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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
星野と陽子と美月
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星野陽子と日影さん

 立花は美月達と別れた後、徒歩で約30分かけてある場所へと一人で待っていた。

「いったいいつまで待たせるのかしら…もう約束の時間はとっくに過ぎてるのに」と時計を見て確認す

 る。どうやら誰かを待っているみたいだ。

 

 すると、立花のスマホに非通知の着信が入り立花はすぐに電話を取る。

 「もしもし?」

 「こんにちは立花さん」

 「貴女、今どこにいるの?私はもう待ち合わせ場所についてるんだけど」

 「そう怒らないでください。美人には笑顔が一番ですよ?」

 「お世辞なんていらないわ。それより今どこにいるの?」

 「後ろにいます」

 「えっ?」と立花はすぐさま振り返ると、そこには一人の女子が立っていた。

 

 「すみません。いろいろ準備があって遅くなりました」

 「遅れるなら連絡ぐらいしなさいよ。報告・連絡・相談のことも知らないの?」

 「知ってますよ。でも立花さん、私は貴女の部下じゃないんですからそんなに怒鳴ることはないと

  思います。それに…今の10代や20代にそんな顔で怒鳴りながらお説教だなんてしたらパワハラ

  や暴言で訴えられてもおかしくはないのですよ?いらいらしている理由は分かりますけど、世の中

  の人間は貴女のように出来た人間ばかりではないのですから」

 「…悪かったわね」

 「では早速本題に入りましょうか。私が貴女にお願いしたことについてですけど」

 「ちゃんとやったわよ。でも…お願いっていうのは違うでしょ?あれは脅迫よ」

 「そうでしょうか?私は貴女の昔の写真を何枚か見せただけですけど「それを脅迫って言うのよ!」

 

  昔の思い出の写真。だがそれは大人になれば恥ずかしい思い出となる。立花には家族がいるため

  その写真をばらされたくなければ協力しろと彼女に脅されたのだ。


 「菊馬美月には接触して星野君と貴女の存在を話したわ。さぁ約束通り、残りの写真を渡しなさい!」

 「その前に貴女にはもう一仕事してもらいます」

 「はぁ!?約束が違うじゃない!まだ何かをさせろって言うの?」

 「えぇ。貴女にしか出来ない重要なお仕事です」

 「…ふざけんな!」


 立花は我慢の限界により彼女に襲いかかろうした次の瞬間、立花は背後からスタンガンで気絶させ

 られその場で気を失ってしまう。スタンガンを持っていたのは柊美鶴と話していた側近の男だった。


 「貴女にしか出来ない重要なお仕事。それは…人質です」

 「全く、僕の仕事は護衛ではないのですが」

 「か弱い16歳の少女のお願いぐらい聞き入れてくださいよ?どうせ暇なんですから」と可愛く

  言いながら近寄るが、男はそれには乗らなかった。むしろ呆れた顔をして深く溜め息をつく。 

 「どういうおつもりですか?ターゲットに自分の存在を知らせるなんて」

 「おかしいですか?いいえ…おかしくはないはずですよ」

 「あのお方がこのことを知れば、ただで済むとは思えません」

  真剣な表情で男は彼女に言う。だが彼女にそんなものは通じなかった。

 「未来予知。もしそれが本当なら…私は今頃あの方に消されています。でも私はこの通り今も生きて

  いる。それはいったいなぜなのか、ご説明してくれますか?」

 「…」

 男は彼女に文句が言えなくなる。それを見て彼女はにやりと笑って男から離れ、倒れている立花を

 指さした。

 「とりあえず一人では運べませんので、協力してください。車は立花さんのを使えばいいだけですし」

 「…陽子様。僕は貴女の考えていることが理解できません」

 

 「理解出来ない。出来ないのならそれはそれでいいんじゃなんですか?考え方は人によって違うので

  すし…それに、そう簡単に理解出来てしまったら…面白くないでしょ?」

 

 男はそれ以上話すのをやめて、立花を車の後部座席で寝かせて彼女が助手席に乗ったことを確認す

 るとエンジンをかけて車を走らせた。車は彼女が事前に止めてある場所を男に知らせて近くまで

 持ってこさせていた。約束に遅れた理由は車の把握と男に連絡を取るのに少し時間が掛かったから

 なのである。


 

 「それで彼女を人質にするとか言ってましたが、具体的にはどうするおつもりで?」

 「…」

 「陽子様?」

 「美月ちゃんと会うわ。二人きりでね」

 「はっ?どうやって?」

 「手紙を書くの。特殊部隊宛てに」

 「はぁああ!?」


 路肩に車を止めて男は彼女に怒鳴り始める。

 「馬鹿ですか貴女は!?いったい何を考えてるんです?それに手紙なんて書いたりしたら二人どころ

  か特殊部隊の人間を何人か引き連れてやって来るに決まってるでしょ?」

  それは、犯人がわざわざ警察に挑戦状を送りつけるみたいなものだった。誘拐事件で身代金を一人

  に持ってこさせろと言われて一人でいると見せかけて、何人かの警察が犯人を捕らえようと変装し

  たりして待ち構えているように、そんなことをすれば特殊部隊だってその方法を取るはず。美月が

  一人で来ることは有り得ないと彼女に説明した。だが彼女は…。

 

 「馬鹿なのは貴方ですよ。そのために立花さんを人質として捕まえたのです。でなければ、貴方に

  連絡なんてしません。もちろん…昨日の事もありますけどね」

 「陽子様…」

 「もっとも今の私にはどうでもいいことです。美月ちゃんもあの男が実の父親だという事実を知って

  もそう簡単にくじけるとは思えませんし。私とは違って…良い生活を送っていますから」

 「陽子様、それは褒めておられるのですか?それとも「褒めてるに決まってるじゃないですか。美月

  ちゃんは血の繋がった可愛い妹なんですから」


 男はどうも彼女が褒めているようには聞えなかった。

 

 「とにかく手紙を出します。立花さんを使って一人で来させて…生き別れた姉妹の再会を果たすの

  です!」

 「ちなみにどこで再会するおつもりで?」

 「そこはまだ考えてません。とりあえず…どこか人気のない場所が良いですね。でも、作ってしまえ

  ば問題ないです。日影ひかげさんのお力を使えば簡単に出来ちゃいます」

 「貴女…人を何だと思ってるんですか?」

 「日影さんはあのお方の側近でしょ?これぐらい楽勝ですよね?それとも…貴方も立花さんみたいに

  何かを使ってお願いをした方が…「分かりましたよ。やります、やればいいんでしょ!」

 「よろしくお願いします」

 

 双子でも全然性格は似てないな…。まぁ、あのお方もそうだけど。

 

 「材料はこちらで用意しておきますので、思う存分能力を発揮しちゃってください」

 「はいはい」と男は再び車を走らせたのであった。

 

 

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