17.日花里ちゃんの計画
<<ミディア>>
「琴音!?」
思わず変な声で呼んじゃった。
「ヤッホー、ミディアちゃん、ラーファちゃん、来ちゃったよ。」
なんかいつもより少しテンションが高い。
「えっ、琴音!?
ど、どうして、こんな時間にここに!?」
イデアハントの向こうから、ラーファの驚いた声が聞こえてくる。
ラーファが驚くのも無理ないよ。
私だって驚いている。
「日花里ちゃんに言われたとおりに試してみたけど、大成功だね。」
「どういうこと?」
「寝る時間を遅くしたら、こっちに来る時間も遅くなるってこと。
これで、明日のコンサートもバッチリだね。」
そういうことかあ。
つまり、明日の夜に来れるかどうかを試したってことだね。
「ラーファ、明日、琴音も一緒にコンサートに行けるよ。」
「よかったね琴音。」
ラーファも喜んでくれた。
明日は素晴らしいコンサートになりそうだ。
ラーファとのイデアハントを切った後、しばらく琴音とお話しした。
夜は何をしてるのって聞かれて、魔法理論の勉強って答えたら、すごい驚かれた。
「そういう琴音は、夜何やってるの?」
「私はテレビ見たり、ゲームやったり、漫画を読んだり、ネットをやったり、まあ色々とやってるかな。」
琴音の話はよくわからないけど、二ホンというところは色々と娯楽が多いようです。
まあ、私もイデアフィールズをたまに見るけど、あまり面白いと思ったことないなあ。
「こっちでは、どんな番組やってるの?」
だから、琴音にこう聞かれても、あまりよくわからない。
「えっと、トーク番組が多いかな。
あとはスポーツとか魔法競技とかえらい政治家とか学者の討論会とか。」
「魔法競技ってどんなの?」
「・・・・・・ゴメンね、私もよく知らないの。」
本当に私は何も知らない。
琴音に何かを聞かれるたびに、そう思ってしまう。
ずっとラーヴォルンに住んでいるはずなのに、私は何も知らない。
「わ、わからなかったら別にいいよ、ちょっと興味があっただけだから・・・」
なんか、琴音にも気を使わせているよ。
「ゴメンね、琴音。」
「いいって、そんなことより、そろそろ時間みたい。」
気がつくと、琴音の体が輝き始めている。
「今回は試しに来ただけだから、もう帰るね。」
「ウン、じゃあまた明日ね。」
琴音はそう言うと、光の中へと消えて行った。
「うー疲れた。ただいま。」
とそこにラーファがやってきた。
ようやく家に帰ってきたみたい。
「ミディア、まだ起きてる?」
なんかラーファのテンションがいつもより高い。
「起きてるよ。」
私が返事すると、ラーファが部屋に入ってきた。
「ミディア、ただいま。」
そして、部屋に入ってくるなり、私にギュッと抱きついてきた。
「な、何、どうしたのラーファ!?」
「なんか、ずーっとミディアと話してなかった気がしてね。
あーやっぱり、ミディアをギュッとすると落ち着くわあ。」
「ちょ、ちょっと、私で落ち着かないでよ。」
色々聞きたいことあったけど、まあいいかな。
「ラーファ、悪いけど私、これからお風呂に入りに行きたいんだけど。」
「まだお風呂に入ってなかったんだ。
じゃあ、久しぶりに一緒に入ろうよ。
私、すぐに準備してくるから。」
「いいけど・・・でも、こないだみたいなことはしないでよね。」
「わ、わかってるよ。」
ラーファはすごい勢いで部屋を出て、自分の部屋に戻っていきました。
本当に大丈夫かなあ?
ラーファとお風呂に入るのは久しぶりだなあ。
最近は私がずっと避けてたからね。
だって、いつもラーファは私の体を洗おうとするからね。
あと、私が成長してるかなって、やたらと私の体をジロジロ見てくるし。
私はもう16歳だよ。
ラーファと年一つしか違わないのに、やたら子ども扱いするから、なんか一緒に入るの嫌なんだよね。
でも、今日ぐらいはいいかな。
だって、ラーファ、すごい喜んでるし。
それに、コンサートのこともあるからね。
「ミディア、早くお風呂に行こう。」
なんか今日はラーファの方が子供みたい。
「すぐに行くから待っててよ。」
部屋の明かりを消して、ラーファと一緒にお風呂へと向かった。
<<琴音>>
「琴音、起きなさい、もうお昼よ。」
お母さんに起こされた。
まあ、私が起こしてってお母さんに頼んだんだけどね。
「んーもうそんな時間?」
時計を見たら、11時を過ぎていました。
「お昼ご飯作ってあるから、さっさと食べなさい。」
「はーい。」
そういや、朝食とってないから、すごいお腹すいた。
服着替えて、さっさとお昼食べよう。
そう思って、かけてある服に手を伸ばした時に、いいことを思いついた。
「そうだ、寝た時の服でラーヴォルンに行けるんだった。
だったら、今日はコンサートだし、おしゃれして行こうかな。」
例え、ミディアちゃんとラーファちゃんにしか見えないとしても、気分的におしゃれして行きたいな。
「いっそのこと、新しい服を買いに行こうかな。」
ちょうど暇だし、思い切って奮発しちゃおっかなあ。
<<日花里>>
やっと部活が終わった。
期末テスト明けということもあって、もう少し楽な練習になるかと思ってたけど、大会が近いのをすっかり忘れてた。
だから、テスト明けの練習はむしろハードになった。
といっても、初心者の私は大会に出ることはないし、今はまだほとんど玉拾いばかりだからね。
だから、私はあまり変わらなかったけど、でもテスト明けの久しぶりの部活は堪えた。
最近、私がこの部活にいていいのだろうかと思うことがある。
恐らく、私は学年一運動神経悪いと思う
最近、私の運動神経の悪さに、先輩たちが苛立ちを見せることが多くなった気がする。
これでも私は一生懸命頑張っているつもりだ。
でも、私は足は遅いし、ボールへの反応も悪い。
本当に、このまま私はテニス部を続けていいのだろうか?
「はあ、早く夕飯食べて、琴音の家に行くか。」
こういう時は、琴音と話すに限る。
今の私にとって、琴音は精神安定剤のような存在だ。
ついこないだまで、琴音は毎日つまらなそうにしていたので、疲れている時は、あまり琴音と話したいと思わなかった。
でも、最近の琴音は明るくなった。
それというのも、ラーヴォルンという世界に行くことができるようになったからだろう。
琴音が楽しそうに話すラーヴォルンの話を聞くと、私の気分も明るくなってくる。
最近は、琴音の話を聞くのが楽しみになった。
でも、だんだんそれだけで我慢できなくなってきた。
琴音が楽しそうに話すラーヴォルンという街に、私も行ってみたい。
今日は練習中も、ラーヴォルンに行くための方法を考えたけど、何も思いつかなかった。
でも、琴音から話を聞けば、何かいい案が思いつくかもしれない。
「でも、琴音が寝る前に、私が先に眠ってしまいそうだ。」
今日はそれくらい疲れた。
多分、今すぐにでも眠ることができると思う。
でも、ダメだ。
琴音と一緒にラーヴォルンに行くんだから、琴音と同じ時間に眠らないと。
でも、夜に行くってことは、それだけ遅くに寝るってことだよね。
大丈夫かな?
<<琴音>>
ピンポーン
チャイムがなった。
多分、日花里ちゃんだ。
「あら、日花里ちゃん、琴音から話は聞いてるよ。いらっしゃい。」
「今日はお世話になります。おじゃまします。」
どうやら、お母さんと話しているみたいだ。
時計を見ると、もう8時だった。
中学の時、日花里ちゃんがお泊りに来る時は、大体いつもこの時間だった。
でも、高校ではテニス部に入ったから、もう少し遅くなるかと思ってたんだけどね。
あまり変わらなかったね。
しばらくすると、階段を上がってくる音と、私の部屋をノックする音が聞こえてきた。
「琴音、起きてる?」
「ウン、まだ起きてるよ。」
私がそう返事すると、日花里ちゃんが部屋の中に入ってくる。
「いらっしゃい。」
笑顔で日花里ちゃんを歓迎したつもりなんだけど、日花里ちゃんは私を見てすごい驚いていた。
「ど、どうしたの、その恰好?」
日花里ちゃんはどうやら私の格好を見て、驚いていたようだった。
まあ、いつもは部屋着かパジャマだからね。
それに、今日買ったばかりの服だから、見慣れていないというのもあるかもしれない。
「せっかく、ラーヴォルンにコンサート見に行くんだから、おしゃれしないとね。」
今の私は、ノースリーブのシャツに青色のショートパンツという完全に外出用の姿だからね。
「私の中でラーヴォルンは白と青のイメージなんだよね。
それに向こうも今は夏だしね。
だから、白と青で合わせてみました。
本当はスカートがよかったんだけど、私、向こうだと空中に浮いてるから、ショートパンツの方がいいかなと思ってね。」
「どういうイメージか知らないけど、まさか、その恰好で寝るつもりなの!?」
「ウン、そうだよ。
どうも、眠った時の恰好で、ラーヴォルンに行けるみたいなんだよね。」
「へえ、それはすごい。」
日花里ちゃんはそう言うと、何かを考え始めた。
「日花里ちゃん?」
「あっ、ちょっと考え事していただけ。
まあ、そっちはとりあえず置いておくか。」
日花里ちゃんはそう言うと、持ってきたカバンからノートを取り出した。
「で、琴音、どうだった?」
「日花里ちゃんの言う通りだった。
夜のラーヴォルンに行くことができたよ。」
「よく、すぐに眠れたね。」
「私の特技は、すぐに寝ることができることだよ。」
「そ、そうなの。じゃあ、8時に眠ったってことでいいわね。」
「ウン。」
「で、向こうは何時ぐらいだった?」
「ウーン、時計を見たわけじゃないから、正確な時間はわからないけど、夜と言ってもミディアちゃんは起きてたから8時とか9時とかじゃないかな?」
「なるほど。」
日花里ちゃんはそう言うと、持ってきたノートを広げた。
何やら色々書き込んでいた。
今日の日花里ちゃんは、なんか変だなあ。
「琴音って、普段何時ぐらいに寝るの?」
「大体、11時から0時ぐらいに寝て、7時ぐらいに起きるかな。」
「結構遅くまで起きてるのね。」
「日花里ちゃんはいつも何時ぐらいに寝ているの?」
「ウーン、大体10時くらいかな。」
「嘘、すごい早いね。」
「そう?
まあこの際、私の寝る時間なんてどうでもいいのよ。
で、琴音、ラーヴォルンはいつも何時ぐらいに着くの?」
何だろう?
今日の日花里ちゃんは、やたらとラーヴォルンの話に食らいついてくる。
「私が行く頃には、学校が終わって昼食も食べ終わってるから、大体昼の1時から2時ぐらいじゃないかな?」
「帰ってくるのは?」
「大体、向こうでちょうど日が暮れるころかな。今は夏だから、多分夕方の6時か7時くらいだと思う。」
私がそう言うと、日花里ちゃんはノートになにやら表を作り始めた。
「てことは、こんな感じになるね。」
日本の時間 ラーヴォルンの時間
23時~24時 13時~14時
6時~7時 18時~19時
8時 20時~21時
「時間が大雑把だから、正確なところはわからないけど、ラーヴォルンとの時差はおおよそ12時間ってところかな。
で、コンサートって夜にやるのよね?」
「ウン。」
「じゃあ、大体22時ぐらいまでいられればいいかな。
時差を12時間と考えれば、朝の10時に起きるようにすればいい。」
なんか日花里ちゃん、すごい一生懸命考えてくれてる。
いつもは、私の話をほとんど聞き流していたあの日花里ちゃんが・・・
ラーヴォルンに関心を持ってくれて、私は嬉しいよ。
「琴音の睡眠時間が、大体8時間と考えると、夜の2時くらいに眠れば多分、夜のコンサートを見ることができる。」
「すごいよ、日花里ちゃん。」
「だから、夜の2時まで起きてないといけない。
それに、朝の10時まで誰にも起こされないようにしないといけない。」
「じゃあ、お母さんに言っておかないと。」
私は慌てて、部屋を出て、お母さんの部屋へと向かった。
明日もまた朝遅くまで寝てるので、起こさないように頼んでおかないとね。




