牢獄の少女
ラグ「やっぱり出かけているんですかね?」
少し薄暗いリビング。二階への階段があるが、それにはまだ触れない。
ラグ「この服、子供服みたいですね。少女…でしょうか。むしろ、少女が着るような服しかありませんね」
エリーは『少女』という言葉に、吸血鬼の少女を重ねていた。服のサイズからして同い年くらい。
?「うるさいネズミがまた一人…」
上から声が聞こえてくる。
澄んだ落ち着いた声。しかし、この声の相手は…S。きっとサドだ。
二階の相手に言葉遊びでもするかのように言い返す。
ラグ「残念ですね、二人なんですよ」
?「…。私の牢獄に何の用?」
ラグ「姿を見せてくれたらお教えします」
エリー「えっ…でも姿を見る必要…あるの?」
?「魔法使いと…人間?」
ラグ「よくお分かりですね。あなたも魔法使いか何かですか?」
?「私は…私は人間よ!」
人間以外の種族に間違えられたのが嫌なのか、声を大にして言った。
ラグ「なぜ姿を見せないんですか?」
?「……」
エリー「ねぇラグ、もういいんじゃない…? 出ようよ…」
?「あなた達、追われてるの?」
ラグ「質問してるのはこちらです。答えて下さい」
?「…私は人間の方に聞いてるのだけれど?」
会話上で冷戦になる。どちらも話さず、緊張感が取り巻く。
それに耐え切れなくなったのか、エリーが口を開いた。すると。
?「二階に来たらわかるわ」
相手からの許可が下りる。
二階への階段の両脇には、本がいくつも置いてある。
ラグ「…行きますよ、エリー」
エリー「う、うん…」
軋む階段を上り二階に着く。一階よりもさらに暗い。
壁には赤い文字で何かが書かれている。
ラグの服をつかんで後ろを歩いているエリーが訊いた。
エリー「ねぇ…あれ…何て書いてあるの…?」
ラグ「魔方陣ですね。強力なものです」
?「ようこそ、私の牢獄へ」
アルビノ出したかった。うん、それだけ。