表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏のラーヴォルン  作者: レトリックスター
第3章 秋暁のラーヴォルン
50/254

4.ミディアの悩み

<<ミディア>>

「今日は色々と衝撃的な一日だったなあ。」

 一人、お風呂に浸かりながら、今日聞いた話のことを思い出していた。

 琴音が男の子に告白された話や、ラーファがずっと想っているヴィルトワって人の話も聞けた。

 これで、琴音に告白した男の子が、どんな人か見ることができたらなあ。

 琴音は眠っている間に、二ホンからラーヴォルンに来ているらしい。

「あーあ、私も眠っている間だけ、二ホンに行けるようにならないかな?」

 そうすれば、もっと琴音とずっと一緒にいられるのに。

 二ホンのことだって、もっと色々知ることができるのに。

 琴音を連れてきているのが誰だかわからないけど、ついでに私も二ホンに連れてってくれないかな?


「それにしても、みんな変わっていないようで、結構いろんなことがあるんだなあ。」

 なんか私だけ、全然変わってないような気がする。

 3年前に事故で記憶を失ったけど、この3年間で私は何か成長したのかな?

 お湯に浸かっている自分の体を見てみる。

「ダメだ、全然成長していない。」

 3年前の事故のショックで、私の体の成長は止まってしまったのかな?

 3年前以前の記憶は全くないんだけど、もしかしたら昔から全く成長していないのかも?

 前から少し気にはなってたんだ。

 ラーファもエレーネ先輩も、アイも背が伸びて胸も大きくなっているのに・・・

 私は3年前からほとんど成長していない。

 3年前はアイとほとんど同じ背の高さだったのに、今では随分と差ができてしまった。


「どうやったら、私の身長も胸も大きくなるんだろう?」


「ミディア、大丈夫よ。」

 いつの間にか、ラーファがお風呂に入って来ていた。

「ラーファ・・・」

「やっぱりね。

 ミディア、薄々と自分の体のことを気になってるんじゃないかと思ってたのよ。

 実は、私も気になってたからね。

 みんな背が伸びているのに、ミディアだけ3年前からあまり変わってなかったからね。」

 ラーファはそう言うと、私の頭を優しく撫でた。

 もしかして、ラーファが私の体をじっと見ていたのって、私の成長を気にしてくれていたってこと?


「ミディアは全然そういうこと言わなかったから、私も言わないようにしていたんだけどね。

 でも、やっぱり思春期の女の子だもんね。

 気にならないわけないよね。」

 ラーファはずっと私のことを気にかけてくれてたんだ。

 それなのに、私、いつもお風呂で私の体をじっと見ているラーファのことを、少し気持ち悪いなんて思ってた。

「ラーファ、私の体、もう成長止まっちゃったのかな?」

「大丈夫よミディア。

 まだ16歳でしょ。

 ちょっと成長が始まるのが遅れているだけよ。

 そのうち、今まで止まっていた分まで一気に成長してくれるわよ。」

 ラーファはそう言うと、私をそっと優しく抱きしめてくれた。

 ラーファに慰められて、不覚にも涙が出そうになった。


「それに、無理に大きくなろうなんて考えなくてもいいわよ。

 世の中にはいろんな嗜好の人がいるからね。

 私みたいに、今のミディアの体型の方が好きだっていう人だって・・・」


 バシッ!!!


 ラーファの頭を思い切り殴ってやった。

 ラーファの言葉で涙が出そうになった自分が恥ずかしい。

「私、もう出る。」

「あーん、ミディアのいけず。

 私、今入って来たばっかりなんだし、もう少しゆっくりとしておいきよ。」

 ラーファはそう言うと、私の体に自分の体を近づけてきた。

 心なしか、少し呼吸が荒い気がする。

 言葉づかいも何か変だ。

 なんか、すごい身の危険を感じる。


「もう絶対に出る。」

 うっとおしいラーファを無理やり引きはがす。

「もう、そんなこと言わないでよ。」

 ラーファはそう言うと、背後から私の両胸をわしづかみにした。

「こんなに真っ平らな胸を触っても、何もいいことないよ。」

「そんなことないよ。」

 ラーファはそう言うと、背後から私の胸をもみしだく。

 ラーファに胸を触られているうちに、だんだん不快な気分になってきた。

 胸を触られていることに対してより、ラーファが背中に密着していることで、ラーファの胸の大きさを嫌でも感じてしまうことに腹が立ってきた。

 もしかして、わざとやってるのかな?

 そう思ったら、すごい腹が立ってきた。


「ラーファ、いい加減にして。」

 頭に来たので、ラーファの体を強引に引き離した。

 私が怒っていることに、ラーファも気づいたみたいだ。

「ミディア・・・その・・・ゴメン・・・

 ちょっと悪ふざけしすぎちゃった。」

 人の胸を散々揉んでおいて、その一言で済ませるつもり。

 こうなったら、私もラーファの胸を揉んでやる。

 私だけ揉まれるのは不公平だからね。

「もういいよ。怒ってないから。」

 私がそう言うと、ラーファはホッとしたのか、無防備に私に近づいてきた。

 今だ。

 近づいてきたラーファの胸を思い切りわしづかみにしてやった。

「フフン、これでおあいこ・・・」


 パチン

「えっ!?」


 あまりにも一瞬の出来事だったので、何が起こったのかわからなかった。

 すごい勢いで、ラーファに手を叩かれたらしい。

 しかも、思い切り叩かれたので、手が真っ赤になっていた。

 私の胸を散々触りまくったくせに、自分の胸を触られるのは嫌だってこと?

 ラーファに文句の一言でも言ってやろうと思った。

 でも、私の手を叩いたラーファの表情は、さっきまでの冗談めいた笑顔とは全く違っていて・・・

 ひどく怯えた表情になっていた。

 さっきまでの冗談めいた空気が一瞬で消え去ったことだけはわかった。

 ラーファに何が起こったのかわからず、私はラーファに何も声をかけることができなかった。


「ミディア・・・ご、ゴメンね。」

 ラーファは私に謝ると、叩いた私の手を優しくさすってくれた。

「本当にゴメン・・・わ、私・・・」

 ラーファ、一体どうしたんだろう?

 なんか様子が変だ。

「え、えっと、私の方こそ、なんかゴメンね。」

 私がそう言うと、ラーファはもう一度だけゴメンと言って、さっさとお風呂から上がってしまった。

 えっと、ラーファって、そんなに胸を揉まれるのが嫌だったのかな?

 でも、単に嫌だとか、そんなレベルを超えているような気がする。

 それに、あの怯えた表情が、何か気になる。

 ラーファが怖がりだから、怖い話をするとすごい怯えた表情になるけど、さっき見せたのはそれとは違う怯えの表情だ。

 あんなに怯えたラーファの顔・・・初めて見た。

 ウウン、あの怯えた表情・・・前にもどこかで見たことがあったような気がする。

 でも、思い出せない。

 どうしてだろう?


 見たことがあって思い出せないとしたら、やっぱりあれだ。

 こないだの事件の時かな?

 私とラーファとエレーネ先輩とアイが、突然、琴音の記憶をなくしたあの事件。

 あの事件で消された記憶は、全部戻ったと思ったんだけど、もしかしたらまだ思い出せていない記憶があるのかもしれない。

 そういや、記憶が消えた日の前の日、ラーファはどうしていなくなったんだっけ?

 朝には家に戻ってたけど、それまでラーファはどこに行ってたんだろう?

 琴音は何か知ってるような気がするんだけど、前に一度、あの事件の話をしたら、すごい真っ青な顔になってしまった。

 とても琴音に聞く気になれない。

 だから、今はとりあえず、あの事件のことは気にしないでおこうと思ってたんだけど・・・

 あのラーファの怯えた表情が、思い出せていない記憶にあるんだとしたら・・・すごい気になる。

 また、何か悪いことが起きなければいいけど・・・

 何より、ラーファのことがすごい気になった。

「ラーファ、大丈夫かな?」

 さっさとお風呂から上がって、ラーファの様子を見に行ってみよう。

 いつものラーファに戻っているといいけど・・・


 お風呂を出て、自分の部屋に戻ると、部屋の前でラーファが待っていた。

 もしかして、私が風呂から上がるのをずっと待っていたのかな?

「どうしたの、ラーファ?」

「ミディア・・・お風呂でのこと、謝るね。

 本当にゴメンなさい。」

 そう言って謝るラーファは、まるで小さな女の子のようだった。

 ちょっと手を強く叩いたくらいで、そこまで気にしなくてもいいのに・・・

「もういいから、そんなに気にしないでよ、ラーファ。」

「本当にゴメンね。」

 ラーファはもう一度私に謝ると、さっさと自分の部屋に戻ってしまった。

 いつもだったら、お風呂に上がった後でも、平気で私の部屋にくるのに、今日はあっさりと自分の部屋に戻って行ってしまった。

「ラーファ、大丈夫かな?」

 なんか、すごい心配だ。

 でも、ここでずっと心配してても仕方がないし、さっさと部屋に戻ろう。

 それにしても、ラーファがあんなに胸を触られることを嫌がるとは思わなかった。

 人の胸を触るのは大好きなくせに、触られるのは嫌だとか随分と身勝手だとは思うけど・・・

 でも、あんな表情されたら何も言えないよ。

「もしかしたら、ラーファが男の人と付き合わないのって、これが理由なのかな?」

 だって、男の人って、女の子の胸が大好きだって聞いたことあるし。

 だから、胸の全くない私は、男の人から全く相手にされないわけで・・・


 ダメだ、自分で勝手に落ち込んでしまった。

 そうじゃないでしょ。

 今はラーファのことだよ。

 でも、ラーファはヴィルトワさんのことは大好きなんだよね。

 もしかして、ヴィルトワさんは女の子の胸に興味がないとか・・・


「それにしても、ラーファの胸、柔らかかったなあ。」

 ラーファほどじゃなくてもいい。

 せめて、その半分でいいから、私にもついてくれないかなあ。


 ・・・・・・


 本当に私の体、どうしちゃったんだろう?

 アイと初めて会った時は、ほとんど背の高さが変わらなかった。

 でも、今は私よりも随分背が高くなっちゃった。

 私・・・ずっと背が伸びないで、このまま大人になっちゃうのかな?


 琴音はすらっとしているし。黒髪がとても美しくてきれいだ。

 そりゃあ、あれだけかわいいんだから、男の子に告白されるよね。

 ラーファにも、ヴィルトワさんという好きな人がいる。

 エレーネ先輩は、すごい胸が大きくてきれいだし、アイだってすごいかわいい。

 まあ、性格はアレだけどね。

 多分、エレーネ先輩やアイにもそのうち恋人ができるんだろうなあ。


 私は・・・どうなんだろう?

 私の体は、3年前からほとんど成長していない。

 なんだか、私だけおいてきぼりになりそうな気がして、少し怖くなった。

 って、さっきから私、すごい悪いことばっかり考えてるよ。


 体が大きくならないことばっかり考えても仕方がないよ。

 だって、こればっかりは私にはどうすることもできないんだから・・・

 でも、体は小さいままでも、人間的にはもっと大きく成長できるはずだ。

 体が大きくなれないんだったら、そっちで頑張るしかない。

 確かに体は3年前とあまり変わってないけど、でも、私だってちゃんと成長しているんだ。

 もっともっと人間的に成長したい。


「だからね、私を琴音の住んでいる世界に連れてってくれないかな?」

 翌日、私は琴音にお願いしてみることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ