第3話 共通点
「うめぇー」
蓮はプリンを口いっぱいに頬張りながら、目を細めて頬を緩ませている。その様子を悠助が横から鋭い目で見ていたが、すっと目を逸らして黙々と塩鯖を食べ始めた。
「悠助さんありがとうございます」
と蓮が言うと悠助は、早く仕事で結果を出せと言いながらリスのように塩鯖を食べ始めた。プリンを後輩からせがまれた悠助は嫌だとは言ったものも結局のところ断れなかった悠助を見るとこの二人はまさに兄弟のようだ。書き込んだご飯が喉に詰まったようだ。咳き込んでいると蓮が大丈夫すか、とびっくりしながら水を差し出した。悠助がすまん。と言いその水を受け取ってぐいっとそれを飲んだ。
「あれぇ、良子じゃんか。お隣しつれーい。あ、悠ちゃんこれ食べる?」ちょっと政虎、私はまだいいとは一言も言っていないわよ
「政虎、本当にいいのか」
と悠助が言えば政虎はすきなのをとっていいよとトレーいっぱいの色とりどりのゼリーを悠助の目の前に出した。悠助はちょうど塩鯖を平らげたようでそれらのゼリーとにらめっこしている。
「そうそう、解剖終わったよー」
政虎はそう言いながら大量のガムシロップをコップにあけて飲んだ。蓮は信じられないという顔で政虎を見ている。その視線に気づいた政虎は少し不機嫌そうな顔をしていたが、何を思ったか机に置いていたファイルをすっと中央に出した。
「今回の事件も多分ドールメーカーが関連してると思うよ」
悠助の目の色が変わった。やはりか、と言うとファイルをパラパラとめくり始めた。
「つまり、同じ犯人ってことね」
私はここで初めて話した。そうだね。と政虎は言うと
「ルージュでナンバリング。生クリームと血液らしきもの。臓器でフルーツを模したもの。」
こんなもんかな。と言うと政虎は立ち上がり背伸びをした。
「新人クン気を付けなよ。」
ドールメーカーは可愛い顔の人を狙ってるからね。もしかしたら男も例外じゃないかも。と言いながらにやりと歪めて去っていった。蓮は、俺なんかしましたっけ…。と政虎の背中を恐ろしいものを見るような目で眺めていた。