フィオナ
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俺が人間の街へ向けて洞窟を出発してから、3日がたった。その間に、俺は人間の死体を見つけ、服を手に入れた。あいにくと武器は折れて使い物にならなかったが、まぁこの体があれば武器はいらないから放置した。
そして俺が森の出口付近まで来た時、誰かの叫ぶ声が聞こえた。俺はすぐに声が聞こえた方へと駆け出した。
俺が駆け出し始め百メートルほど走ったころ、一人の少女がブラックウルフに襲われているところが目に入った。
それを見て、俺はすぐにブラックウルフを蹴り飛ばし、少女を助けた。
「大丈夫か?」
「......え?」
俺が安否の確認のつもりで聞いたことに、少女は助かったことがまだ自覚できていないのか、首を傾げていた。そして、助かったことがわかるとその場に崩れ泣き出した。
「え、ちょ。なんで泣くの......」
「ち、違うんです。嬉しくて......」
俺がなぜ泣いているのか聞くと、少女は死ぬと思っていたから助かったことが嬉しいのだといった。
俺は少女が泣き止むのを待ち、疑問を投げかけてみた。
「もう大丈夫かな?」
「はい、もう大丈夫です」
「なら少し聞きたいことがあるんだけどいい?」
「はい、いいですよ。あ!その前に助けてくださりありがとうございました」
「いや、別にいいよ。 それで聞きたいことなんだけど、この近くに街はあるよね?」
「はい、この近くにはボルフェナという街があります。私もそこの住民なんですよ」
「へ~~、そうなんだ。もう一つ聞いていいかな」
「はい、いくらでも聞いてください」
「じゃあ、なんで君みたいな幼い子がこんなとこにいるの?」
「......それは、母が病気でして、薬を買おうにも高いのでその材料である月草を取りに来たんです」
「そうだったんだ、その草は手に入れられた?」
「いえ、まだです。探していたらさっきの狼に襲われました」
「そう。ならどうしようか。危ないから街に戻る?」
「そんな!月草を手に入れないと母が危ないんです。だからどうしても月草を手に入れないと帰れません」
「そっか。なら俺が手伝ってあげるよ」
「え?いいんですか?」
「別にいいよ。俺は暇だしそれとも邪魔なら俺は街に向かうけど、どうする?」
「全然邪魔じゃないので手伝ってください。お願いします!」
「うん、わかったよ。じゃあ行こうか」
「はい。あ、その前に自己紹介しますね」
俺が行こうとすると少女は自己紹介をすると言ってきた。
「ああ、そういえばまだだったね」
「はい! 私から言いますね、私はフィオナって言います」
少女は笑顔で自分の名前を言った。このフィオナは、水色の髪で青い目をした12歳ぐらいのやせ形の少女だ。
「俺はアキラだ。 じゃあ今度こそ行こうか」
「はい!」
少女は俺の言葉に頷いたあと、俺の名前を何度も嬉しそうに繰り返し呟くように言っていた。俺はそれを聞こえないふりをし、月草がどんなものか知らないことに気が付いた。
「なぁ、月草ってどんなのだ?ってかどこに生えてるんだ?」
「ああ、月草ですね。 月草は茎が地面から出ていて葉の部分が三日月からだんだんと満月のような形になって枯れるんですけど、月草は満月の時しか薬に使えないので丸い葉の草を探してください。場所はですねここから少し行ったところに広場がありましてそこに生えているらしいです」
「了解」
俺が質問をするとフィオナは丁寧に答えてくれた。そして、俺たちが少し歩くと、フィオナが言っていた通り広場があった。そこには、三日月のような形の草や満月のような草がいっぱい生えていた。
「あ! これです」
フィオナは満月の形の草を10本ほど抜き、袋に入れた。
「じゃあ街に行くか」
「はい!」
俺がそういうとフィオナは嬉しそうに答え、俺たちは街へ向かった。
◆◆◆◆◆◆
バシ!
俺とフィオナが街に付き、俺は断ったのだが、フィオナがどうしてもお礼がしたいというのでフィオナの家について行った。そして、家に着いたとき、家の前にフィオナのお父さんらしき人が立っていた。その人はフィオナを見つけると走ってきて、フィオナの頬を叩いた。
「どこに行っていたんだ! 心配していたんだぞ!」
「ご、ごめんなさい......」
フィオナはその人の叫びに素直に誤った。
「街の外に一人で出て行ったと聞いたときは心臓が止まるかと思ったんだぞ!」
「ごめんなさい」
「でも無事でよかった」
その人は、フィオナを叱った後、優しそうに抱きしめた。するとフィオナは安心したのかまた泣き出した。
フィオナが泣き止むのを、俺とその人は待ち、その人はフィオナにどうして街の外に一人で行ったのかと聞いた。その問いにフィオナは月草を取りに行ったのだと言ったら、やっぱりか......とその人は答えた。
「フィオナそこの人は誰だ?」
その人は、さっきからフィオナの後ろに立っている俺のほうを指さし、フィオナに聞いた。
「この人はアキラさん。私が森で狼に襲われていたところを助けてくれて、一緒に月草を探してくれたの」
「そうなのか」
その人はフィオナの言葉を聞き、狼に襲われたというところで少し驚いていたが、フィオナを叱ることなく俺のほうを向き、自己紹介と礼を言ってきた。
「私はフィオナの父です。娘を助けてくださりありがとうございます」
「俺はアキラといいます。たまたま通りがかっただけですので、別に気にしないでください」
「いえ、そんな。なにかお礼をさせてください」
「いえ、本当にいいですから」
俺たちがそんなことを言っているとフィオナがお父さんに、俺が一文無しで今日泊まる宿もないのだと言った。それを聞いたお父さんはぜひうちに泊まってくれと言いだした。俺はその言葉に、これ以上断ると相手に悪いなと思い止めてもらうことにした。フィオナとお父さんは俺の言葉に喜び、家の中へと案内した。
家の中に入り、お父さんはフィオナから月草を渡され、すぐに出て行った。そして、しばらくすると手にビンのようなものを持って帰ってきた。
「それが薬ですか?」
「はい。これを妻に飲ませれば病気も治るはずです」
俺の問いに答え、お父さんは家の奥にフィオナと一緒に姿を消した。
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