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黄昏のラーヴォルン  作者: レトリックスター
第2章 晩夏のラーヴォルン
26/254

22.この女の子は誰?

<<ミディア>>

「どう、いい映像が撮れた?」

 船を降りると、アイが尋ねてきた。

 ちなみに、船内でアイとエレーネ先輩はずっと座ったままだった。

「だって、疲れてたし。」

 さすがのエレーネ先輩もお疲れのようです。

 アイなんか、船内で眠っていたからね。

 北街から南街まで15分ぐらいで着くのに。

 まあ、私が歩きまわしたせいなんだけどね。

 でも、少し眠って、アイは少し元気が出たみたいだった。

「多分、帰ってから確認してみるよ。」

「いい映像が撮れてるといいね。」

「ウン。」


 南街について、私達は港で解散した。

 私はラーファと一緒に、夜のラーヴォルンの街を歩いて帰ることにした。

 さすがに私も少し疲れました。

 こういう時は、船着き場から家が近いエレーネ先輩が羨ましい。

 でも、夜のラーヴォルンの街を歩くことなんて今までほとんどなかったので、なんか新鮮だった。

「えへへへへ・・・」

 突然、ラーファが奇妙な笑い声を上げる。

 何か気持ち悪い。

「な、何、どうしたの?」

「いやあ、私ね、一回、夜遅くにミディアと一緒に散歩したかったんだよね。」

「そうなの?」

 でも、なんでだろう?

 いつも一緒に学校に行ってるんだし、2人で散歩なんて毎日やってるようなものだと思うんだけど。

「だって、昼間は街の人や観光客がいっぱいいて賑やかでしょ。

 でも、この時間になったら、さすがに人もほとんどいなくなるでしょ。

 今は、私とミディア、2人っきりの街って感じがしない?」

「ウン、確かにそうだね。」

 確かに、昼間と違って、人のいない夜の街は、まるで別の街みたいだった。

 こんな夜を二人きりで歩いてたら、街まるごと貸し切った気分になれるね。

 今度は、琴音と一緒に歩いてみたいな。

「ラーファにしては、素敵なこと考えるね。」

「ちょっと、私にしてはってどういう意味よ?」

 私とラーファは見合って、大笑いした。

 今は、私とラーファ二人きりのラーヴォルンの街。

 そう考えたら、家までの道のりもなんか楽しいものになった。

 もっとも、そんなロマンチックなことを考えていられるのは、家に着くまでだけど。


「アンタ達、こんな夜遅くになるんだったら、せめて連絡よこしなさい。」

 帰って早々、ラヴィおばさんに叱られた。

 まあ、当然だよね。

 もうとっくに日付変わってる時間だし。

 あまりにも楽しすぎて、私もラーファも家に連絡するの、すっかり忘れてた。

 ここまで遅くなったのは、主に私が原因なんだけどね。

「ゴメンね、ラーファ、私のせいで怒られたようなもんだよ。」

「ウウン、全然気にしてないよ。そんなことより、ミディア。」

「なあに?」

「一緒にお風呂に入ろう。」

「・・・・・・」

 正直、ラーファと一緒に入りたくないけど、こんな時間だし仕方がないか。

「い、いいけど・・・もうジロジロ見たり、体に触ったりするのやめてよね。」

「えっ、わ、私、そんなにジロジロ見たり、触ったりしたかな?」

 ラーファはいつもとぼけるけど、絶対にジロジロ見ている。

 なんかすごい視線を感じて、恥ずかしいんだよね。

 でも、どうして私の体をジロジロ見たりするんだろう?

 それに、やたらと私の体を洗おうとしてくるし。

 お風呂の時のラーファって、いつもと違って、なんか少し怖いんだよね。

 まあ、いいや。

 でも、お風呂に入る前に、一つ確認しておきたいことがあった。

「ねえ、ラーファ・・・」

「なあに?」

「イデアルーンを持ってきてたこと、どうして教えてくれなかったの?」

 ギクッ

 ラーファの体が露骨に固まった。

「イデアルーンがあることを教えてくれたら、私も念写の確認ができたのに・・・」

「そ、それはその・・・」

 何か怪しい。

 これはもしかしたら・・・


「ラーファ。」

「な、なにかな?」

「北街で琴音を念写したイデア、ちょっと見せてほしいんだけど・・・」

 ギクッて擬音が聞こえてくるほど、見事なまでにラーファの体が硬直した。

「ラーファ、出して。」

「ハイ・・・」

 ラーファからイデアを受け取ると、部屋にあるイデアフィールズで再生してみた。

 そして、再生してみて、私の悪い予感が的中していることがわかった。

「ねえ、ラーファ、このイデアに映っている女の子、一体誰?」

「そ、それは、琴音のつもり・・・だったんだけど・・・」

「合ってるの、服装と黒髪だけじゃない。

 肝心の顔を編集しすぎだよ。

 足も長くしすぎだし。」

 なんか、すごい目がクリッとなってるし、足はやたらと長くなってるし。

「まあ、そこは、念写だから・・・仕方がないよ。」

 道理でエレーネ先輩やアイがべた褒めするわけだよ。

 大体、そんな編集しなくても、琴音は十分かわいいのに・・・

「ラーファには琴音がこういう風に見えるの?」

「いえ・・・」

「じゃあ、どうしてこんなことになってるの?」

「こうした方が面白いかなと思っただけで、特に深い意味はないです。」


 なんかすごい腹が立ってきた。

 せっかくエレーネ先輩とアイに、琴音を紹介できたと思ったのに・・・

 ラーファに頼んだのが間違いだった。

 こうなったら、私が早く念写できるようにならないと。

 でも、今だけはどうしてもこの怒りが収まりません。

「やっぱり、私一人でお風呂に入る。」

「ミディア、ゴメンなさい。許して。」

「ダメ。」

 私はお風呂の準備をすると、さっさと一人でお風呂場に行った。

 そして、内側から鍵をかけた。

 普段は大勢の従業員も入るのでそんなことできないけど、この時間は私達以外誰も入らないので、内側から鍵をかけてやりました。

「ミディア、お願いだから私も入れて。」

 ラーファは、入口の扉を叩きながら大声でそう叫んでいたけど、

「ラーファイム、こんな遅くに何大声出してるの?」

 またしても、ラヴィおばさんに捕まって説教されてました。

 ラーファには少し反省してもらいたいと思います。


<<琴音>>

 朝、日花里ちゃんから聞いた話がずっと気になっていた。

 起きる時に体が光ったって、なんか怖い。

 私の体に一体何が起きてるんだろう?

 なんか怖くなった。

 でも、私の体に起こっていることを知ってしまったら、ラーヴォルンに行けなくなってしまうかも。

 それはそれで嫌だ。

 いろいろ考えて、考えた末に、私が出した結論。それは・・・

 とりあえず様子を見るというものだった。

「だって、ラーヴォルンに行けなくなったら嫌だもん。」

 でも、やっぱり気になるなあ。


 今日も普通にラーヴォルンに来ることができた。

 今日もいい天気だ。

 もう何度もラーヴォルンに来ているけど、雨の日に会ったことがない。

 そう言えば、ミディアちゃんは夜に雨が降ってるって言ってたけど、昨日は降ってなかったなあ。


 ルーイエ・アスクに入ると、ミディアちゃんが受付をやっていた。

「あっ、琴音。」

 ミディアちゃんはそう言った後、周りの視線が気になったのか、慌てて口を塞いだ。

「ミディアちゃん、頑張ってるね。」

 ミディアちゃんに向かってそう言うと、ミディアちゃんは小さく頷いた。

「すみません、ちょっと外してもいいですか?」

 ミディアちゃんは、隣の受付の人にお願いして、奥の部屋に入っていく。

「琴音、待ってたよ。」

「ミディアちゃん?」

「実はね、昨日、琴音のために帰りの船の景色をイデアに撮っておいたんだよ。

 今から一緒に見よう。」

 これは、何て嬉しいサプライズだろう。

 さっきまでの不安が一気に吹き飛んでいった。

 ミディアちゃんの部屋に行くと、既にイデアを再生するためのセッティングが完了していた。

「これで、イデアを再生するんだね。」

「そうだよ。」

 ミディアちゃんは、イデアフィールズと呼ばれる機械の電源を入れる。

 すると、何かの番組が壁に映し出された。


『では、天気予報です。

 当分、ラーヴォルンは晴天が続くでしょう。

 例年よりも、若干温度が高く・・・』


 どうやら、今は天気予報をやっていたみたいだ。

「じゃあ、再生するね。」

 ミディアちゃんは、イデアの再生スイッチを押した。

 すると、画面に一人の女の子の姿が現れた。

 あれっ、この女の子の着ている服って、昨日私が着ていた服では・・・

「しまった、間違えた。」

 ミディアちゃんが慌ててイデアを止めようとしたけど、私はこのイデアの映像が気になった。

「ねえ、ミディアちゃん、ここに映ってる女の子って、もしかして・・・」

「ウン・・・これ、昨日、ラーファが念写した琴音なんだよね。」

 やっぱり、そうだったのか。

 でも、私ってこんなにかわいい顔じゃないし、足だってこんなに長くないよ。

「じゃあ、昨日、エレーネちゃんやアイちゃんはこの映像を見て、かわいいって言ってたんだ。」

「ゴメンね、琴音。

 私も魔法でイデア映像を見ることが出来たら、その場で確認できたんだけどね。」

「ウウン、全然気にしてないよ。

 むしろ、かわいいって褒められすぎたから、違和感を感じてはいたんだよ。」

 とはいえ、本音を言うと、やっぱり少しがっかりしている。

「ラーファには厳しい罰を与えておいたから、許してあげてね、琴音。」

 罰って・・・別にそこまで怒ってないんだけどなあ。

 ていうか、そう言えば、今日はラーファちゃんの姿が見当たらないなあ。

「そう言えば、今日はラーファちゃんは?」

「ラーファには今日は客室の掃除とお風呂掃除をするように命じておいたから、多分来るの遅いと思うよ。」

 そこまでしなくても・・・ミディアちゃん、ラーファちゃんに厳しいなあ。

「すぐにイデア取り替えるね。」

 ミディアちゃんは素早くイデアを取り替えた。

「じゃあ、再生するね。」

 ミディアちゃんがスイッチを入れると、今度は夜景が映し出された。

「これが、船から映した北街の夜景だよ。」

「すごい綺麗だね。」

 映像は一旦大きく揺れた後、どんどん北街が遠ざかっていっていた。

「今、船が動き出したところだよ。」

 しばらくすると、映像が切り替わって、今度は海峡の映像が映し出された。

 両端には北街と南街が映し出されていた。

 ただ、夜なので、海峡の箇所はほとんど何も見えなかった。

 そして、さらにしばらくすると、今度は南街の映像に切り替わった。

 南街は北街ほど明るくなかった。

 南街がどんどん近づいてくる。


「そういや、私って、夜のラーヴォルンの街をあまり見たことないなあ。」

「ミディアは普段、夜出歩かないもんね。」

「ラーファは夜遅くまで出歩きすぎだよ。」


 イデアから、ミディアちゃんとラーファちゃんの会話が聞こえてきた。

 普段の2人の会話が聞けて、なんかすごい得した感じがする。

 そう思ってた時、


「でも、ミディア、よかったね。

 この景色を初めて見るのは、ミディアも同じってことだね。」

「そっかあ、それはなんかうれしいな。」

「琴音、これを見て喜んでくれるといいな。」

「大丈夫、きっと喜んでくれるわよ。」


 2人の会話を聞いて、私はとても嬉しくなった。

 ミディアちゃんの気持ちがすごい嬉しかった。

 あまりにも嬉しすぎて、なんか胸が苦しくなってきた。

「な、なんか恥ずかしい。」

 ミディアちゃんは照れているけど、私はすごく嬉しいよ。

「素敵な映像をありがとう、ミディアちゃん。」

「琴音が喜んでくれてよかった。」

 ミディアちゃんも笑顔を見せてくれた。


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