表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏のラーヴォルン  作者: レトリックスター
第3章 秋暁のラーヴォルン
62/254

16.ラーファの想いとアイの勘違い

みなさん、明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

<<ミディア>>

 気がついたら、もう夕方になろうとしていた。

 そのあと、みんなでいろんなことを琴音に話した。

 琴音に話しながら、この3年間、色んなことがあったと私も振り返ることができた。

 ラーファ、エレーネ先輩、そしてアイ・・・

 3人のおかげで、この3年間は楽しい思い出でいっぱいだった。

 改めて、3人に感謝しないといけないと思った。


 しばらくすると、琴音の体が光り始めた。

「残念だけど、もうそろそろ帰る時間みたい。」

「今日はいろいろありがとう、琴音。」

「こっちこそ、ありがとう。

 今日はみんなの楽しい昔話がたくさん聞けて、すっごい楽しかったよ。」

「じゃあ、今度は、琴音の昔話でも聞かせてほしいなあ。」

 後ろからラーファがそう言った。

「えっ、わ、私の!?」

 琴音、なんかすごい慌てた表情になってるけど、どうしたんだろう?

「ま、まあ、そのうちね・・・

 考えとくよ。」

 さっきまでと違って、なんか琴音すごい慌てている。

 もしかして、あまり人に話したくない過去があるんだったら、聞かない方がいいのかもしれない。

「琴音、無理に話する必要ないからね。

 私は、琴音が話してくれる時まで、ずっと待ってるからね。」

「ミディアちゃん・・・ありがとう。」

 琴音は最後にニコッと笑うと、スーッと光の中へと消えて行った。」


「琴音・・・帰っちゃった。」

「いつも思うけど、どういう仕組みで琴音はここまで来てるんだろう?

 光の中に消えていく姿を見る度に、そんなことを考えるわ。」

 ラーファが琴音のいた方を見て、そう言った。

 確かに、琴音がどうやってここに来ているのか、未だに謎なんだよね。

 琴音曰く、謎の覆面に連れてきてもらっているそうだけど、その覆面は一体何者なんだろう?


「琴音帰っちゃったのか?」

 エレーネ先輩が私に聞いてきた。

「ハイ。」

「じゃあ、私達もそろそろ終わりにしよっか。」

「そうね。

 今日一番の目的は、とりあえず達成したしね。」

 ラーファは満面の笑顔で頷いた。

 ラーファの今日一番の目的って、私の恥ずかしい記憶を探ることだったってこと。

 本当に悪趣味だなあ。

 まあ、ラーファ達に全部話して、私もすごいスッキリしたけどね。

「そうだ、ミディア。」

 突然、アイに声をかけられた。

「なあに、アイ?」

「これ、あげる。」

 そう言って、アイは私に1枚のイデアを手渡した。


「何、これ?」

「フッフッフ・・・今日、最後の命令だよ。

 ミディア、今日中に一人でこれを見るように。」


 今までアイとイデアの組み合わせはロクなことがなかったし、すごい嫌な予感しかしなかった。

「まさか、また変な妄想イデアじゃないよね?」

「まあ、見てのお楽しみってことで。」

 アイはそう言うと、ウィンクをした。

 せっかくいい感じだったのに、最後に爆弾を掴まされた気分になった。

「ああ、そう言えば・・・」

 ラーファが私の方に近づいてくると、

「ハイ、私もミディアにイデアをあげるね。」

 そう言って私にイデアを手渡した。

「ラーファまで・・・どうしたの?」

「まあまあ、アイのイデアと一緒に見てくれればいいよ。」

 何だろう?

 こんな風にラーファからイデアをもらったのって、これが初めてだ。

 いつもは風景イデアを買って来ても、絶対に見せてくれないのに。

 それとも、これはやっぱり、今日のあれと関係があるのかな?

 一体、どんな映像が入っているんだろう?

 なんか、見るのが少し怖いなあ。


<<ラーファ>>

 毎年楽しい誕生日会だけど、今日のは色々と記憶に残る誕生日会になった。

「なんか、すごい嬉しそうだな。」

 帰り間際に、エレーネが私にそう言った。

「まあね、ミディアのことを色々と知ることができたし。」

「そっか、そりゃあよかった。」

「正直、ミディアがあんなことを考えていたなんて思わなかった。」

「私もだよ。

 両親の記憶を守るためだったなんて、私には想像もつかない理由だよ。」

「私は、ミディアとずっと一緒にいたのに、ミディアのことを何もわかってなかったんだなあって少し落ち込んだ。」

「またあ、それがラーファの悪いところだってーの。」

 エレーネがそう言って、私の頭をコツンと叩いた。

「ラーファはミディアのことになると、いつもそうだ。

 前にも言っただろ。

 ミディアに変わってほしいんだったら―――」

「まず、私が変わることだったわね。」

「そう。」

 エレーネは満足げに大きく頷いた。

 自分の言ったことを私が覚えていたことに、すごい満足しているようだ。


 これは数日前、私とアイとエレーネの3人で会話した時の話だ。

「本当に、今年は私とミディア、公平の待遇で頼むよ。」

「わかってるわよ。」

「本当かなあ?

 以前から思ってたけど、お前達のミディアに接する態度、少しおかしいぞ。」

「ミディアに接する態度がおかしいってどういうことよ?」

「そうですよ。

 私もラーファ先輩も、ミディアと普通に接していると思いますけど。」

 アイも首を傾げていた。

 でも、エレーネは私とアイのミディアに接する態度はおかしいと強く言った。

「ラーファはミディアに対して過保護すぎる。」

 エレーネにグサリと痛いところを突かれた。

 それは、自分も薄々感じていたことではあった。

「だって、ミディアは両親を失って記憶喪失だし、早くラーヴォルンでの生活に慣れてほしいから・・・」

「来たばかりならともかく、ミディアがラーヴォルンに来て、もう3年だぞ。

 それなのに、ラーファの過保護っぷりは3年間、全く変わってないだろ。

 さすがに、ミディアもうっとおしいと思ってるんじゃないか。」

 えっ、ミディア、私をうっとおしいと思ってるの?

 エレーネのその一言は、私に予想以上の精神的大ダメージを与えてくれた。

「おい、落ち込むなよ。

 さすがに言い過ぎたよ。悪かった。」

 私が落ち込んだのを見て、エレーネも少し言い過ぎたと思ったらしい。

「まあ、ラーファ先輩の過保護っぷりは今に始まったことじゃないですし、別にこのままでもいいんじゃないですか?」

 アイがそう言った。

 でも、それでエレーネの矛先はアイの方に向いた。

「確かに、ラーファは3年間ずっと変だが、アイ、お前は最近少し変だぞ。」

「私が・・・何か変ですか?」

「お前のミディアに接する態度、以前と違って、少し変だぞ。

 何か、ミディアの顔色を窺っているみたいな感じがする。」

 エレーネがそう言うと、アイは明らかに動揺を見せていた。

 私は全く気づかなかったけど、最近のアイ、そんなに変だったかな?

「ミディアと何かあったのか?」

 エレーネが尋ねると、アイは思い切り首を横に振った。

 ああ、あの態度は、間違いなくミディアと何かあったようだ。

 でも、一体何があったんだろう?


「2人とも、そろそろ普通にミディアに接してやったらどうだ?」

 数日前のエレーネのその一言が、今でも頭の中に残ってる。

 私はミディアのことを思っていたつもりで、もしかしたら自分の思いをミディアに押し付けていただけなのかもしれない。

 エレーネに言われてから、自分のしてきたことに自信が持てなくなってしまった。

「私、今日はどうだった?」

 エレーネに聞いてみると、エレーネは苦笑していた。

「ラーファは今日の自分が普通に思えた?」

「ウウン、思えない。」

 私がそう言ったら、エレーネはもう一回苦笑した。

 やっぱりダメだったか。

 ミディアに普通に接するって、一体どうやったらいいんだろう?

「なあ、ラーファ・・・」

「なあに?」

「あのイデアさ・・・」

「ウン、私の今の気持ちをミディアに伝えるつもり。」

「そっか・・・ついにミディアに伝えるんだな。」

「ウン。」

「でもさ、ミディアに考える時間を与えてやってよ。

 ラーファのことだから、ミディアを急かしそうな気がして心配だよ。」

 確かに、それは気をつけないといけない。

「わかってるわよ。」

 きっと、私のイデアを見て、ミディアは困惑するに違いない。

 だから、ミディアに時間を与えないといけない。

 私は長い時間待つことになるだろう。

 そう、これは私の覚悟の問題だ。

 きっと苦しい時間になるだろう。

「まあ、その間、ラーファは過保護を直せばいいよ。」

 エレーネがニコッと笑いながらそう言った。

 まあ確かに、それも大事な問題だ。

 でも、ミディアに普通に接するってどうやればいいんだろう?


<<アイ>>

 帰り間際、玄関でラーファ先輩とエレーネ先輩が話しているのを見かけて、声をかけようと思ったんだけど・・・

 2人の話している内容に衝撃を受けて、それどころではなくなってしまった。

「ラーファ先輩がミディアに気持ちを伝えるって・・・まさか・・・告白!?」

 ありえない話ではない。

 だって、ラーファ先輩とミディアは同じ家に住んでいるわけだし、ラーファ先輩はいつもミディアのことばかり気にかけているし・・・

 そんな・・・私のラーファ先輩が・・・ミディアに取られてしまう。

 どうしよう?


 落ち着け、私。

 まだ、ラーファ先輩とミディアが恋人同士になることが決まったわけではない。

 いくらラーファ先輩がミディアのことを想っていても、ミディアがラーファ先輩のことを好きでなければ、カップルは成立しない。

 ・・・・・・

 でも、傍から見ていても、ラーファ先輩とミディアは本当の姉妹のように仲がいいし・・・

 私なんかよりも、ミディアと付き合った方がラーファ先輩にとっていいのかも・・・

 それに、ミディアは私の親友だし、どこの馬の骨かわからない奴に取られるよりは、まだ我慢できる。

「ラーファ先輩・・・ミディアと幸せになってください。」


「私がミディアとなんだって?」

「うわっ!!!」

 いつの間にか、私の背後にラーファ先輩とエレーネ先輩が来ていた。

「って、おい、なんで泣いてるんだ?」

 エレーネ先輩が驚いた表情で私に声をかけてきた。

「えっ!?」

 自分でも気づかなかったけど、いつの間にか泣いていたらしい。

「アイ、大丈夫?」

 ラーファ先輩が優しく私に声をかけてくれた。

 せっかく2人のことを祝福しようと思ってたのに、そんなに優しく声をかけられると諦めきれなくなっちゃうよ。

 涙がどんどん溢れてきて、止まらなくなってしまった。

「本当に大丈夫、アイ?」

「ラーファ先輩・・・私は、いつまでもラーファ先輩の味方ですからね。」

「アイ?」

「ラーファ先輩とミディアは、きっといいカップルになると思いますよ。」

「ちょっと、アイ、何言って・・・」

「ははーん、わかったぞ。」

 エレーネ先輩がニヤリと笑って、こっちを見た。

「アイ、お前、私達の会話を盗み聞いてたな。」

 心臓が止まりそうになった。

 2人の会話を盗み聞いていたなんてことがラーファ先輩にバレたら、ラーファ先輩に嫌われてしまう。

 なんとかごまかさないと。

「えっと、何のことでしょうか?」

 でも、私は泣いたままだし、こんな一言でエレーネ先輩をごまかせるわけもなく・・・

「ラーファとミディアがいいカップルになるって、なんのことだ?」

「だって、ラーファ先輩がミディアに想いを伝えるって・・・あっ!!!」

 しまった、聞いてたことをそのまま話してしまうとか、私はなんてバカなんだろう。

 自ら墓穴を掘ってしまった。

「いやあ、本当にアイはわかりやすいなあ。」

 エレーネ先輩はニヤリと笑った。

「ねえ、ちょっと、エレーネ、何の話?」

 でも、ラーファ先輩はよくわかってないようだった。

 ラーファ先輩がわからないまま終わらせてほしかったけど、エレーネ先輩がそれを許してはくれなかった。


「いやあ、さっきの私達の会話を聞いて、アイはラーファがミディアに告白すると思ったらしいんだよ。」

「えっ、そうなの、アイ?」

 ラーファ先輩は驚いていた。

 ってことは、もしかして、私の勘違い?

「だって、私の想いをミディアに伝えるって・・・」

「そう、私の想いをミディアに伝えるの。

 あのイデアでね。」

 やっぱり、ラーファ先輩は、ミディアに告白するつもりなんだ。

 そう思ったら、また涙が出そうになった。でも・・・

「ラーファの伝える想いってのは、アイの考えているようなものじゃないぞ。」

「へっ!?」

 あまりの驚きに、思わず変な声が出てしまった。

 じゃあ、ラーファ先輩の想いってのは一体何なんだろう?

「まあ、私にとっては、告白以上に大事なことなんだけどね。」

 ラーファ先輩はそう言った。

「まあ、アイが考えているようなことだけはないから、心配するな。」

 エレーネ先輩が笑いながらそう言った。

 ってことは、ラーファ先輩とミディアは恋人同士にはならないってこと?

 でも、ラーファ先輩の言った告白以上に大事なことって一体何なんだろう?

 そんなことを考えていたら、ラーファ先輩が私の方に寄ってきて、私に頭を下げた。

「アイ・・・私のことで心配させてゴメンね。」

「そんな・・・ラーファ先輩が謝ることじゃないですよ。

 私が勝手に勘違いしただけですから・・・」

「それでも、心配させてゴメンね。」

 ラーファ先輩が私の頭を優しく撫でてくれた。

 そのラーファ先輩の優しさと、告白じゃなかったという安堵感から、再び涙がこぼれた。

「もう仕方がないわね。」

 ラーファ先輩はそう言うと、私をそっと抱きしめてくれた。

 この感じ・・・あの時と同じだ。

 お母さんが亡くなった時のラーファ先輩と同じだ。

「こうするのは、あの時以来ね。」

 ああ、ラーファ先輩、覚えてくれていたんだ。

 そう思ったら、なんだかすごい嬉しくなって、また涙がこぼれてしまった。

 今日はなんだか、お昼からずっと泣いていたような気がする。

 でも、たまにはこんな日があってもいいよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ