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黄昏のラーヴォルン  作者: レトリックスター
第3章 秋暁のラーヴォルン
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24.ルフィル・カロッサの衣装

<<琴音>>

 赤川市は海沿いの街で、実は海峡の街と言われている。

 海峡の街と言っても、ラーヴォルンみたいに二つの大陸の狭間にあるわけではない。

 赤川市の向かいに大きな島があって、その間が海峡になっている。

 私が生まれるずっと前に、赤川市(正確には隣の市だが)とその島との間に大橋がかかり、島に行くのがすごい便利になったらしい。

 私達は今、バスでその大橋を渡って、島にあるニコちゃんの親戚の家へと向かっていた。

「赤川市にずっと住んでたけど、この橋渡るのってこれが2回目だよ。」

 私がそう言ったら、ニコちゃんは驚いていた。

 まあ、ニコちゃんは親戚の家にしょっちゅう行ってるみたいだから、きっと数えきれないくらい渡ってるんだろうなあ。

「私も、琴音の家族と一緒に昔遊びに行って以来だわ。」

 そうだった。

 あの時は、確か日花里ちゃんの家族と一緒に遊びに行ったんだっけ。

 確かまだ小学校2,3年生ぐらいだったと思う。

 でも、あの時は、大橋をじっくりと見ることもなく、車の中で日花里ちゃんとはしゃいでいたような気がする。

 そんなわけで、大橋からの光景をじっくりと見るのは、これが多分初めてだと思う。


「すごいわね。」

 バスから見える景色を見ながら、日花里ちゃんは外の景色をスマホで写真を撮っていた。

「ウン、これはすごいね。」

 私も何枚もスマホで写真を撮っていた。

 ただ、走行中のバスの中からなので、橋が景色を大分遮ってしまう。

 おまけに、バスの窓ガラスも少し汚れていて、残念なことにその汚れまで映ってしまう。

 バスを降りて写真を撮れたら、きっともっと素敵な写真が撮れるんだろうなあ。


 バスが大橋を渡りおわると、山の景色へと変わっていく。

 ここからしばらくは退屈な風景が続きそうだ。

 そんなことを考えていたら、

「ねえ、琴音ちゃん。」

後ろの席に座っているニコちゃんが、私に声をかけてきた。

「なあに?」

「到着までしばらく時間がかかるから、早くラーヴォルンの話をしてよ。」

 ニコちゃんが待ちきれないと言わんばかりに、私の肩を思い切り揺さぶってきた。

 あーそう言えば、そうだった。

 昨日、ラーヴォルンですごいものを見てしまって、それで朝、待ち合わせの駅でニコちゃんと会った時に、

「昨日ね、ラーヴォルンですごいものを見たんだよ。」

って言ったものの、その後すぐに電車が来ちゃったんだっけ。

 しかも、夏休みだってのに、電車の中は非常に混んでいて、気軽に話せる雰囲気ではなく、結局ラーヴォルンの話をしないままバスに乗ったんだっけ。


「ニコ、なんか今日はやけにラーヴォルンの話に食いつくわね。」

「だって、私、今日初めてラーヴォルンに行けるんだよ。

 そりゃあ、楽しみにもなるよ。」

 そういや、前からニコちゃん、ラーヴォルンに行ってみたいって言ってからなあ。

 ニコちゃんがラーヴォルンのことをすごい楽しみにしている姿を見ていると、なんだかすごく嬉しくなった。

「楽しみだなあ、ラーヴォルン。

 しかも、今日はお祭りなんでしょ。」

「ウン、今日と明日はルフィル・カロッサってお祭りがあるんだよ。」

「ウン、それは私も楽しみにしてる。」

 日花里ちゃんが小さく頷いた。

 でも、私には一つ気になることがあった。

「日花里ちゃんは、私に触れることでラーヴォルンを見ることができたんだよね。」

「そうだよ。」

「てことは、今日は私は日花里ちゃんとニコちゃんに触れられたまま眠ることになるのかな?」

「前回は、琴音が眠ったのを見計らって、抱きついたからね。

 今回もそうするつもりよ。」

「じゃあ、私もそうする。」


 さすがに2人に抱きつかれたら、苦しくてすぐに目を覚ましてしまいそうな気がする。

 せっかくのルフィル・カロッサなのに、それだけは勘弁願いたい。

「じゃあ、手をつないで寝ようよ。」

 私は両手を日花里ちゃんとニコちゃんと手をつないだ格好で寝るのか。

 安眠できるのかなあ?

「まあ、大丈夫でしょ。

 それはそうと、前のハ―メルトンのコンサートの時みたいに、遅く寝るんでしょ。」

「ウーン、ハ―メルトンのコンサートの時よりは少し早く寝た方がいいかもね。

 なんか、夕方から始まるらしいし。」

「じゃあ、1時ぐらいに寝ようか。」

「そうだね、それくらいでいいと思う。」

「それにね、今日の見所はお祭りだけじゃないからね。」

「えっ、どういうこと?」

「さっきも話したけど、昨日、すごいものを見ちゃったんだよ。」

「それよそれ。

 さっきからそのことがすごい気になってたんだよ。」

 ニコちゃんはそう言って、再び私に早く話せとせがんできた。

 どうやら、ニコちゃんは私と違って、お預けされるのが苦手みたいだ。

 私なんて、ルフィル・カロッサがどんなお祭りなのか、未だにミディアちゃん達にお預けされている状態なのに・・・

 まあ、だから今から楽しみではあるんだけど・・・

「じゃあ、バスが着くまで、昨日の話をしようかな。」



 昨日、いつものように眠り、ルフィルの遺跡に着くと、大勢の観光客が来ていた。

「そっか、明日はルフィル・カロッサだもんね。」

 勝手に納得して、ミディアちゃんの部屋に向かったんだけど、ルフィルの遺跡を出ると、街中すごい人で溢れていた。

「何、この人の数・・・」

 多分、私がラーヴォルンに来てから今までで一番人が多いと思う。

 それくらい街中観光客で溢れていた。

 そういや、ミディアちゃん言ってたなあ。

 ルフィル・カロッサはルフィルのお祭りの中でも最大のお祭りだって。

 しばらく街中を見渡していると、観光客の中に変わった格好をしている人達がいることに気づいた。

 あれは一体何だろう?


 大勢の観光客をすり抜けて、ルーイエ・アスクに到着した。

 こういう時だけは、この体も悪くないと思える。

 ルーイエ・アスクも大勢の観光客で溢れかえっていた。

 数日前に事件が起こって、ミディアちゃん達は風評被害を気にしていたみたいだったけど、その心配はないみたいでよかった。

 ミディアちゃんに聞いた話によると、むしろ、事件のニュースのおかげで予約が殺到したらしい。

 なんでも、スパイが泊まった旅館ということで、変な人気が出ちゃったらしい。

 もっとも、ミディアちゃん達は複雑な心境のようだけど・・・


 それにしても、最初に事件の話を聞いた時は、すごい驚いた。

 なんで、そんなスパイがミディアちゃんやラーファちゃんをって最初は思った。

 でも、しばらく冷静に考えるうちに、もしかしたら私が原因なのかもしれないと思うようになった。

 でも、そのことをミディアちゃん達に話したら、


「琴音の気にしすぎだよ。」

 ミディアちゃんに強い口調でそう言われた。

「私とミディア以外に琴音の姿見える人がいないのに、リッカはどうやって琴音の情報を入手したのよ。」

 ラーファちゃんもそう言って、私の気にすることじゃないって言ってくれた。

 でも、ラーファちゃんの話を聞いて、私は覆面の話を思い出して、逆に不安になった。


「ラーヴォルンにはアトゥア中から観光客がやってくる。

 もしかしたら、お前の姿が見える観光客が来るかもしれない。」


 でも、このことを話したら、ミディアちゃんとラーファちゃんはどんな反応を見せるだろう?

 2人以外にも私の姿が見える人がいて、その人がスパイを送り込んだとしたら、今後もミディアちゃん達は危険な目に会う可能性がある。

 それでも、ミディアちゃんとラーファちゃんは、私にラーヴォルンに来てと言ってくれるだろうか?

 そう思ったら、すごい怖くなって、それ以上何も話せなくなってしまった。

「そ、そうなの?」

「そうだよ。

 琴音が気にすることなんか、何もないんだからね。」

 ミディアちゃんは笑顔でそう言ってくれたけど・・・


「本当にこのままでいいのかな?」

 ミディアちゃんの部屋で、ミディアちゃんが帰ってくるのを待っている間、ずっとそのことを考えていた。

 幸い、ここに来るまでに私のことに気づいた観光客はいなさそうだった。

 全員確認したわけじゃないけど、私に反応した人は、私が見渡した限りではいなかったと思う。


 ミディアちゃんの部屋はもういつもの部屋に戻っていた。

 いや、ついでだからって、ミディアちゃんは部屋の模様替えをしたらしく、前と少し物の配置が変わっていた。

 もっとも、ミディアちゃんの部屋にはあまり物がないので、配置を変えたところであまり変わった感じがしないけどね。


 ガチャッ

「ただいま、琴音いる?」

 部屋の扉が開くと同時に、ミディアちゃんが部屋に入ってきた。

「あっ、おかえり、ミディアちゃん。」

「もう、人が多くて、帰ってくるの結構大変だったよ。」

「本当にすごい人だね。」

「ルフィル・カロッサだから、いつも観光客多いんだけど、今年は特別多いね。

 これって、やっぱり・・・」

「やっぱり?」

 私がそう聞くと、ミディアちゃんは慌てて首を振った。

「ウウン、何でもないよ。

 それより、これからみんなでエレーネ先輩の家に行くことになってね。」

「そうなんだ。

 じゃあ、私も行くよ。」

「ウン。」


 私はミディアちゃん、ラーファちゃんと一緒に、エレーネちゃんの家へと向かう。

 ルーイエ・アスクを出て少し歩くと、すぐに海岸に出るんだけど、今日は快晴で、北街の方まではっきりと見えた。

「ねえ、本当にお店のお手伝いしなくていいのかな?」

 ミディアちゃんが不安そうにラーファちゃんに聞いていた。

「大丈夫よ。

 お父さんとお母さんには、ちゃんと話しているから。」

「でも・・・すごい人で、みんな大変そうだよ。」

「大丈夫だって。」

 ラーファちゃんがそう言うと、ミディアちゃんは小さくウンと頷いた。


 エレーネちゃんの家に行くには、しばらく海岸沿いの道を歩かないといけない。

 まあ、そんなわけで、きれいな海を見ながら歩いていたんだけど、しばらく歩いているうちに、今日はやたらと観光客が海岸に集まっていることに気づいた。

 どうして、海岸にみんな集まってるんだろう?

 すると、向こうの方から何やら楽しそうな音楽が聞こえてきた。

「何だろう?」

 ミディアちゃんが首を傾げる。

「行ってみよう、ミディア、琴音。」

「ウン。」


 ミディアちゃんとラーファちゃんが少し小走りぎみで、音の方に向かうと、なにやらすごい人だまりができていた。

「これじゃあ、何やってるのか見えないね。」

 ミディアちゃんが残念そうにそう言う。

「よかったら、私が見てこよっか?」

「ウン、お願い。」

 私は、人ごみをすり抜けて、中心へと向かう。

 こういう時には、本当にこの体は便利だなあ。

 人だまりの中心に着くと、なんと仮装した人達が、楽器を持って音楽を楽しそうに演奏していた。

 そっか、みんな演奏を見ていたんだ。

 こういうのを見ると、なんかお祭りが近いんだなって実感できて、なんかすごいワクワクしてくる。

 それにしても、演奏している人達、なんかすごい格好してるね。

 着ぐるみ着て、顔に色を塗っているけど、あれは何かの動物の恰好かな?

 多分、アトゥアの動物の恰好なんだろうな。


「なんか、動物の恰好した人達が演奏してた。」

 戻ってミディアちゃん達にそう報告すると、ミディアちゃん達は

「へえ、なんか楽しそうだね。」

「私達も見てみたいけど、さすがにこの人ごみの中に割って入っていく気にはなれないなあ。」

「じゃあ、エレーネ先輩やアイも誘って、後で見に来ようよ。

 その頃には空いているかもしれないし。」

「そうね。」

 とりあえずミディアちゃんとラーファちゃんは、エレーネちゃんの家に向かうことにしたみたいだ。


 エレーネちゃんのお店に着くと、ここもやっぱり大勢の観光客で賑わっていた。

「おっ、やっと来たか。」

 エレーネ先輩が2階の部屋から、こっちに手を振っていた。

「お店随分と忙しそうだけど、エレーネ手伝わなくて大丈夫なのかな?」

 ラーファちゃんがそう言うと、ミディアちゃんがクスッと笑った。

「ルーイエ・アスクだってすごい人で賑わってたよ。」

「えっ、ま、まあ、大丈夫かな。」

 ラーファちゃんが慌ててそう言うのを聞いて、ミディアちゃんはまたクスッと笑った。

「行こう、ラーファ。」

 ミディアちゃんはそう言って、ラーファに手を指しだす。

「ウン。」

 ラーファちゃんはミディアちゃんと手をつないで、一緒にお店に入っていく。

「琴音も早く。」

「えっ、ウン。」

 ミディアちゃんに声をかけられて、私も2人の後について、エレーネちゃんのお店に入った。


「もう、2人とも来るの遅いよ。」

 エレーネちゃんが少し不機嫌気味にそう言った。

 部屋の中では、既にアイちゃんが来ていたけど、その様子からして、結構待たせてしまったようだ。

「ゴメンゴメン・・・すごい人ごみでさあ。」

「どうせ、あの仮装した演奏隊の音楽でも聞いてたんだろ。」

「えっ、どうしてそのことを!?」

 ラーファちゃんはすごい驚いていた。

「お前達がうちに来るのに、必ずあそこを通る必要があるから、そうじゃないかなと思ってたけど、まさか本当にそうだったとは・・・」

「人混みが凄くて全然見えなかったんですけど、琴音に見てきてもらったんですよ。」

 ミディアちゃんがそう言うと、エレーネちゃんの表情が変わった。

「えっ、琴音来てるの?」

「ハイ、私の隣にいますけど・・・」

「ちょうどよかった。

 実は琴音にも見てもらいたかったんだよ。」

 エレーネちゃんはそう言うと、部屋の奥の机に置いてあるものを取りに行った。

 あれは一体何だろう?

 そう思っていたら、エレーネちゃんが突然服を脱ぎだした。


「ちょっ!?」

 これにはミディアちゃん達も驚いたようだった。

「ちょっと何してるんですか、エレーネ先輩。」

「何って、服を着替えようとしてるんだけど・・・」

「じゃあ、向こうの部屋で着替えたらどう?」

「別にいいじゃん。

 今更恥ずかしがることもないだろ。」

 エレーネちゃんはそう言うと、服を脱ぎだして、手に持っているものに着替え始めた。

 そんなわけで、エレーネちゃんの生着替えが目の前で始まった。

 みんなは見慣れているから平気なのかもしれないけど、私にとっては初めてのエレーネちゃんの裸体なわけで、結構刺激的だった。

 ていうか、エレーネちゃん、やっぱり胸大きいなあ。

「いいなあ・・・」

 ミディアちゃんがポツリと小声でそう呟くのが聞こえてきた。

 やっぱりミディアちゃんも、エレーネちゃんの着替えを見て思うところはあったみたいだ。

 それにしても、一体何に着替えてるんだろう?

 でも、それはすぐにわかった。

 ていうか、途中からすごい見慣れているものにそっくりだってことに気づいた。


「じゃーん、どう?」

 着替え終わったエレーネちゃんがニコッと笑った。

 エレーネちゃんの着ているものは、私の学校の制服にそっくりだった。

「エレーネ先輩・・・それ、もしかして・・・」

 どうやらミディアちゃんも気づいたみたいだ。

「そう、琴音の学校の制服を作ってみたんだよ。」

 エレーネちゃんがそう言うと、みんな感嘆の声を上げた。

「すごい、これ、こないだのイデアを見て作ったんですよね?」

 アイちゃんはすごく喜んでいた。

 私はというと、エレーネちゃんの制服姿にただただ驚いていた。

 まさか、うちの学校の制服をラーヴォルンでお目にかかれるとは思ってなかったよ。

「まあ、材質とかまではわからないから、厳密に同じかどうかはわからないけどね。」

「いやいや、すごいよ、エレーネちゃん。」

 私がそう言ったのを、ミディアちゃんがエレーネちゃんに伝えると、エレーネちゃんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。


「でも、その制服のスカート・・・なんか短くないですかね。」

 ミディアちゃんがそう言うと、エレーネちゃんはニヤリと笑った。

「まあ、琴音の制服をそのまま再現するだけじゃつまらないからね。

 この方がかわいいだろう。」

 まあ、ミニスカートがかわいいって意見には賛成なんだけど・・・

 これは短いなんてもんじゃない。

 エレーネちゃんの着ているスカートは、深夜アニメとかでたまに見かける超ミニスカ制服みたいになっていた。

 あんなの、ちょっと動いただけでパンツが見えちゃうよ。

「あんな短いスカート穿いて外に出歩くとか、ただの痴女じゃない。」

 ラーファちゃんがドン引きの表情でそう言うと、

「あんなスカートが制服になったら、きっと二ホンでも問題になると思うよ。」

ミディアちゃんもドン引き状態でそう言った。

 最近では、日本でも結構スカートの短い学校があるらしいという話をテレビで見たことはある。

 とはいっても、さすがにここまでじゃないと思う。

 ていうか、私はあんな短いスカートの学校には絶対に入りたくない。


「何だよお前ら、文句ばっかり言いやがって。

 せっかくお前達の分まで作ってやったのにさあ。」

 エレーネちゃんがそう言うと、ミディアちゃんとラーファちゃんの表情が真っ青になった。

「ま、まさか・・・私達にもその制服を着ろと・・・」

「ていうか、今年のルフィル・カロッサは、この制服で行こうよ。」

「えっと、せっかく作ってもらったのに悪いんですけど・・・私は遠慮しておきます。」

 ミディアちゃんがすぐに断ると、

「私も痴女になるの嫌だから、やめておくわ。」

ラーファちゃんもさくっと却下した。

 でも、

「私は・・・ちょっと着てみようかなあ。」

 アイちゃんはそう言うと、エレーネ先輩から制服を受け取って着替え始めた。


 そして数分後・・・

「じゃーん、どうよ?」

 アイちゃんが超ミニスカ制服を着て、ポーズを決めた。

 でも、超ミニスカだから、ポーズを決めた瞬間にこちらからパンツが丸見え状態になっていた。

「アイ・・・思い切り見えてるよ。」

「痴女2号ね。」

 ミディアちゃんとラーファちゃんがそう言うと、さすがに恥ずかしくなったのか、アイちゃんはその場に座りこんでしまった。

「やっぱり、これは恥ずかしいですよ、エレーネ先輩。」

 アイちゃんって普段からエロい妄想をしているけど、やっぱりこういうのは恥ずかしいって思うんだね。

 これはちょっと意外だった。

「えーっ、そんなの見えたって、別に減るもんじゃないし、いいじゃん。」

 いや、精神力とかいろいろ削られていきそうな気がする。

 エレーネちゃんは、どうしてもこれを着て、ルフィル・カロッサに行きたいらしい。

 でも、どうしてルフィル・カロッサに、うちの学校の制服を着て行きたいんだろう?

 そう言えば今日、街中で変な格好している観光客を見かけたなあ。

 さっきの音楽演奏していた人達も、動物のコスチューム着てたし。

 何か関係があるのかな?


「ねえ、ミディアちゃん、ルフィル・カロッサの日には、何か変な恰好しないといけない決まりでもあるの?」

 私がそう聞くと、ミディアちゃんは難しい表情を浮かべて、考え込んでしまった。

 あれっ、何かマズいことでも聞いたかな?

「あっ、そうか、そう言えば琴音には何も話してなかったわね。」

 ラーファちゃんがそう言うと、

「琴音には当日まで秘密にしておきたかったんだけど、さすがにこれは話しておいた方がよかったかもしれない。」

ミディアちゃんもそう言った。

 もしかして、さっきミディアちゃんが難しい顔していたのは、話してもいいかどうか悩んでいたからなの?

「あのね、琴音・・・

 前にルフィル・カロッサでは、ベイ・カロッサってイベントがあるって話したことがあったでしょ。」

「ウン。」

 そう言えば、そんな話を聞いたような気がする。

 ルフィルに感謝するための参加型イベントだったかな。

「そのイベントは、ルフィルに感謝するためのものなんだけどね。

 その時に、自分達が思うルフィルに変装して、感謝の気持ちを表すことになってるんだよ。」

 へえ、それで観光客の中でも変な恰好している人達がいたんだ。

「まあ、ルフィルの姿なんて誰もわからないから、みんな好き勝手な衣装を身にまとってるんだけどね。」

 それはなんか楽しそうだなあ。

「で、私達は今年はニホンの制服にしようって思ったんだけど・・・」

「却下!!!」

 ラーファちゃん、エレーネちゃんの提案を瞬殺したよ。

「でも、去年も決まらなくて、結局みんなバラバラの服で参加することになったじゃんか。

 今年は、琴音と知り合えたんだし、ニホンの制服でみんな揃えて参加したいよ。」

「エレーネの気持ちはわかるけど、あの痴女みたいな恰好は無理。」

「私も・・・」

 ウーン、ミディアちゃんとラーファちゃんはどうしても嫌みたいだなあ。

 確かにあのスカートは、私も無理だ。

 それに、ラーヴォルンに来て、色んな人の服装を見てきたけど、ミニスカートをはいてる人を今まで見かけたことがない。

 魔法学校の制服も、結構長めのスカートだしね。

 多分、ラーヴォルンの服装文化が、そういう文化なんだろう。

 だとしたら、ミディアちゃん達がミニスカートに抵抗があるのも頷ける。

 逆に、ミニスカを作ってかわいいって言ってるエレーネちゃんがすごいなあって思う。

 ただ、さすがにあれは短すぎるけどね。


(1)ルフィル・カロッサ

ラーヴォルンで開かれるルフィルの4大祭りの一つで、もっとも規模の大きなお祭り。

毎年秋に開催される。


(2)ルフィル

星の生命の流れを導く存在。

死にゆくものの魂を天に返し、生まれゆく者の魂をこの星に導くための存在。

アトゥアでは、自分達が生きていられるのは、ルフィルのおかげと思っている人達が多く、ルフィル信仰が盛んである。


(3)ルーイエ・アスク

ラーファの両親が経営する宿泊施設。

施設内にはレストランもあり、比較的大きな宿泊施設のように思えるが、これでもラーヴォルンの宿泊施設の中では小さい部類に入るらしい。


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