正しいって僕は思う。あの時は離れた場所で見てたから気が付かなかったけ

 ど、監視カメラの映像を見ても、やっぱりあんなのを一般人が避けられるなんてあり得ないよ」

 「宮木、菊馬さんは能力者じゃないって言ってるんだぞ」

 「バカ。嘘に決まってるだろ?妹尾は女子に甘いんだよ」

 

 狭いエレベーターの中で喧嘩する妹尾と宮木に四之宮はただ黙って聞いている

 だけで何も注意しない。原因となった美月は妹尾と宮木に板挟みにされて

 小さく縮こまっていた。


 「お前いい加減にしろよ。本人を目の前にしてなんて口を聞いてるんだ!」

 「僕は思ったことを口に出しただけだし。嘘なんてついてないし」

 「そういう問題じゃない。他人に少しは気を遣えって言ってるんだよ!

 なんでそれが分からないんだ!」

 「はぁ?妹尾が逆に気を遣いすぎなんだよ。こういうことははっきり言わない

 と余計に気まずい雰囲気になるだけだし、僕はそういうの正直嫌いだから

 さっさと言ってほしいだけだよ」

 

 二人の喧嘩はどんどんエスカレートしていくが、それでも四ノ宮はまだ

 黙って動こうともしない。


 「宮木、お前ってやつは…」

 「なんだよ?言ってみなよ?」

 「お前ってやつは、「やめてください」

 

 すると、板挟みになっていた美月が声を上げた。

 それを聞いて妹尾は言いかけた言葉を飲み込み、宮木は美月の方に顔を向け

 た。


 「お願いですから、喧嘩はやめてください」

 「ていうか、原因はあんたなんだけどね?言う気になったの?」と宮木が

 美月に問いかける。


 「言うも何も、私は貴方達のような不思議な力なんて持ってませんよ」

 

 「持っているとすれば…一般人の誰もが持っているとされる第六感と呼ばれる

 ものぐらいですよ」

 

 美月はとても低い小さな声で、まるで何か嫌なことでも思い出したかのような悲しい顔をして、宮木にそう答えた。


 でも宮木がそれで納得するわけはなく、不満そうな顔をして

 「そんなんで騙されると思ってるの?さっさと言えよ!」

 「宮木、そこまでだ。もうすぐエレベーターが止まる」


 ここでようやく四之宮が宮木に呼びかけた。

 そしてちょうどいいタイミングで、エレベーターが止まり扉が開かれる。


 「行くぞ」

 四之宮が先に降り、続いて妹尾。そして宮木、美月と降りる。

 すると美月の前にいた宮木が突然振り向き、「あとで覚えとけよ」と美月に

 向かって言った後、前に向き直して歩いていく。


 美月は、そんな宮木に嫌悪感を抱き始めた。

 前から思っていたことだが、宮木は美月に対して疑いの眼差しで見ることが

 多かったため、今回の「能力者」の件でさらにしつこく疑われたことで

 段々と彼に対する嫌悪感が募っていったのである。


 妹尾に関しては、今のところ好印象なイメージが強く四之宮チームの中では

 彼が一番の美月のお気に入りと言える。


 そして隊長の四之宮は、宮木ほどではないが彼女にとってあまり印象はよく

 ない。というより、他の二人より交流がなく会ってから一対一での会話を

 一度もしたことがないからだ。近寄りがたいという雰囲気もあるし、彼らより

 も大人?と言うこともあって車での移動の際も宮木と妹尾の三人のみで話して

 いた。

 

 と、現在の美月が三人に対する好感はこんな感じである。

 

 それから美月は四之宮達三人の後を付いて行き、本部内の見学をするので

 あった。

 


 

 


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