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黄昏のラーヴォルン  作者: レトリックスター
第3章 秋暁のラーヴォルン
63/254

17.ミディアに手渡された2つのイデア

<<ラーファ>>

 しばらくすると、アイはようやく泣き止んで顔を上げた。

「ラーファ先輩・・・ありがとうございます。」

 そう言って、私から体を離した。

「アイは本当にラーファのことが大好きだな。」

 エレーネがアイにそう言うと、アイは笑顔で頷いた。

 アイが私に好意を寄せてくれていることにはもちろん気づいてたけど、正直ここまでとは思わなかった。

 まあ、恋愛感情はともかく、かわいい後輩に好かれることは、悪い気分じゃない。

 今まで、私はアイにはミディアと仲良くなってほしいと思ってたから、私は意識的にアイと少し距離を置くようにしていた。

 ラーヴォルンに来たばかりのミディアには同じ歳の友達が必要だと思ったからね。

 でも、最近では、2人ともすっかり仲良くなったみたいだし、これからは、今までの分も少しアイに優しくしてあげようと思う。

 それでアイが私の方ばっかり見るようになったら問題だけど、今のアイだったら絶対にそんなことにはならないと思う。


「フウ、やっと着いた。」

 ルーイエ・アスクの玄関に、大きな荷物を抱えたお客さんが入ってきた。

 って、あのお客さん、どこかで見かけたような・・・

 そう思っていたら、向こうも私に気づいたようで、私の方に近づいてきた。

「あのう、今朝はどうもアリガトね。」

 そうだ、今朝大浴場に行くのを迷っていたお客様だ。

 でも、あの時、私は直接会話していなかった気がするけど・・・

「お客様をご案内したのは、私ではなくてミディアだったと思うんですが・・・」

「あの子、ミディアさんって言うんだ。

 えっと、あなたは・・・」

「私は、ラーファイム・ルーイエ・ラーヴォルン。

 みんなからはラーファって呼ばれています。」

「ラーファさんですか。

 私はリッカ・モンディール。

 では、ラーファさん、ミディアさんにお礼を言っておいてもらえるかな。」

「わかりました。ミディアに伝えておきますね。」


「ラーファ、この人誰?」

 背後から小声でエレーネが聞いてきた。

 エレーネの後ろにはアイもいた。

「この人は、リッカ・モンディールさん、ルーイエ・アスクのお客様よ。

 今朝ね、大浴場に行くのに迷っていたのよ。」

「本当に助かったのよ。

 実は、あの後、ルフィル・カロッサ準備委員会を見学させてもらう予定だったんだけど、危うく遅刻するところだったのよ。」

「ルフィル・カロッサ準備委員会?

 ってことは、もしかしてルフィル・カロッサの準備のためにこちらに来たんですか?」

「ウウン、実は私はラーヴォルンで行なわれるリーヴァ王国建国祭の準備委員なのよ。

 今年の建国祭はラーヴォルンで開催されることになったから、そのための下調べでルフィル・カロッサの準備とか見学させてもらってるんだけどね。」

 リッカさんはそう言うと、小さなため息をついた。

 どうやら、あまりいい思いをしていないみたいだ。

 まあ、理由はわかるけどね。

「その荷物はなんですか?」

 エレーネがリッカさんに尋ねると、リッカさんはため息をついた。

「これは、5年前のルフィル・カロッサの準備風景を撮ったイデアと去年まで使っていた道具とかの一式だって。

 もういらないからやるって無理やり渡されたのよ。」

 なぜ、去年のじゃなくて5年前のイデア?

 まあ、嫌がらせなんだろうな。

 やっぱり、準備委員会から相当嫌われてるみたいだ。


 リーヴァ王国建国祭は、元々首都モンフェルンで行なわれていた。

 しかし、数年前から突然、王国内の主要都市で行なうようにしようということになった。

 それで、今年はラーヴォルンになったわけだけど、ラーヴォルンでの開催が決まったのがたったの半年前。

 しかも、開催時期がルフィル・カロッサと重なることから、ラーヴォルン側がかなり反発したという話を聞いたことがある。

「ほら、今のリーヴァ王国って都市国家の集まりみたいになっちゃってるでしょ。

 こんな時期だし、国としてまとまらないとマズいって王国政府は考えて、建国祭を各都市で開催することで国として一つにまとめたいって考えたみたいなんだけど、各都市の意見も聞かずに勝手に決めちゃったでしょ。

 ルフィル・カロッサも建国祭のおかげで日程が早まったって聞いてるし、歓迎されないとは思ってたけど・・・」

 リッカさんは深いため息をついた。

「これ、いらないんだったら、こちらで処分しておきますけど・・・」

「いや、まあ色々と参考にできる情報があるかなって思って、持って帰ってきたからいいですよ。」

 リッカさんはそう言って荷物を持ち上げようとしたけど、ここまで持ってくるのに相当体力を消費したようで、なかなかうまく持ち上げられないでいた。

「よろしければ、私がお部屋までお持ちしましょうか?」

「いいの?

 じゃあ、悪いけど部屋まで運んでもらえるかな?

 ここまで持ってくるのに、もう疲れちゃって、これ以上運ぶのきつかったんだよね。」

「わかりました。」


 お客様の荷物を運ぶことになったので、エレーネとアイとはここで別れることにした。

 エレーネが「私も手伝おうか。」と言ってくれたけど、これはルーイエ・アスクの仕事だし、エレーネに手伝わせるわけにもいかなかったので断った。

 それに、確かに重たいけど、私一人で持てない重さではなかったからね。

 とはいえ、リッカさんの部屋は4階にあるらしく、さすがに一気に持って上がるのは予想以上に体力を消耗した。

 リッカさんが魔法を使って少し持ち上げてくれているみたいだけど、それでも重たい。

「ラーファさん、大丈夫?」

「さすがに、ちょっときついですね。

 ちょっと、そこの部屋で休憩していいですか?」

 ちょうどさっきまでお誕生会を行っていた部屋の前まで来ていた。

「ここって、確か今朝会った部屋だね。

 ここで少し休憩していこう。」


 部屋は、ミディアとお母さんが片づけてくれたおかげで、すっかりきれいになっていた。

 よかった、さっきまでの散らかった部屋だったら恥ずかしいところだった。

 そう思って、部屋の中に入った瞬間だった。

 突然、視界が真っ暗になった。

 体が動かない・・・ていうか、体の感覚がない。

 何、何が起こってるの?

 でも、パニックになっていたのはおそらく一瞬だっただろう。

 すぐに、意識が暗闇の中に吸い込まれるように遠くなっていく。


「ゴメンね、少し体を借りるわね、ラーファさん。」


 薄れゆく意識の中でかすかに聞こえたのは、リッカさんの声だった。


<<ミディア>>

 ・・・・・・

 どうしよう、このイデア?

 夕飯を食べて、お風呂に入ってから、2人のイデアを見ようとは思ってたけど・・・

 このイデア、一体何が入ってるんだろう?

「ラーファのは多分、普通のイデアだと思うんだけど・・・」

 アイのイデアは、色々と悪いことしか思いつかない。

 今日のお誕生会、色々あったけど、みんなともっと仲良くなれた気がして、個人的にはすごい素敵なお誕生会だと思ってたのに・・・

 どうしてこのタイミングで、アイはイデアなんか持ってきたんだろう?

 今日はアイのお誕生会だったし、アイの命令だから見るけど・・・

「また変な妄想イデアだったら、本当に怒るよ。」

 アイからもらったイデアにロクなものなかったからなあ。

 ラーファとアイの妄想ラブストーリーとか、その程度のものだったらまだいいんだけど・・・

 アイの妄想は、やたらと肌色成分が多すぎるんだよね。

 こないだのイデアも、アイと琴音が裸でちゅっちゅしていたし・・・

 まさか、このイデア・・・私とちゅっちゅしているイデアじゃ・・・

 ハァ・・・見るの嫌だなあ。


 ラーファのイデアは、アイのイデアと違って普通のイデアだと思うけど、こっちはこっちで何が入ってるのか全く想像がつかない。

 ラーファがわざわざ私にイデアを渡すなんて、これが初めてだから。

 多分、この中にはラーファからの何らかのメッセージが入ってるんだと思う。

 でも、わざわざイデアに入れて持ってくるなんて、どんなメッセージだろう?

 こっちはこっちで、見るのがなんか怖い。

 夕飯の時に、ラーファに聞いてみたけど、ラーファは見ればわかるとしか言ってくれなかった。

 ていうか、ラーファの様子、なんか少し変だったな。

 食事中、ラーファの視線を感じることが何度かあった。

 もしかして、私がイデアを見てどんな反応を見せるか、気になってるのかな?

 だとしたら一体、どんな内容のイデアなんだろう?

 なんかますます見るのが怖くなってきたよ。


「どっちから先に見ようかな?」

 どっちのイデアも見るのにすごい勇気がいる。

 でも、どちらかというと、ラーファのイデアの方が重い感じがする。

 じゃあ、先にアイの妄想イデアを見てしまって、その後にラーファのイデアを見ようかな。

 正直、気が進まないけど、2人と見るって約束したし、仕方がないかな。

 そんなわけで、まずアイのイデアをイデアフィールズにセットした。

 どんな妄想イデアが入ってるかわからないけど、覚悟を決めよう。

 一回大きく深呼吸をして、イデアフィールズのスイッチを入れた。

 すると、しばらく真っ暗な映像が続いた後、アイの映像が映った。


「今回の妄想イデアは、自分のアップからスタートかあ。」

 そんなことを思いながら見ていたけど、いつもと違って映像が鮮明であることに気づく。

 妄想イデアの場合、妄想を映像にするから、映像的に少しぼやけていたりするんだけど、今回の映像はそれがない。

 何より、映像の中のアイは、なんかモジモジしている。

 アイの妄想イデアの場合、映像時間が短いから、話のテンポが早く、即行動に移すものが多い。

 でも、今回は、なんかアイはイデアの前で妙にモジモジしている。

 ひょっとして、これは妄想イデアじゃないのかな?

 そう思っていたら、映像の中のアイが、ようやく話し始めた。


『えっと、何から話そうか、整理してから話そうと思ったんだけど・・・

 やっぱり、こういうの、私、慣れてないから無理。

 だから、思っていることを片っ端から話していくね。

 ミディア、今日はお誕生会ありがとうね。

 これを撮ってるのは、お誕生会の始まる前だけど、これを渡しているってことは、多分、楽しいお誕生会になったんだと思う。

 もし、何かあったとしたら、多分渡してないと思うからね。

 でね、どうしてこんなイデアを渡そうって思ったかというとね・・・』


 映像の中のアイは、なんか妙にモジモジしている。

 普段見るアイとは全く違う感じがして、なんか少し変な感じだ。

 一体、こんなイデアを渡して、何を話したいんだろう?

 そう思った時だった。


『ミディア、私と友達になってくれて、ありがとう。』


 突然のアイの言葉に、私は驚いてしまった。


『ほら、私って、空想士目指してるけど、そのせいで変な妄想癖があるでしょ。

 だから、あんまり友達がいなかったんだよね。』


 いや、空想士って別に妄想する人のことじゃないから。

 空想士のせいにするのはどうなんだろう。


『でも、ミディアはそんな私ともずっと友達でいてくれた。

 実を言うと、最初はミディアのことはどうでもよかった。

 ラーファ先輩に言われたから、仕方がなく友達になろうって感じだった。』


 アイのことだから、多分そうだろうと思ったよ。

 まあ、そっちの方がアイらしいし。


『でも、こないだ琴音にイタズラしてミディアに怒られた時、わかったんだ。

 いつの間にか、私の中でミディアがすごい大きな存在になっていたってことがね。

 だから、ミディアに私の評価がどん底だって言われた時、本当に頭が真っ白になった。』


・・・・・・


『結局、あれはミディアが冗談だって言ってくれたからよかったけど・・・

 今でも、ミディアのあの言葉が頭から離れない。

 そして、すごく怖くなる。

 ミディアに嫌われたくない。

 最近、エレーネ先輩に言われた。

 私がミディアの顔色を窺いすぎてるってね。

 確かに、最近の私はそうだったかもしれない。

 ミディアに嫌われるのが怖くて、ミディアの顔色を窺っていた部分もあったかもしれない。

 もしかして、ミディアもそう思っていた?

 だとしたら、ゴメンね。

 私も、それじゃダメだと思った。

 だって、私にとってミディアは親友なんだから。』

 アイはそう言って、小さな笑みを浮かべた。


『私ね、これからもずっとミディアとは親友でい続けたいと思ってるんだ。

 学校にいる間はもちろん、大人になって別々の道を行くことになっても、ミディアとはずっとずっと親友のままでいたい。

 ハハハ・・・なんで、こんなこと話しているんだろうね?

 でも、今日はミディアと友達になれた日でもあるし、だから今の私の気持ちを伝えておきたいと思ったの。

 でも、こんなこと面と向かって話すの恥ずかしかったから、イデアになっちゃったんだけどね。

 まあ、色んなことを言ったけど、明日学校で会った時は、今まで通り普通に接してほしい。

 私も普通に接するからさ。

 これからは遠慮しないで普通にガンガン行くからね、よろしくねミディア。

 じゃあ、ミディア、明日また学校でね。』


 笑顔で手を振るアイの姿で、イデアの映像は終わっていた。

 そっか、最近、アイの様子が少し変だと思ってたんだよ。

 以前だったら、聞き流していたようなことでも、妙に反応したりしてたからね。

 でも、まさか、私のあの発言が原因だったとは思わなかった。

 いや、あの時の私は、なんか変だったんだよ。

 アイが琴音に何か変なことしたって聞いて、アイに謝らせようと思って、随分ときついことを言っちゃった。

 ウウン、それだけじゃない。

 アイの秘密を琴音は知っていて、でも私には教えてくれない。

 そう思ったら、なんだかすごい心がモヤモヤして、ついあんなことを言っちゃった。

 言った後で、すごい後悔した。

 琴音もアイも親友なのに、どうしてあんなことを言っちゃったんだろうって。

 後でちゃんと撤回したつもりだったけど、そっか、アイはすごいショックを受けてたんだ。

 なんかすごい悪いことをしちゃったなあ。

 明日からいつも通りって、アイは言うけど、その前にまず私がアイに謝らないとね。


 そうしないと、アイはいつまでも私の言ったことを気にしていつもに戻れないと思う。

 ウン、それがいい。

 それにしても、まさかアイがこんなことを考えていたなんてね。

 歳をとっても親友って、なんかいいなあ。

 その時のことを想像したら、思わず泣きそうになったよ。

 歳をとっても、いつまでもアイと親友でいられるといいなあ。

 これからもよろしくね、アイ。


 さて、残るはラーファのイデアだけど、こっちもアイのイデアみたいな感じなのかな?

 アイのおかげで、最初ほどの不安はなくなっていた。

 じゃあ、ラーファのイデアも見てみるかな。

 イデアフィールズにラーファのイデアをセットしてスイッチを入れた。

 すると、しばらく真っ黒な画面が続いた後、ラーファの姿が映った。

 やっぱり、アイと同じタイプのようだ。

「さあて、ラーファはどんなことを言うのかな?」


『ミディア、今日はお疲れ様。

 今日のお誕生会はどうだった?

 すごく楽しかった?』

 ラーファのおかげで、すっごい恥ずかしい思いをしたお誕生会だったよ。

 そして、すごいスッキリした気分にもなれた。

 トータルで考えたら、ラーファには感謝なんだけど、なんか素直にお礼を言える気分にはなれないなあ。


『この3年間、ミディアが来てくれたおかげで、かけがえのない3年間になった。

 私ね、ずっと妹がほしいと思ってたの。』


 知ってるよ。

 ラーファ、ずっと私に姉アピールしてたからね。


『で、ミディアは私の理想の妹そのものだったから、もう本当に嬉しかった。

 まあ、しょっちゅう私が姉を強調してたから、ミディアには若干ウザく感じたかもしれないけどね。』


 ラーファも自覚があったんだ。

 でも、正直言うと、ラーファの妹になるの、そんなに悪くはなかったよ。

 たまにウザいと思う時はあったけどね。


『この3年間、私はミディアのことを本当の家族だと思って接してきた。

 お父さんもお母さんもミディアのことを娘だと思って接してきた。

 ミディアは、私達のことを家族のように思ってくれたかな?

 そうだとしたら、すごい嬉しい。

 ウウン、ミディアもきっと私達のことを本当の家族のように思ってくれていると確信している。』


 もちろん、私もラーファの家族のことを、本当の家族のように思ってるよ。

 みんなのおかげで、本当に幸せな毎日を過ごせてるし、ラーファとラーファのご両親には本当に感謝している。


『でも、そう思ったら、もっと欲が出ちゃってね。

 私はミディアと本当の家族になりたい。

 最近、強くそう思うようになった。』


「えっ!?」


『ルーイエ・アスクに引き取られることになった時も、ミディアは私達の養子にならなかった。

 自分が養子になってしまったら、スフィルラン家がなくなってしまうから、養子にはならないってミディアが言ったって話をお父さんから聞いている。

 だから、法律的には今は私とミディアはただの同居人の関係にすぎない。

 ミディアの気持ちはよくわかるし、私も無理に養子になってほしいなんて言わない。

 形式なんてどうだっていい。

 これは心の問題だから。

 私は心だけでも、ミディアと家族になりたい。

 でも、そのためには、心の壁を取り除かないといけない。

 3年前、ミディアは心の壁を取り除いてくれたおかげで、私達は仲良くなれた。

 今度は、家族になるために、ミディアに心の壁を取り除いてほしい。』


 えっ、心の壁ってどういうこと?

 私が、ラーファ達に対して心の壁を作っているってラーファは言いたいの?

 確かに3年前は、私は心の壁を作っていた。

 でも、今は心の壁なんか作ってない。

 私はラーファ達に心を開いているつもりだよ。


『こんなこと言っちゃうと、私達が家族になれないのは、なんだかミディアのせいみたいになっちゃうけど、決してそうじゃないからね。

 心の壁は、私達にもあると思うから。

 それは多分、ほんのちょっとの壁なんだと思う。

 でも、家族になるためには絶対に乗り越えないといけない壁なんだと思う。』


 家族になるための壁・・・

 私だけでなく、ラーファ達にもある心の壁?

 さっきからラーファが何の話をしているのか、さっぱりわかんないよ。


『多分、その壁は時間が経てば、自然に乗り越えられるものなんだと思う。

 だから、私も最初は、ミディアが20歳になる頃には家族になれているといいなあって思っていた。

 でも、最近はそんなに待っていられないと思うようになった。

 だって、私達には時間がないかもしれないから・・・』


 ・・・・・・


『突然、こんな話をして、ミディアにはすごい悪いと思ってる。

 でも、もしよかったら、私達と家族になる話、一度真剣に考えてもらえないかな。

 もし、ミディアが嫌だったら、それはそれで仕方がないと思う。

 でも、ウウン・・・できれば、私達と家族になってほしい。

 形式にはこだわらないから、せめて心だけでもね。』


 ラーファのイデアはここで終わっていた。

 イデアの中のラーファの表情、笑顔を作っていたけど、すごい真剣だった。

 ラーファは一体どんな気持ちで、このイデアを撮ったんだろう?

 それにしても・・・私は、ラーファにどう答えたらいいんだろう?

 私は、ラーファの家族のことを、本当の家族のように思ってる。

 でも、ラーファは私に本当の家族になってほしいと思っている。

 心だけでいいから、本当の家族になってほしいって、どういうことだろう?

「心の壁って言われても・・・私、壁なんて作ってないよ。」

 本当に私は一体どうしたらいいんだろう?


今回から、作中に出てきた用語の解説を、あとがきに書こうと思います。

(1)イデア

様々な用途で使用される魔法媒体のこと。

ミディア達が使うイデアは、主に映像を記録した映像イデアのことを指す。


(2)イデアフィールズ

放送電波を受信して、映像や音声に変換する機械

また、映像イデアを再生したり、放送を映像イデアに記録することもできる

地球におけるテレビやビデオに相当する。


(3)空想士

頭の中でイメージした空想世界をイデアに念写して、空想世界を作成する魔導師のこと

アトゥアでは、アニメ作品は空想士によって作成される

アニメ以外にも、仮想世界の制作など、その仕事内容は多岐にわたる

高い集中力と魔法力、そして高度な空間把握能力が必要。


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