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黄昏のラーヴォルン  作者: レトリックスター
第3章 秋暁のラーヴォルン
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34.ミディアがいなくなった

<<琴音>>

 塔を出て、しばらく歩いたところで、私の体が光り出した。

 残念だけど、どうやら今日はこれで終わりらしい。

「今日はすごい楽しかったよ、ミディアちゃん。」

「琴音に楽しんでもらえてよかった。」

 ミディアちゃんはそう言って、ニコッと笑った。

「でも、北街から帰れなかったのは残念だよ。

 明日は北街から光の橋を渡ってみたい。

 できれば、北街で開催されているイベントとかも見たいかな。」

 でも、私がそう言ったら、ミディアちゃんの表情が曇った。

「琴音・・・ゴメンね。

 実は、私達、明日のルフィル・カロッサには参加しないんだ。」

「えっ!?」

 そんな話、全く聞いてなかったよ。

 今日だって、明日のことを話してたような気がするんだけど・・・

 どうしてそんなことになったのか、話を聞きたかったけど、どうやらその時間はないみたいだった。

 私の体が、一層強く輝きだす。

「ミディアちゃん、詳しい話を明日聞かせてね。」

「ウン、でも、先に謝っておくね。

 ゴメンね、琴音。」

 ミディアちゃんのその謝罪の言葉と同時に、視界が光に包まれて、気がついたら見慣れない部屋に戻っていた。


「ここは・・・そっか、私、ニコちゃんの親戚の家に遊びに来ていたんだっけ。」

 そして、私の体には、日花里ちゃんとニコちゃんが抱きついていた。

 まさか、本当に抱きついていたとは・・・

 とりあえず、暑苦しいので、2人を離してと・・・おっと2人とも目を覚ました。

「琴音ちゃん、おはよう。」

 ニコちゃんは目を覚ましたばかりだと言うのに、すごく興奮していた。

「琴音ちゃん、どうやら私もラーヴォルンに行けたみたい。

 すごかったね、ルフィル・カロッサ。

 光の橋を渡ったり、塔を探検したり、浮遊大陸に行ったり、すごい楽しかったよ。

 あと、琴音ちゃんの言ってた通り、みんなすごい可愛かったよ。

 あんなかわいい子達といつも会えるなんて、琴音ちゃんがすっごいすっごい羨ましいよ。」

「ニコ、落ち着け。」

 興奮しているニコちゃんの隣で、日花里ちゃんが冷静にそう言った。

「でも、確かにニコの言う通り、すごいお祭りだったわね。」

 どうやら、日花里ちゃんも大満足だったみたいだ。

 よかった。

 2人とも喜んでくれて。

 私もすごい楽しかった。

 でも、まさかグラド・ルガンテにまで行けるとは思わなかった。

 あとで覆面にお礼言っておかないとね。

 ただ、別れ間際にミディアちゃんが言ったことが、少し気になった。

 それまで、ルフィル・カロッサは2日間あるって言ってたし、普通に2日目も参加すると思っていたから、正直言うと少しショックだった。

 でも、理由もなしに、ミディアちゃんがそんなことを言い出したとは思えない。

 まあ、詳しいことは、明日ミディアちゃんが話してくれるみたいだし、今は気にしても仕方がないかな。

 とりあえず、私は今日のイベントを消化することだけを考えよう。


 とはいえ、

「朝起きたばかりなんだけど、なんかどっと疲れたよ。」

 私がそう言うと、ニコちゃんも同じ感想だったみたいで、

「今日はお昼から海水浴に行って、夜に花火大会見に行く予定だったけど、なんかもうどうでもよくなったよ。

 疲れたし、今日はもうこのまま寝てようよ。」

 ニコちゃんはそう言って、再び布団にもぐりこんでしまった。

「それじゃ、私達、何のためにここまで遊びに来たのかわからないでしょ。

 2人ともさっさと起きて。」

 しかし、結局日花里ちゃんにたたき起こされてしまった。

 まあ、私も海水浴と花火大会は楽しみにしてたし、それにこっちのことも大事にするって決めたからね。

「私、この日のために新しい水着買ったんだから、絶対に泳ぎに行くよ。」

 私がそう言ったら、ニコちゃんがガバッと起き上がる。

「そうだった。琴音ちゃんの水着姿が拝めるんだった。

 早く準備して行こう。」

 ニコちゃんは、私の水着姿がそんなに楽しみなんだろうか?

 でも、ニコちゃんが元気になってよかった。

 さあ、今度はこっちで思う存分遊ぼう。


<<ラーファ>>

 エルフィーゼの塔は、北街から少し離れている。

 そのため、北街までは少し歩かないといけない。

 送迎用のカルチェも出てはいるけど、このびしょ濡れの格好ではさすがに乗る気になれなかった。

「そんなに離れてるわけでもないんだし、のんびり歩いて行こうぜ。」

 エレーネがそう言って、北街に向かって歩き出す。

「そうですね。」

 ミディアもアイも、エレーネに続いて歩き出した。

 まあ、この格好だし、歩くしかないだろう。

 エレーネの言う通り、北街まで歩いて行けない距離じゃないし、歩いているうちに服も乾いてくれるだろうし。


 それにしても、今日は本当に楽しかった。

 特にミディアが明るくなって、本当によかった。

 これも、アイと琴音のおかげだ。

 本当に、2人には感謝してもしきれない。

 ミディアが楽しそうに話しているのを見ると、すごい嬉しくて、思わずスキップしたくなってくる。

「ラーファ、さっきからやけにテンション高いなあ。」

 エレーネが私にそう言ってきた。

「わかる?」

「いやあ、ラーファはミディアのことになると、本当に感情が豊かになるよなあ。」

「えっ、そうかな?」

「でもさあ、ミディアはもう完全に立ち直ったみたいだし、もう今日からは一緒にお風呂に入ることも寝ることもできなくなるな。」

「うっ!」

 それを言われると・・・少し悲しい。

 でも、ミディアが立ち直ったんだから、今はそれを喜ぶべきだろう。

 だって、私はミディアの姉なんだから。

 そう、私はミディアの姉なんだ。

 だから、ミディアが立ち直って、私から離れるのは、むしろいいことなんだ。

 ミディアのためにも、そして私のためにも・・・

 ・・・・・・・・・

 それに、ここ数日、ずっとミディアと一緒で、興奮が収まらなくて、寝不足続きだったし。

 さすがに今日はぐっすりと眠りたい。

「どうしたの、ラーファ?」

 突然、ミディアが私の顔を覗き込んできて、ドキッとなった。

 ミディアは本当にかわいい。

 こういう何気ない仕草に、たまにドキッとさせられることがある。

「な、何でもないわよ。

 そんなことより、北街についたら思い切り遊ぶわよ。」

「ウン、そうだね。」

 ミディアはそう言ってニコッと微笑んだ。


 夜風の吹く中、北街まで歩いたのは正解だったみたいだ。

 北街が目の前まで近づいてきた頃には、ビショビショだった服も乾き始めていた。

「ああっ、しまった。服渇いちゃったよ。」

 突然、エレーネが頭を抱えて、それからなぜか落ち込んだ。

 どうしたんだろう、一体!?

「どうしてガッカリしてるのよ?」

「だって、グラド・ルガンテに行ったって唯一の証がなくなっちゃったんだぞ。」

 まさか、ずぶ濡れの状態をそんな風に考えていたとは思わなかった。

 発想が実にエレーネらしい。

「こんな事だったら、制服のしぼり汁を瓶にでも入れて、取っておくんだった。」

「・・・・・・」

「結局、映像も撮れなかったし、これじゃみんなにグラド・ルガンテに行って来たって話しても、誰も信じてくれないよ。」

「まあ、そうだろうね。」

 例え制服の絞り汁があったとしても、誰も信じてはくれないだろう。

 証拠としては、あまりにも弱すぎるからね。


 それにしても、私達は本当にグラド・ルガンテに行ったのだろうか?

 今でも、あれは精巧なイデアトゥアだったんじゃないかと思ってしまう。

 でも、木に名前を彫ったり、湖を泳いで服が濡れたりなんてことは、仮想空間では絶対にありえない。

 やっぱり、私達はグラド・ルガンテにいたのだろう。

 だとしたら、未踏のグラド・ルガンテに私達を連れて行くことのできた覆面って、一体何者なんだろう?

 まあ、異世界の琴音をアトゥアに連れて来れている時点で、タダものではないんだけど・・・


 北街に到着すると、すごい人で溢れかえっていた。

「・・・・・・すごい人だね。」

 ミディアは、凄まじい人混みにウンザリしているようだった。

 確かに、あの人混みの中を通らないといけないと思うと、ウンザリしてくる。

「行こう。」

 ミディアはそう言って、人混みの中に入って行こうとする。

 でも、隣にいるアイは、ウンザリした表情でじっと人混みを見つめたまま、動こうとしなかった。

 アイは私の背中で眠っていたから、少しは体力が戻ったみたいだけど、あの人混みを通り抜けたら再び体力が尽きるかもしれない。

 それに、さっきの探検で、私も体力をかなり消費していた。

 お腹が空いたから、お店に入りたかったけど、今日はどのお店も行列ができていた。

 体力も尽きてきたし、琴音も帰っちゃったことだし、私達も今日は帰った方がいいのかもしれない。

 でも、私がそう言うと、ミディアが

「明日は遊びに行けないんだし、ちょこっとだけでも見て行こうよ。」

と言ってきた。

 そう言えば、そうだった。

 北街のイベントを見る機会は今日しかないんだった。

 それに、ミディアが楽しそうにしているし、もう少し頑張ってみるかな。

 明日といえば、琴音にまだちゃんと明日のことを話してなかったわね。

 まあ、今日それも今さっき決めたことだから、仕方がないんだけどね。

 ミディアは、明日、琴音に事情を話すって言ってたけど、どこまで話すつもりだろう?

 まあ、いざとなったら、私が適当に話をでっちあげておくとしよう。


「兄貴!?」

 突然のエレーネの大声でふと我に返る。

「どうしたの、エレーネ?」

「今、兄貴の姿が見えたんだ。」

「人違いじゃないの?」

 私がそう言っても、エレーネは首を横に振って、

「違う、あれは間違いなく兄貴だった。」

 そう言って、お兄さんが見えたという方向に人混みをかき分けながら入って行く。

「あっ、ちょっとエレーネ、待ちなさい。」

 でも、エレーネには私の声が届いてないらしく、一人でどんどん進んでいく。

「ねえ、エレーネ先輩のお兄さんがいたって、本当?」

 ミディアが私に聞いてきたけど、私だって姿を見たわけじゃない。

 それに、できれば今はあの人には会いたくない。

 でも、その事はとりあえずおいといて、今はエレーネのことだ。

 どうしよう?

 エレーネが向かったのは、よりにもよって一番混んでいる飲食店が立ち並ぶ道だった。

 ミディアもアイも体力がない状態だし、あの人混みの中に連れて行くのは酷かもしれない。

 私はそう思い、ミディアとアイに、先にリーブルガルト広場の銅像のところで待ってるように言った。

「ウン、わかった。」

 ミディアは素直に頷くと、アイと一緒にリーブルガルト広場へと向かって行った。


 2人の姿が見えなくなってから、私はエレーネの入っていった通りの方を見る。

 ちょうど食事の時間帯ということもあって、飲食店が並ぶ通りは、凄まじい人で溢れかえっていた。

 しかも、いくつかのお店から、こっちに向かっておいしそうな匂いも流れてきた。

「お腹がすいたわね。」

 さっきから、私のお腹がグーグー鳴っていた。

 とりあえず、エレーネを捕まえたら、みんなで食事に行こう。

 とはいえ、食前の運動にこの人混みはきつすぎる。

「やれやれ、この人混みの中を入って行かないといけないとは・・・」

 ため息をついていても仕方がない。

 一回深呼吸をして覚悟を決めてから、思い切って通りに入った。


 人混みの中を進むのは、想像以上に過酷だった。

 しかも、この人混みの中からエレーネを探さないといけない。

 最初のうちはエレーネを探していたけど、途中からは人混みに翻弄されて、それどころではなくなっていた。

「何これ、全然進めないじゃない。」

 そうこうしているうちに、私の体力はどんどん消耗していった。

「ダメだ、もう立っているのもキツイ。」

 その時、通りから少し外れたところに小さな公園があるのが見えた。

 とりあえず、あの公園で休憩しよう。

 そう思い、何とか人混みから脱出して、公園にたどり着くと、そこでエレーネがポツンと一人で佇んでいた。


「エレーネ・・・」

「確かに、兄貴の姿を見たんだけどなあ。」

 エレーネはすごい落ち込んでいた。

 エレーネは小さい頃からお兄さん大好きっ子だった。

 だから、本当はお兄さんと離れ離れなのが、ずっと寂しかったに違いない。

 普段は明るく振る舞っているから、全然気付かなかった。

 ここは私が何とかしてエレーネを励まさないといけない。

「もし本当にここで見かけたんだったら、きっと家に帰ってくるわよ。

 北街まで来ているのに、家に帰らないなんて考えられないでしょ。

 家に帰ったら会えるわよ。」

 私がそう言うと、

「そっか、そうだよな。」

 エレーネはそう言って、自分の両頬を軽く両手でパチンと叩いた。

「よし、じゃあ夕飯食べに行こうぜ。

 って、あれ、ミディアとアイは?」

「今の2人に、この人混みは過酷すぎるでしょ。

 ていうか、私も相当体力消耗したわ。」

「悪い。」

「悪いと思うんだったら、何か一品奢ってちょうだい。」

「わかったよ。

 じゃあ、ミディアとアイと合流して、どこかで食べに行こうぜ。

 この通り以外の店でな。」

 エレーネはそう言うと、ニコッと笑った。

 正直、かなり無理をしているなあとは思ったけど、エレーネがそうしたいのであれば、私はそれに合わせるだけだ。

「ちょっと離れたところに、地元民しか知らない結構おいしいお店があるから、そこに行こう。

 ここら辺のお店よりちょっと高いけど、今日はエレーネが奢ってくれるそうだし。」

「お、奢るのは一品だけだぞ。

 そんなことより、お金大丈夫かな?」

 エレーネはそう言って、慌てて自分の財布の中身を確認しだす。

 そのエレーネの慌てっぷりがあまりにもおかしくて、思わず吹き出してしまった。

「冗談よ、この辺のお店よりずっと安いお店よ。」

「な、なんだ・・・脅かさないでくれよ。」

 エレーネは本気で安堵していた。

 それがまたおかしくて、私はしばらく笑いを抑えることができなかった。

 そんな私を見て、エレーネもおかしくなったのか、笑い出した。

 ウン、これはいつものエレーネの笑顔だ。

 どうやら、少しは元気が出たみたいだ。


 公園でしばらく休憩してから、私達は来た道を戻り、ミディアとアイが待っているリーブルガルト広場に向かうことにした。

 と言っても、人混みは収まるどころか、さらに増えるばかりで、通りを抜けるのに結構な時間を使ってしまった。

「アイツらを随分待たせちゃったな。

 お詫びに、今日はみんなにデザートを奢るよ。」

「さっきの一品とは別枠で?」

「えっと・・・まあ、それでいいよ。」

 エレーネはそう言ったけど、少し顔が引きつっていた。

 いや、冗談のつもりだったんだけど、まさか本当に奢ってくれることになるとは思わなかった。

「でも、みんなに迷惑かけちゃったからな。」

 エレーネはそう言って笑った。

 ミディアとアイには、エレーネがデザートを一品奢ってくれるってことにしておこう。

 さすがに、それ以上奢ってもらうのは、こっちも気が引けるからね。


 人混みを抜けた私達は、そのまま北街最大の施設であるリーブルガルトへと向かった。

 リーブルガルトの前は大きな広場になっていて、リーブルガルト広場と呼ばれていた。

 リーブルガルト広場は、ほんの少しだけ人の混雑が緩和されていた。

 リーブルガルト広場の中央には、昔ラーヴォルン王国を建国したという国王の銅像が建っていて、みんなの待ち合わせ場所として使われていた。

 そして、私達の待ち合わせも、銅像の近くだった。

 そこに向かうと、アイが落ち着きのない様子で、辺りをキョロキョロ見渡していた。

 何かあったのかな?

 そう言えば、ミディアの姿が見えないけど、トイレにでも行ってるのだろうか?


「アイ、どうしたの?」

 私が声をかけると、アイが今にも泣きだしそうな表情で私に言った。

「ラーファ先輩・・・ミディアが・・・どこにもいないんです。」

「えっ!?」

 スーッと血の気が引いていくのを覚えた。

 ミディアは、つい先日、リッカ・モンディールに襲われたばかりだ。

 嫌でも、悪い想像が頭によぎった。

「エレーネ先輩、早くあれを・・・」

「わかってる。」

 エレーネはカバンの中から、何やら小さな端末を取り出すと、スイッチを入れた。

「エレーネ、それは?」

「イデアトロン。

 実は、みんなの制服に仕掛けておいたんだ。」

 エレーネは端末を操作しながら、そう言った。


 イデアトロンは人のプライバシーを著しく侵害するものとして、法律で使用が禁止されたアイテムだ。

 そんなものをどうして私達の制服に?

 いや、そんなことは今はどうでもいい。

 イデアトロンを使えば、ミディアの居場所がわかるはずだ。

「私のせいだ。

 ゴメン、ラーファ。」

「謝っている場合じゃないでしょ。

 それより、早くミディアの居場所を探して。」

「わかった。」

 エレーネの持っている端末は、イデアトロンの場所を表示する端末だった。

 端末には、この辺の地図が表示されており、そこに私達4人のイデアトロンの座標が表示される・・・はずだったけど、3つしか表示されていなかった。

「エレーネ、もっと表示領域を広げて。」

「わかった。」

 それから、エレーネは端末の限界まで、地図の表示領域を広げる。

 すると、端末の端っこに、ようやくミディアの反応が見えた。

 そこは、ラーヴォルン北街のさらに北にある遠く離れた森の中のようだった。

 とても徒歩ですぐに行けるような場所じゃない。

 しかも、あの辺は、人もあまり住んでいなくて、本当に森しかなかったはず・・・

 どうして、そんな場所にミディアが?

 ウウン、そんなこと考えるまでもない。

 誰かが、ミディアを魔法転移したんだ。


「ここで休憩していたら、観光客らしい女の人が私達に声をかけてきたんです。

 ここから南街に行きたいんだけど、船乗り場がどこにあるか教えてほしいって聞いてきたから、ミディアが自分が案内するって言って、女の人と一緒に船乗り場に行ったんです。

 私も一緒に行くって言ったんだけど、ミディアが私は疲れているから、ここで待っててって言ったから、私、しばらくここで待ってたんです。

 でも、いつまで経っても戻ってこないから、私も船乗り場まで行ったんだけど、どこにもミディアの姿はなくて・・・

 入れ違いになったのかと思って、戻ってきても、ミディアは帰ってきてなくて・・・

 まさか、こんな遠いところまで連れて行かれてるなんて・・・」

 アイはひどく狼狽していた。

「どうしよう?私のせいだ。」

「アイのせいじゃないわよ。

 そんなことより早く行くわよ、ミディアのところに。」

「ハイ。」


 とは言っても、私達3人は完全に魔力が尽きている状態で、飛んでいくのはまず無理だ。

 もっとも、魔力があっても、ミディアのいる場所までたどり着けるかどうか怪しいけど。

 それくらい遠い場所に、ミディアの反応はあった。

「誰かにカルチェで乗せてってもらおう。」

 エレーネはそう言うけど、どこの誰に頼めばいいのか、見当もつかなかった。

 どうしよう?

 早く行かないと、ミディアが・・・


「待ってください、ラーファさん。」

 気持ちばかり焦って、オロオロしている私に、誰かが声をかけてきた。

「えっ!?」

 振り返ると、そこには私と同じ年齢くらいの何とも可愛らしい女の子が立っていた。


用語集

(1)グラド・ルガンテ

アトゥア唯一の浮遊大陸。

しかし、これまで誰も上陸できた人はおらず、いつからかルフィルの住む島として神聖視されるようになった。

グラドとは、神聖な人や場所につける称号で、ルフィル説が定着するようになってから、グラド・ルガンテと呼ばれるようになった。


(2)カルチェ

日本で言うところの自動車やバスだが、タイヤはなく車体は空中に浮いている。

動力は魔法で、外のマーシャントを自動的に取り込んで燃料とするため、燃料補給の必要はない

ラーヴォルン市街では送迎用カルチェ以外のカルチェの乗り入れが禁止されている。

そのため、観光客は郊外の駐車場にカルチェを止めて、送迎用カルチェで街までやってくる。


(3)リーブルガルト

ラーヴォルン北街の中央にあるイベント施設

様々なイベントで使用されることが多く、最近ではハ―メルトンのコンサートでも使用された。

アトゥア最大のイデアトゥア施設を備えているため、イデアに関するイベントや学術研究等でもよく使用される。


(4)イデアトゥア

イデアを使った仮想空間技術

空間そのものを、別の仮想空間に作り上げるための技術である

高度な技術を持つ空想士によって作られることが多い


(5)イデアトロン

イデア技術を利用した探知機。

つけた人のいる場所のみならず、使い方によっては話していることや、今何をしているかなどがわかってしまう。

そのため、プライバシーを著しく侵害するアイテムと言うことで、ラーヴォルンでは使用が禁止されている


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