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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
要恵と吸血鬼能力者
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夜中に目が覚めて…

 実の姉の死は、美月を庇ってのことだった。彼女は家族をまた目の前で亡くしてしまう。

 例えそれが…生き別れた双子の姉妹でも。


 『美月ちゃん…』

 「…はっ!??」

 

 陽子に名前を呼ばれて美月は現実世界へと引き戻された。目が覚めてゆっくり起き上がると、隣には

 小森が眠っている。


 「夜月?どうしてここに…」とここで美月は思い出し、こうなった状況を把握し「やってしまった」

 と美月は後悔する。少しの休憩のつもりが彼を待っている間にいつの間にか寝てしまったらしい。


 「そういえばお風呂入ってないな」

  時刻を確認すると深夜三時。まだ時間はあると考えた美月は小森を起こさないようにベッドから出

  て、バスタオル類を持って風呂場へと向かった。


 「はぁ~風呂に入らず寝てしまうとは…疲れてるのかな?」と服を脱いだ後、すぐにお風呂場に入り

  シャワーを浴びる。


  量も多いし、髪の毛も長いから乾かすのに時間が掛かる。ドライヤーがあるが、小森が起きてしま

  うので使用不可。なので今回は身体のみを洗うことに。


 「髪そろそろ切りたいなぁ…重い」

  また先生に切ってもらおう~と独り言を呟いた後、美月はシャワーを止めて外へと出た。

 

 「あぁ~さっぱりした……って」

 『あっ…』


 外にあったバスタオルを取ろうとした時、美月は小森がいることに気が付いた。だが小森は決して

 悪気があったわけじゃない。彼が目が覚めると美月の姿はなくベッドはもぬけの殻だった。『あれ?

 美月…どこっ!?』と周りを見渡すと、風呂場の方に明かりが点いているのを見つけて確認のために

 様子を見に行った結果…こんなことになってしまったのである。


 「夜月…」

 『違う!?美月これはその…』と小森は口を動かすものの、声が出ないので彼女には伝わらなかった。

 「何かを訴えてるのは分かるけど…とりあえず、服を着たいから居間で大人しく待ってて!」と美月

  はバスタオルを身体に巻いて小森に指示を出し、それを聞いて小森は逃げるようにお風呂場を後に

  したのであった。


 宮木の入浴事件よりも更にやばい。まさか小森に自らのものを見られてしまうとは思っても見なかっ

 た。だけど自信のある身体じゃないので、好きでもない異性に見られてしまったからと言って「汚さ

 れた」「もうお嫁に行けない」「恥ずかしくて死ぬ」と言う気持ちになることもなく、ただ単純に「

 見られてしまった」として済まされるのみだった。それでもこんなことがもうないように美月は服を

 着た後、すぐに居間へと向かい小森に注意をする。


 「というわけで、さっきの状況が起こったら速やかに目を逸らすか、外へ出て待機すること。ずっと

  同じ場所にいたら着れる物も着れないからね?」

 『ごめんなさい』

 「分かればよろしい。まぁ、今回は私も悪かったと思うしね…寝ちゃったし」

 『よく寝てたから起こすのも悪いかと思って』

 「うん。出来たら起こしてほしかったよ」

 

 そしたらこんなことにはならなかったかもしれない。だが、過ぎたことは仕方がないと美月は諦める

 しかなかった。


 『美月、二度寝する?』

 「うん。まだ眠たいし…ふぁ~あ~」と大きなあくびをする美月。

 「私はもう大丈夫だから、部屋に戻りなよ。あと二時間くらい寝られるしさ」

  すると小森は左右に首を振ってから、ノートに何かを書いて美月に見せる。


 『美月が寝たら、戻る』

 「あぁ…そういうことね。じゃあさっさと寝るとしましょうかね」と美月はベッドへと向かい、

  寝ようとしていたのだが…。



 「全然寝られん…」

 「無理して寝なくても良いと思うよ?」

  美月の血を再び吸って声が出るようになった小森が、心配して彼女に話しかける。

 「いや。そういうわけにはいかない…」

 自分が寝ないと小森が部屋に戻れない。このままでは綾小路と宝正にばれてしまうので無理してで

 も寝なければならないのだ、絶対に。と美月は目を瞑って寝よう寝ようと頑張るが、全然寝られない。

 

 「それだったら僕が血を吸えば…「気絶したらいつ起きるか分からないから却下!」

 「良い案だと思ったのになぁ」

 「とにかく私は寝るの。例え二時間だろうとねっ!」

 「頑固だね、美月は」

 「ほっといて」

 「そういうところも好きだけどね」

 「からかうな、声なし」

 「今は声出てるから声なしじゃないよ?」

 「分かってるって。ただ呼びたかっただけだし」

 「ひどいなぁ」

 「ごめんごめん」と小森と話していくうちに美月は寝落ちしてしまい、いつもどおりの時間帯に

  目が覚めたのであった。


 

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