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黄昏のラーヴォルン  作者: レトリックスター
第2章 晩夏のラーヴォルン
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2.大掃除の日の散策

<<琴音>>

 ミディアちゃんと一緒にラーヴォルンでお散歩できる。

 もうこのシチュエーションだけで、私はお腹いっぱいです。

 私より一回り小さな女の子が、「琴音、琴音」と楽しそうに話しかけてきてくれるこの状況。

 さっきから興奮が抑えきれません。

 日花里ちゃんの言葉でずっと不安だっただけに、その反動で余計に興奮しているのかも。

 でも、ミディアちゃんって、確か私と同じ16歳なんだよね。

 とても16歳とは思えない。

 かわいすぎるよ。

「琴音をどこに連れて行こうかな?」

 さっきから、ミディアちゃんは、私をどこに案内しようか迷っているようだった。

 でも、私が最初に案内してほしいところは決まっているんだよね。

「私、ミディアちゃんのおうちに行きたい。」

「えっ!?」

 ミディアちゃんは驚いた顔になった。

「ウン、別にいいけど・・・

 でも、せっかくラーヴォルンに来たんだから、もっといい観光名所に行った方が・・・」

「2回来られたから、多分これからもラーヴォルンに来ることができると思うんだよね。

 だったら、観光名所よりも、まずは行くべきは友達の家でしょ。」

「琴音・・・」

「ミディアちゃんの家を知っていれば、私の方から遊びに行くこともできるからね。」

「そっか、そうだよね。

 それに、私、いつもこの時間は学校に行ってるから、下校するまでは私の部屋で待ってもらった方がいいかも。

 じゃあ、まずは私の部屋に案内するね。」

「ウン。」


 こうして私達は、ミディアちゃんの部屋に向かうことになった。

 ところでさっき、この時間は学校に行ってるって言ってたけど、今日は休みなのかな?

「ミディアちゃん、今日は学校休みなの?」

「今日は休みだよ。

 昨日、ルフィルのお祭りがあったでしょ。

 だから、今日は街中で大掃除なんだよ。」

 へえ、街ぐるみで掃除するために休みなんだ。

「ラーヴォルンは観光都市だからね。

 みんなで常に美しい街を保つっていうのを心がけてるんだよ。」

「へえ、それでお祭りの次の日には、街をあげて大掃除するんだ。

 でも、街の中にはお祭りが終わったにも関わらず、結構観光客が残っているようだけど。」

「まあ、ラーヴォルンは観光都市だからね。

 それに、最近ではお祭りの翌日の大掃除も、何か観光名物になっちゃったみたいでね。

 みんなで大掃除しているところを、イデアルーンで撮られたりして、結構恥ずかしいんだよね。」


 おっと、ここで聞きなれない言葉が出てきた。

 イデアルーンって何だろう?

 ラーヴォルンじゃ常識なのかもしれないけど、私はラーヴォルンの人間ではないので、聞いても問題ないよね?

「ねえ、イデアルーンってなあに?」

 でも、私がそう聞くと、ミディアちゃんはすっごい驚いた表情になった。

「えっ、もしかして、二ホンにはイデアルーンってないの?」

「私の知る限りでは・・・ないかな。」

 こんなに驚かれると、少し自信がなくなってきた。

 でも、日本にはなかったはず・・・なかったと思う。

 少なくとも日常用品でそう言う名前のものは、なかったはずだ。

「イデアルーンは景色とか人を撮影する機械のことだよ。」

 なんだ、ビデオカメラのことだったのか。

 でも、変だなあ。

 こっちで会話する時って、誰かが自動的に翻訳してくれているみたいなんだけど、固有名詞はダメなのかな?

 でも、学校とかはきちんと翻訳されているからなあ。

 イデアルーンもビデオカメラに翻訳してくれればよかったのに。

「最近では、街の大掃除の様子を撮ったイデアが他国で売られているって話も聞くし、なんか嫌だなあ。」


 また、わからない言葉が出てきた。

 イデア?

 でも、さっきのビデオカメラの名前がイデアルーンということは・・・

「あのう、ミディアちゃん、イデアってのはもしかして・・・」

「イデアルーンで映した映像は、イデアに保存されるんだよ。」

 やっぱり、イデアルーンはビデオカメラで、イデアはDVDとかBlu-rayディスクとかメモリカードのようなものってことか。

「そのイデアって、売られてるの?」

「うん、ラーヴォルンでも他の観光地のイデアを売っているよ。

 エレーネ先輩の家が、イデアを売っているお店なんだ。」

 へえ、エレーネちゃんの家ってそうなんだ。

 そうだ、いいことを思いついた。

「ねえミディアちゃん、今日はみんなの家を紹介してよ。

 私、ミディアちゃんやラーファちゃんの宿屋さんにも行ってみたいけど、エレーネちゃんのお店にも行ってみたい。」

 私がそう言うと、ミディアちゃんは笑顔でウンと頷いてくれました。


 しばらく歩いているうちに、ミディアちゃんの住んでいる宿屋に到着した。

「うわあ、大きい。」

 宿屋の建物を見て、思わずそう叫んでしまった。

 建物は4階建てぐらいだろうか?

 横に奥に結構ドーンと広がっていて、すごい大きな建物だった。

 宿屋って言うから、RPGに出てくるようなこじんまりした建物をイメージしていたのに。

 私のイメージしていた宿屋とは完全に違ってた。

 これはもうホテルだよ。

「でも、ラーヴォルンにある宿屋では、うちの宿屋は小さい方なんだよ。」

 これで小さい方なの?

 さすが観光都市。

 きっとすごい宿屋が他にもたくさんあるんだろうな。

 建物の上の方に、何やら大きな文字が書かれていた。

「あれって、何て書いてあるの?」

「ああ、あれはルーイエ・アスクって書いてあるんだよ。

 この宿屋の名前だよ。」

 ミディアちゃんの説明によると、ラーヴォルンでは旅館のことをアスクと呼ぶらしい。

 この宿屋はルーイエさんの経営している宿屋だから、ルーイエ・アスクなんだって。

 なんだかそのまんまだね。


 ルーイエ・アスクの前の道では、従業員とおぼしき人達がやっぱり掃除していた。

 その中には、私の知っている顔もいた。

「あれは、ラーファちゃんだ。」

 私の声に気づいたのか、ラーファちゃんは私の方に顔を上げる。

 そして、私の存在に気づくと、ラーファちゃんは怖がって宿屋の中に入ってしまった。

 とびっきりのスマイルで手を振ったつもりなのに、おかしいな?

「琴音、ラーファのこと嫌いにならないでね。」

 ミディアちゃんが不安な表情で私の方を見ていた。

「嫌いになったりなんかしないよ。」

 私がそう言うと、ミディアちゃんはホッと笑顔を見せてくれた。

「今ので、ますますラーファちゃんを攻略したくなったかな。」

 でも、私がそう言うと、ミディアちゃんは少し引いてしまったみたいだけど。


「とにかく、まあ入ってよ。」

 ミディアちゃんに誘導されるまま、ルーイエ・アスクの中に入る。

 建物の中に入っていきなり驚いた。

 玄関に入ると、いきなり大きな部屋が広がっていて、天井にはなんかすごいシャンデリアが飾られていた。

「何、あのシャンデリア?

 すごい大きくてきれいだね。」

「ああ、あれはね。昔、レミテドーレで優勝した時の景品だったらしいよ。」

 おお、またしてもわからない言葉が出てきた。

 これからも、こんな感じでわからない言葉が出まくるのだろうか?

 少し不安になってきた。

「レミテドーレってのは、ラーヴォルンの旅館の中でもっとも優れた旅館を決める大会でね。

 1年に1回行われてたんだって。

 あれは、5年前の大会で優勝した時の景品らしいよ。」

 私が質問しなくても、ミディアちゃんがきちんと説明してくれた。

 ミディアちゃん、気が利くなあ。

「へえ、じゃあここってすごい旅館なんだ。

 でも、5年前ってことは、最近は優勝できてないってことか。」

 私がそう言うと、ミディアちゃんの笑顔が固まってしまった。

「あっ、ゴメンなさい。」

 ここは素直に謝ることにした。

「ウウン、気にしてないよ。」

「じゃあ、次のレミテドーレでは優勝できるように頑張ろうよ。」

 私がそう言うと、ミディアちゃんは小さく首を横に振った。

「実は、もうやってないんだよ、レミテドーレ。」

「えっ、そうなの?」

「ウン、3年前に審査で不正が発覚して、それが大問題になって、結局レミテドーレ自体が廃止されちゃったんだよ。」

「そうなんだ。」

 て言うことは、リベンジしたくても、もうできないってことか。

「でも、おじさんもおばさんもラーファもここで働いてる人達も、みんな一生懸命頑張ってるから、次開催されることがあったら、絶対に優勝できるよ。」

「ウン、そうだね。」


「ミディア、どうしたの?」

 突然、私達より少し年上のお姉さんが声をかけてきた。

「あっ、ラヴィおばさん、ただいま。」

「ええっ!?」

 多分、私の姿が見える人だったら、私の大声で、みんな私の方を見ただろう。

 現にミディアちゃんは、びっくりした表情で私の方を見ていた。

「ど、どうしたの琴音?」

「い、いや、おばさんって、まさかこの人が、ラーファちゃんのお、お母さん!?」

「ウン、そうだよ。」

 ミディアちゃんはあっさりと頷いた。

 でも、ラーファちゃんのお母さんと言うことは・・・年齢は間違いなく30歳以上だと思うんだけど・・・

 どう見ても私達より少し年上のお姉さんにしか見えなかった。

 本当にこの人がラーファちゃんのお母さん?


「ミディア、どうしたの?

 さっきから一人でブツブツ呟いて。」

 やっぱり、ラーファちゃんのお母さんにも、私の姿は見えないみたいだ。

 ていうか、さっきから周りの人達が、ミディアちゃんのことを心配そうに見ているところからして、誰も私の姿が見えてないのだろう。

 ミディアちゃんがいて、本当によかった。

 でも、ミディアちゃんは、さっきから独り言を呟いているように周りから思われているみたいだった。

「なななな、何でもないよ。それより、私もお掃除手伝うよ。」

 ミディアちゃんが顔を真っ赤にしてそう言うと、ラーファちゃんのお母さんはミディアちゃんに何かを手渡した。

 あれは、お金かな?

「ちょうどよかった。

 実は、エレーネちゃんのお店に、新しいイデアが入荷したって聞いてね。

 ちょっと行って買ってきてほしいのよ。」

「何のイデアを買ってくればいいの?」

「えーっとね、イルキスのイデアを買ってきてくれない?

 エレーネちゃんにそう言ったら、多分わかると思うわ。」

「うん、わかった。

 イルキスのイデアだね。

 じゃあ、行ってくるね。」

 ラーファちゃんのお母さんはミディアちゃんにそれだけ頼むと、すぐに奥の部屋に消えていった。

 大掃除の日だけど、観光客も大勢泊まってるので、結構忙しそうだった。

 私思うんだけど、旅館が祭りの翌日に大掃除するのは、かなりきついんじゃないだろうか。

 だって、お祭りの日に泊まって、翌日発つパターンが多いだろうし。

 ここに限らず、どこの旅館もきっと大変だろうなあ。

「琴音、じゃあ先にエレーネ先輩の家に行こっか。」

「ウン。」

 こうして、私とミディアちゃんは、まずエレーネちゃんのお店に行くことになった。


「ねえ、イルキスって何?」

 歩きながら、さっき出てきた新しいキーワードについて、ミディアちゃんに確認する。

「イルキスは、ここからずっと北にある最北の場所だよ。

 すごい寒い場所で、万年氷で覆われてるんだって。」

 話を聞く限りでは、地球で言うところの北極のことらしい。

「イルキスに行く人なんてめったにいないから、イルキスの風景を映したイデアって、非常に貴重なんだよ。」

「なんか、見ているだけで寒くなりそうだね。」

「でも、きれいなオーロラとか映っていて、本当に美しいところなんだよ。」

「そうなんだ。一度見てみたいな。」

「じゃあ、買ったらみんなで一緒に見ようよ。」

「ウン、そうだね。」

 ミディアちゃんは笑顔で頷いてくれた。

 本当はミディアちゃんの笑顔さえ見られれば、それでいいんだけどね。

 ラーヴォルンで私が会話できる数少ない相手ってこともあるけど、ミディアちゃんと一緒にいるとすごい癒されるわあ。

 これで、ミディアちゃんに触れることさえできればなあ。

 思い切りスキンシップしちゃうのに、残念だなあ。


 エレーネちゃんのお店は、ミディアちゃんの宿屋から歩いて10分ほどの場所にあった。

 途中で大きな川の橋を渡るんだけど、そこから見える景色がすごくて、私はしばらく橋の上で見とれていた。

 川は海峡から流れてきてるんだけど、橋から海峡とその向こうの大陸の街並みがくっきり見えて、すごい美しい景色だった。

 橋からちょうど北街が見えるってのがポイントだ。

 それに、川の水もすごいきれいだった。

 この季節にここで泳いだら、すごい気持ちいいだろうなあ。

 結局、私がそこからなかなか動かなかったので、10分で着けるはずの場所に30分ぐらいかかってしまった。

 でも、ミディアちゃんは嫌な顔一つしないで、私が景色に見飽きるまでずっと待ってくれた。


 しばらくすると、エレーネちゃんのお店が見えてきた。

 お店の外ではエレーネちゃんも大掃除していた。

「あれっ、ミディア、こんなところで何やってるの?」

 ミディアちゃんの姿に気づいたのか、エレーネちゃんがこっちにやってきた。

「エレーネ先輩、こんにちわ。

 実は、ラヴィおばさんに頼まれて、イルキスのイデアを買いに来たんです。」

「ど、どうしてイルキスのイデアが入荷したことを知ってるの?

 明日いきなり店頭に出す予定で、まだどこにも公表してないのに!!!」

 エレーネちゃんがすごい驚いてる。

 公表前に知ってるとか、ラーファちゃんのお母さんって、一体何者なんだろう?

「じゃあ、私が一番乗りですね。」

「いや、でも・・・まあ、仕方がないか。」

 エレーネちゃんはそう言うと、私達をお店の中に案内してくれた。

 お店の中には、すごい数のイデアが並んでいた。

「ラーヴォルンのイデアもたくさんあるの?」

 私が尋ねると、ミディアちゃんはもちろんと頷いた。

「そりゃあ、ラーヴォルンは観光都市だしね。

 ここには一年中のラーヴォルンの様々な景色を映したイデアがたくさんあるんだよ。

 もちろん、南街だけじゃなくて、北街のイデアもたくさんあるんだよ。」

 それは私もぜひ見てみたい。

「これらのラーヴォルンの美しい風景は、ほとんどエレーネ先輩が撮影してるんだよ。」

 なるほど、道理で絶景スポットに詳しいわけだ。

「じゃあ、こないだ見た絶景スポットのイデアも・・・」

「多分、置いてあると思うよ。」

 だとしたら、もう一度あの景色見てみたいなあ。


 でも、一つだけ疑問に思ったことがあった。

「ここって、ラーヴォルン以外のイデアも置いてあるんだよね?」

「ウン、そうだよ。ここにはアトゥア中の美しい光景を映したイデアがあるんだよ。」

 へえ、それはすごい。

「でも、ラーヴォルン以外の地域のイデアって、どうやって撮影してるの?」

 さすがにエレーネちゃんが世界中を飛び回って撮影しているとは思えない。

 学校だってあるだろうし。

「えーっと、それはね・・・」

「ミディア、もしかして昨日の見えない子も一緒にいるの?」

 エレーネちゃんがミディアちゃんに話しかけてきた。

 きっと、エレーネちゃんにはミディアちゃんが独り言を話しているように見えるんだろう。

「ハイ、琴音は私の隣にいます。」

 ミディアちゃんがそう答えると、エレーネちゃんは「そっかあ」と笑顔で応える。

 エレーネちゃんは私の姿が見えないのに、ミディアちゃんの話すことを全部信じてるんだね。

「で、琴音がですね、アトゥアの他の地域のイデアってどうやって入手してるのかって?」

 ミディアちゃんが私の代わりに、エレーネちゃんに聞いてくれた。

「ああ、それなら簡単なことだよ。」

 とちょうどその時、お店にお客さんが入ってきた。

「お店の人ですか?」

 そして、エレーネちゃんに声をかけてくる。

「いらっしゃいませ。」

「ここって、イデアの交換ができるって聞いたんですけど。」

「どちらのイデアの映像をお持ちですか?」


 ああ、そう言うことか。

 観光客の持っているよそのイデアとラーヴォルンのイデアを交換しているんだ。

「今から映像を確認しますので、しばらくお待ちください。」

 エレーネちゃんはそう言うと、奥の部屋に入っていく。

 そして、しばらくすると、部屋の中から飲み物を持って戻ってきた。

「査定が終わるまで、店内のイデアをゆっくりご覧ください。」

 エレーネちゃんはそう言うと、お客さんに飲み物を出す。

 紫色のジュースだけど、あれはグレープジュースかな?

 その後、エレーネちゃんはミディアちゃんに袋を手渡した。

「ハイ、これがイルキスのイデアだよ。

 他の人には内緒にしておいてよ。」

 エレーネちゃんがミディアちゃんに小声でそう話した。

「わかってますよ。

 じゃあ、早速家に帰って見させてもらいますね。」

 それからしばらくして、奥の部屋から美しい女性が姿を現すと、エレーネちゃんに声をかけた。

「エレーネ、査定はランク3ね。」

「わかった。」

 エレーネちゃんはそう言うと、さっきのお客さんのところに戻っていく。

「査定結果ですが、先程のイデアはランク3と出ました。

 ランク3のイデアとの交換なら受け付けられますが、いかがしますか?」

 なるほど、査定でランクを決めて、同じランクのイデアと交換できるってことか。

「じゃあ、これで。」

 お客さんも予めどのイデアにするか決めていたようだ。

 そんなわけで、取引はスムーズに成立して、お客さんは喜んで店を出て行った。

 なるほど、こうやってアトゥア中のイデアを集めているわけね。

 それはそうと、もう一つ気になることがあった。

「ところで、さっきの美しい女性は一体誰?」

 ミディアちゃんに尋ねる。

「ああ、あの人はエレーネ先輩のお母さんだよ。」

 私は言葉を失った。

 ラーファちゃんのお母さんといい、エレーネちゃんのお母さんといい、若すぎだろう。

 どう見ても20代の女性だよ。

 もしかして、ラーヴォルンでは10代前半で結婚する風習でもあるのかな。

 でも、そうだったら、ミディアちゃんやラーファちゃんやエレーネちゃんも、もう結婚していないといけない年齢だよね。

 でも、3人とも結婚しているようには見えないし。

「ねえ、もしかしてミディアちゃん達って、既に結婚してるの?」

 私の突然の質問に、ミディアちゃんは驚いたようだった。

 その様子を見れば、ミディアちゃん達が結婚していないことは一目瞭然だった。

 多分、ラーファちゃんのお母さんもエレーネちゃんのお母さんも、私のお母さんとそれほど歳は変わらないんだろう。

 てことは、ラーヴォルンに住む女性は、年をとってもあまり老けないってことなんだろうね。

「ラーヴォルンでは18歳になるまでは結婚できないんだよ。」

 ミディアちゃんが真っ赤になりながら、私に強く抗議してきた。

 ウン、真っ赤になってるミディアちゃんもかわいい。

 いっそのこと、私がミディアちゃんと結婚したいと思った。


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