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私の危機回避能力はあてにならない  作者:
菊馬美月と特殊部隊訓練生
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テスト走行なんて聞いていない

20××年4月。町には桜が満開に咲き誇り、幼・小・中・高・大学または会社では入園・入学・入社式が

行われて新生活スタートというこの季節。でも決して誰もがこの時期初々しい経験を過ごしているわけで

はなかった―――。


町から少し離れた所に森があり、そこに一件の大きな家が建っていた。

そこには30代後半の男性と10代後半の少女が二人で暮らしていた。ちなみに親子ではなく赤の他人。


「先生、まだかかってるの?もうお昼ですよ?」

「もう少しだ。その間に飯の支度を頼む」

「あぁ~はいはい」


少女は男性に言われた通り、台所に行ってお昼ご飯を作った。

基本的に家事全般を担当している少女は、あっという間にサンドイッチを作り上げた。

包丁で三角になるように切って、お皿に乗せて男性のいる部屋へと持っていく。


「先生、サンドイッチ…「できたー!!!!」

「うわぁあああっ!?…おっととっ…」

男性の声に驚いて少女は危うくサンドイッチを落としそうになった。

間一髪でサンドイッチは地面から転落することを免れてほっと一息つく少女。


「あぁ、すまん。驚かせて悪かったな」

「びっくりさせないでよ。それで、今度は何をお作りになられたんです?」

「おぉ~聞いてくれるか?これが、今回作った作品だ!」

 

男性は少女に自慢の品をお披露目した。しかし、これには「大げさな…」とあきれ顔であったが

ある意味、少女は彼の手に持つ作品に目を疑った。


「先生、これはなんですか?」

「ん?お前見るのは初めてか?これはな、スケートボードという乗り物だ」

「知ってますよ、それぐらい。それより、これが今回先生が作った作品なんですか?」

「そうだが?」


男性の言葉を聞いて少女は呆れてモノも言えなかった。

この人はいったい何を考えているのかと。しかし、男性は次にこう口を開くのだ。


「お前、これはただのスケートボードじゃないんだぞ?俺がただのスケートボードを作ると思うか?」

「ただ単に乗りたかったから作ったということも考えられますよ?」

「あはははっ。確かにな。とりあえず説明するから試しに乗ってみろ」

「それより先にサンドイッチを食べて」


数分後、サンドイッチを食べ終えて早速、テストを開始。

少女はスケートボードと同じく作られた分厚いメガネをかけて、右横に付けられた赤いスイッチを押す。

「先生、スイッチオンにしました」

「よし。次は操作のテストだ。音声操作可能だから、何でもいい。なんか言ってみろ」

「えっと…あっ、●●商店街への道筋」


すると、少女の視界に地図が表示され先程言った商店街までの道が細かく印されていた。

「どうだ?出てきたか?」

「はい。でもこれカーナビと性能変わらなくないですか?それにこれだと走行している時、事故に繋がる

可能性があるかと」

「あぁ~そうだな。じゃあ、次行くぞ?試しに動かしてみろ」

「はい。えっと…走行開始」


『音声確認しました』とアナウンスが流れると、次第にスケートボードが地面から離れて

浮いて来た。


「えっ?!ちょっ、なにこれ!?」

意味が分からないまま少女はスケートボードに乗ったまま空中に浮く。

男性はそれをじっと見るだけで助けてくれもしなかった。


「先生、黙ってないで助けてよ!」

すると、スケートボードから足が固定され飛び降りることさえできなくなってしまう少女。


『安全のため、両足を固定しました。走行まで10…9…8…』

「先生、止めてください!どうやって止めるんですか!?」

「あとで知らせるから、とりあえず適当に散歩でもして来い」

「そんなっ!?」

混乱している中、カウントダウンは続き『3…2…1…走行スタート!』の合図でスケートボードは

大きな音を立てることなくどこかへと飛んで行ってしまった。


「よし。騒音被害は回避できそうだな。あとは、メガネの調整と…」

男性は独り言をつぶやきながら、のほほんと家の中へと入って行ったのでありました。


とりあえず、飛ばされてその後どうなるか想像しましょう。

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